本好きの下克上、アニメの放送が始まりましたね!


TVアニメ『本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません』本PV


放送が始まりましたね。いま4話まで見終わって、毎週じりじり、楽しみ放送を待っています。ペトロニウスは、アメリカに住んでいるので、アマプラで見ています。いやはやいい時代になったものだ。毎週好きすぎて、何回も見直して、また本まで読みはじめちゃたので、アニメ凄い楽しいです。


本郷みつる監督は、ハウス食品の「世界名作劇場」テイストで演出を一貫させると決断されているですね

とはいえ、実は、1話を見た時に、めちゃがっかりしちゃって、「もう見ないかもなぁ」と思うほどでした。というのは、大きく分けて二つ自分の期待と違ったからです。一つは、『本好きの下克上』は、思い入れのある作品で、エピソード自体は、誰もめちゃくちゃ好きなので、映像化されるのならば、いまのリアリティを精度高く上げる感じで、背景の街並みや世界観の描写が、めちゃ凄いレベルになるのを期待していたんですね。まぁ、いまの時代のアニメならば、それが普通だろうし、という思い込みあった。それが、、、、あれ、なんか、かなり背景が普通だぞ、、、と。同じように止め絵での演出ばかりで、人の動きがとても弱い。もう一つは、見てて分かったのですが、マインのキャラクターの理解が、自分とだいぶずれていたんですね。最終話まで見ているというのもあってもっと「上品な感じ」に思い込んでいたんですよね。なんというか、デフォルメの表現や、キャラクターのデザインそれ自体が、だいぶ、大阪のおばちゃん(笑)というか、もっと元気ある感じに作られていますよね。


総じていうと、往年のハウス食品の「世界名作劇場」のころの感触を感じたんですよね。それって、数十年前のアニメの感じです。なので、がっかりしてしまった。あれにはあれの良さがあるんですが、やっぱり最近の描写のリアリズムが追及されている作品と比較すると、がっかりするじゃないですか。


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けど、数話見続けているうちに、なんというか「フレームがあってきた」感じがしたんですよね。自分の中で。えっとですね、この作品は、本郷みつるさんという監督だそうですが、大人の事情があるのかどうかはよくわかりませんが(僕は情報を集めようと一切しないので)、少なくとも、ハウス食品の「世界名作劇場」のテイストで統一する、とはっきり決断していますね。「できなかったから」というのではなく(事実はそうかもしれないですが)、このテイストで、かっちりとまとめてきている。演出として、一貫性があって安定していると、これはこれでありだなという風に、なってきました。これは、監督の力量だなぁと思います。アニメーションって、背景のリアルさとかそういうのではないんだなぁ、というのが、こういう技を見せられると、しみじみ感じます。演出力なんだなぁって。少なくとも、同時に、FGOバビロニア戦線も好きで見ていますが、お金のかけ方、動き、もう同じアニメとは思えない(笑)ぐらい差がありますが、でも、面白さは、下手したら、僕は、本郷さんの方が、好きかもです。というか、好きです、ぶっちゃけ。今シーズン見ているのは、この二つかなー。

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■『本好きの下克上』の面白さのコアって、本を作ろうと試行錯誤する最初の部分なのか、貴族院の学園変なのか、、、、

おしむらくは?というか、悩みどころなのは、話数の進み方と、14話の尺で考えると、これがどこまで行くのかわかりません。丁寧に描かれているので、いいところ、本でいうと第二部の神殿に入ったところで終わりかなぁ、と思う。いっても3部の領主の養女になった貴族編まででしょう。アニメが、めちゃ気持ちを喚起してくれているので、また漫画をすべて読みなおして、小説もコツコツ読み直しているんですが(←内心、仕事しろよって、ほんと自分でもおもう、、、、)、僕は、『本好きの下克上』の何が最も好きなのかなぁ。。。何が一番の魅力なのかなぁ、、、ってふと考え込んだんですよね。というのは、この物語の「完成度」については、下記で言っているんですよね。でも、「そこ」だけが魅力というわけではなくて、異世界転生チートもののの構造的問題点を克服してるってだけで、「僕自身が好きな理由」に到達してないなーと。なにが、こんなに長い物語を何度も何度も読み返すほど、好きなんだろう、、、と。

petronius.hatenablog.com

いつもガツンと読み返すのは、「ローゼマインが貴族院に入学した学園編」と「アーレンスバッハとの戦争編(あれもう戦争だよね)」なので、4部と5部になるんだろうけど、特に4部の、学園編が、めちゃビルドゥングスロマンになっていて、しかも異世界の魔法という「世界の謎」を学校で学んでいくプロセスは、やっぱりハリーポッターの学校に行く話と重なると思うんで、ここが王道というかコアなのかなぁと。おお!と、『七つの魔剣が支配する』で、思ったのも、やっぱり魔法学校って、日常なのに世界の謎、自分が住む世界とは異なるマクロの仕組みに支配された世界の謎を知るというファンタジーというか物語で、これってすごい魅力なんだよな、類型として、と思う。

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でもなぁ、、、、いやね、これって云いかえれば、僕は1部や2部の「異世界転生して何もないところから本への偏愛を語って、それを何とか作ろうと試行錯誤していく部分」よりも、後半の方が面白いってことを言っているんですが、、、、いやほんとうにそうか?って、アニメの本郷監督の丁寧な演出を見て、めちゃ読みたくなって、1-2部を読み返しているので、どうも、両方面白いみたい(笑)なんで、「本好きの下克上」の面白さのコアには到達していない言説だなぁ、と、うーん、うーん、と唸ってしまって、、、、


自分の中で答えが出ていないのですが、でも、少なくともアニメは14話くらいだそうなので?ほんとうかな???だとすると、2部くらいまでですよねぇ。どこまで、この「面白さ」って一般受けして、新規の層にリーチするのかな、、、と。何が指標になって、2期が決まるのかとかは、僕は全然わからないんですが、、、


というのは、きっと、本郷みつる監督や制作陣にとって、この長い物語の「どこを切り取るか?」、「最初から丁寧にやるか?」って、当然最初に考えることだと思うんですよ。アニメ化しようと思ったら。最初から丁寧にやったら、1-2部しか到達しないのは、自明。だとすると、いまの時代(2019年後半)に「異世界転生して何もないところから本への偏愛を語って、それを何とか作ろうと試行錯誤していく部分」を提示するならば、どんな演出方法が、、、つまり、「その部分のシナリオの面白さのコアはどこにあるのか?」ということを普通考えるじゃないですか。その結果として、背景の精密描写ではなく、動きでもなく、「世界名作劇場」的な演出を選んで、かつ、マインの性格を、だいぶ子供っぽくというか、、、、なんといえばいいのだろう、コミカルに演出しているじゃないですか。あの、デフォルメしたマインが、内心の内語で感想を言う演出って、素晴らしいな!と思うんですが、、、、何が素晴らしいんだろう、、、って。うまい言葉が見つからない。


というのが現時点での僕の感想。


僕は、 井口裕香さんの前の声優さんは聞いていないので、違いは分からないんですが、、、、いやはや、、、声優さんって、めちゃくちゃな凄い技術ですねぇ。マイン、かわいくて仕方がないよ。これ、声の演出っと、なんというか、キャラクターのデザインと性格があっているんだろうと思うんですよねぇ。。。。うーん技術的なことがわからないので、どう表現すればいいのかわからない。


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これ、小説の挿絵と漫画版の挿絵二つですよね。この3つの差を見ると、書き手の性格の捉え方が全然違うと思うんですよ。ちなみに、それぞれが素晴らしいので、『本好きの下克上』って恵まれた素晴らしい作品だなと思います。明らかに「キレイ」に「おしとやか」に、もしくは「理知的」に描かれていると思うんですよ。見れば、全然違う捉え方なのがわかりますよね?


けど、アニメって、デフォルメのシーンなんかもっと露骨だけど、表情が、凄いゆがむじゃないですか!、この表情の表現のし方って、めちゃめちゃ違うと思いません!。これ、アニメーションの作陣が、考え抜いているからできるテイストだろうと思うんですよね。少なくとも、凄い「マインの性格はこう!」「振る舞いはこう!」という明確な一貫性を感じる。


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マイン1


これって意図して表情を豊かにして、かつ、理知的とかおしとやか、というよりは、なんというのだろう、、、、決して子供っぽいとは思わないんですよ、、、なんといえばいいのかなぁ、、、、ちなみに、「動き」が凄い少ないアニメなんですが(笑)、それをマインの声のトーンと表情の変化で、深みを与えるところは、やるなぁ、、、と本と思うんです。だから引き込まれる。この目のしわとか、マンガ的には、徹夜の時に現れるような、極度に疲労した目のしわみたいなのが、がっつり描かれていて、表情の変化が凄い動く気がするんですよね。精密というよりは、性格をそういう落差があるように設定している。


僕は、「貴族院の時」の「アーレンスバッハの時」の貴族として、領主候補生として、リーダーとして、指揮官として、経営者としてのローゼマインが好きだと、そこが魅力だと思っていただけに、もちろん1-2部というステージもあるのですが、だいぶとらえ方が違うのが最初、違和感になったんですよね。ようは「キレイ・スマート」みたいなコンセプトから「ドタバタ・泥臭くて」みたいな感じかなぁ、、、まだうまく言葉がない。。。なんというか、演出からして「マインの性格をこう捉える」と確固たるものが、制作陣あるんだろうと思うんですよ、、、、なので、あれ、、、この子、かわいくないか?って、、、(笑)。自分と解釈が違ったんですが、いやむしろ、こっちの方が魅力的かも、、、、と、少なくともそう思わせる何かがある。現代のアニメーションとしては、だいぶ、なんというかなぁ、安っぽいのに、たぶん、書いてて分かってきたけど、マインの捉え方が、凄くしっかりしてて、それに基づいて、「やれるところ」がものすごく深堀されて一貫性があるんで、いい、とおもえるのかもしれない。。。


まぁ、、、、どうでもいいこと(笑)、ダラダラ考えているんですが、、、、何がこの物語の「僕自身が好きなところ」なんだろう、、、と、つらつら考えています。既に連載が終わって、何度も読み返しているのに、またこんな新鮮な感覚を味わえて、アニメ化というか、他の媒体で見せてもらえると、やっぱり幸せだなぁ、としみじみです。今期は、毎週、まだかまだかとじりじり待っているアニメがあると、生きる意欲わきますよねぇ。


ちなみに、OPの最初のシーンは、ほんと絵とか何もないのに(笑)、見てるだけで泣ける。。。。これ、素晴らしい監督が演出しているんだなぁ、としみじみ。でき売れば、、、2期も、続きもみたいですよ、、、これ。



TVアニメ『本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません』キャラクターPV:マイン

『もっこり半兵衛』徳弘正也著 2015- 個人が世界を救うことはできないあきらめと、それでも可能な限り・・・と思う人情噺が美しい

もっこり半兵衛 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

客観評価:★★★★★5つ
(僕的主観:★★★★★5つ)

いつものごとくヤマカムさんの記事を見ていて、面白いマンガ買おうかーと思っていたら、徳弘正也さんの『もっこり半兵衛』を紹介していて、このレビューが素晴らしすぎて、これは読まなきゃと即全巻購入。まぁ、徳弘さんの作品は、買って損ないし。読んでいる最中ずっと、ぐっときっぱなしだったが、まさに、下記でヤマカムさんがいっている部分が、まさに僕が感じている、この人の作品のすばらしさのコアだと思う。いやはや素晴らしいマンガだ。連載で結構苦労しているようなコメントが書かれていたが、こんな剣客人情ものの時代劇を、書こうと思うのも凄いし、しかもそれが形になって、しかも傑作だったりするところが、いやはやさすがだ。びっくりしたのだが、もう還暦だそうで、いやはやマンガを描くのが好きでたまらないんだ、となんだか、コメント欄を読んでいて胸が熱くなった。

ちなみに試し読みができるそうだ。

www.s-manga.net


さて、ポイント。

個人的には『もっこり半兵衛』が特に面白くなるのは2巻からです。1巻は、徹底的に「弱きを助け強きを挫く」熱いヒロイズム満載でしたが、2巻からはもっと深く考えさせられるテーマが満載で重厚だ。

悪い奴を倒して「めでたしめでたし」では決してない。むしろ良かったで終わるハッピーエンドの方が少ないぐらいです。例えば8話では、近所の仲良かった娘(お玉ちゃん)が父親に遊郭へ売り飛ばされます。

普通なら、金をどうにかしたり、売っぱらった父親をどうにかしたり、遊郭自体をどーこーするってのが正義の味方じゃないですか。しかし、一個人では出来る事と出来ない事があるのです。個人で出来るヒロイズムが『もっこり半兵衛』の人情噺をよりブラシュアップさせてくれる。

お玉ちゃんを遊郭に売られるのは、もうある種仕方がないことで、ならばそれを踏まえて救ってあげるという。お玉ちゃんが遊郭で出世できるように教養を身に着けさせる。おかげで禿から花魁にまでなれた…が…(´・ω・`)

「めでたしめでたし」では決してないものの、半兵衛が出来る精いっぱいだったのが尚泣けます。『狂四郎2030』ラストの後書きでもあったけど、個人で国のシステムどうこうとか転覆はできないって、ある種のリアリズムとそれでも個人で可能な限りで救う。その辺が徹底されててグッとくるんだよなぁ。

yamakamu.net

yamakamu.net



余すところなく、よさが説明されているので、ヤマカムさんのレヴューを読んで!と言ってしまえば終わるのだが、、、、『狂四郎2030』でもそうなんだけど、全体に漂う


一個人で世界を救ったり変えたりすることの不可能性という諦観


が、凄まじいディストピア(『狂四郎2030』)を描いても、江戸の普通の日常を描いても、何を描いても、その背景にべったりと張り付いているところ。いってみれば、物凄く暗く、苦しく、過酷で、厳しい。世界は、そういった残酷さに満ちていることが、大前提で、、、何よりも、個人がそれをどうにかすることはできない「という無力感」がこれでもかと埋め込まれている。


しかし、、、、にもかかわらず、主人公たちは、明るく、やさしく、ドスケベなんですよ(笑)。


無理して明るくしてるわけでもなく、その残酷な現実で生きていのを、当たり前に受け入れている。そして、、、、なんというか、この半兵衛って、なんというか、ほんとうに汚いおっさんで、ドスケベで、なんというか、かっこいいところがないですよね。そして、彼は世界を救うヒーローでもなんでもないし、ほとんどは誰も救うことはできない。「にもかかわらず」、彼の気高き魂に胸が熱くなるんですよ。『狂四郎2030』と同じ構造だって、胸が熱くなりました。人情噺的な、時代劇の定番構造を使いながら、人間理解が深いと、こんなに深い話になるのか、、、と驚きます。


いやはや、素晴らしい出来で、よかったです。


ちなみに徳弘正也さんの『狂四郎2030』は、日本エンタメ史上、ディストピアものの最高傑作のひとつといってもいい出来で、何度読んでも驚くほど背筋が寒くなり、深く深く感動するので、めちゃくちゃおすすめです。ペトロニウスの名にかけて傑作です。これは、読んでないと人生損なレベルだと僕は思います。


絵柄による好き嫌いがあるだろうし、特に下ネタによるコメディが基本なので、人を選んでしまう可能性は凄くあると思います。でもね、『狂四郎2030』は、僕の審美眼にかけて(なんか偉そうですね、、、)、そういうものをすべて飛び越える傑作中の傑作です。主観的な評価も客観的な評価も、日本におけるディストピアものエンタメでは、最高峰に位置するものです。ちょっと長いですが、これは読むに値するものなので、ぜひぜひ、おすすめします。

狂四郎2030 全14巻セット (集英社文庫―コミック版)

『家康、江戸を建てる』 門井 慶喜著 武官ではなく文官、テクノクラートの目的意識は、生涯は、個人を超えるスケールで

家康、江戸を建てる (祥伝社文庫)

客観評価:★★★★4つ
(僕的主観:★★★★★5つ)


華々しい武官に歴史は焦点が当てられがちだが、江戸という大都市を作り上げた文化、テクノクラートたちを描く小説。豊臣秀吉のにより関東へ国替された徳川家康が広大なフロンティアである低湿地を開拓し徳川260年の礎を築く姿を5つの短編エピソードで描く。非常に短くて、数時間で読める。軽めの小説なので、読みやすいので歴史小説まで行くと重いなーと思う人にもおすすめ。僕は門井さんの作品はこれしか読んでいないけど、目のつけ所から言って、この人の外の作品も読んでみたいところ。誰に紹介されたか忘れてしまったけれども、友人の紹介で買ってあったのだが、積んでおいてよかった。


全体としての構成もいいのだが、特に自分的に印象に残ったのは、利根川の東遷を手がけた伊奈忠次の話がにとても感銘をうけた。ちなみに、目で見たほうが、sあらにわかりやすいし、関東に住んでいる人はすぐ実感できるので、下のYoutubeの映像なども同時に見るといい感じ。低湿地帯であった江戸を開拓するために、巨大な河川を捻じ曲げるという大治水事業。伊奈家の4代に継続して行われる大プロジェクトなのだが、「世界の基礎構造を変える」というものが、「数世代を超えてかかる仕事」であって、個人の思いや英雄願望、「自分の代で何とかする」などというエゴを超えたものであるのが、まざまざと感じられる。これは、「家」をベースに、軽いテンポで世代を超えている小説だからできる「視点」で、個人の視点ではなかなか描けないだろうなとしみじみした。単純に言えば、物語にしにくい。個人の動機と体験を超えた話になるから。

www.youtube.com


ちょうど今、物語の最前線を考えて「脱英雄譚」と「新世界系」のテーマを再整理しているのだけれども、その中で分かってきた共通する文脈として、「殺し合いが続くような残酷な現実」というものを変えるには、


「自分が生きているうちにはできない」(自分はあきらめなければならない)


「自分を超えたレベルの世界の変化にバトンをつないでいくしかない」(自分の世代では成し遂げられないことにコミットする)




というの前提なのだというのがわかってきた。これは、ネガティブとポジティブの角度から、2010年代の大きな物語類型の基調低音だったと思われる。


ネガティブには、何も報われない低成長且つパイの分配がない(リソースがない)既得権益の奪い合いの社会背景から、未来に希望がないので、「自分は成長できない=主人公ではない」という自意識が広がった。世界を救う方法が「全くない世界」というのは、言い換えれば主人公である可能性は確実にないという世界。そういう世界で、成長が!とかビルドゥングスロマンの王道を語られても、誰も共感できなくなっていたのだ。その逃避行動として、成長がない世界でチートでハーレムを目指したり(男の子)、女の子だけの関係性の世界で戯れたり(日常系)して、世界の救済や成長をあきらめるという選択肢も発達しました。とりわけ、男の子は、冨野由悠季さんのガンダムのテーマで、特にカミーユ君の発狂で、心を折られてしまっていて、なかなか成長しよう頑張ろうという気力が生まれなくなったみたいです。それくらい、心折られ方が大きかった(笑)。男性が「世界を救う」主人公特権を一心にになっていた既得権益者だっただけに、責任が重すぎてその絶望も深くなった模様です。そのかわり、セーラームーンプリキュアのように、女の子の方のまだ戦う動機を持っていて、そういった物語が展開するのですが・・・・『結城友奈は勇者である』『魔法少女育成計画』『魔法少女まどか☆マギカ』のルートで、ひたすら残酷な世界に直面させて女の子を苛め抜いて、世界の残酷さを悟らせる系統が発達しました。女の子は、それでもなかなか折れないのは、男性と違って主人公特権の既得権益者じゃないので、そもそもアドバンテージない存在なので、打たれ強いのだろうと思います。時代的に、女の子の方が世界を救う勇者に向いているので、、、それ以上に世界の残酷さを感じさせるために、悲惨な目に合わせる度合いがエスカレートしていったんだと思います(苦笑)。


ただ、ポジティブな視点もあります。主人公にはなれないという個々の絶望ではなく、逆の発想で「一人で責任を背負おうとするから、世界は救えなくなっているのじゃないか?」という視点です。これもガンダムサーガや僕の好きなのでは『魔法先生ネギま』『UQホルダー』、『ガッチチャマンクラウズ』などで明確に出ているのですが、ようは、主人公という超絶パワーの個人で解決できることを超えたレベルの解決方法ならば、世界は救えるんじゃないか?。


この場合は、ガンダムのテーゼでは、「戦争を止められる」んじゃないかという形で表れていきます。答えは出ていて、バランスオブパワーが成り立つ3つ以上の勢力によう勢力均衡、その後、地球連邦政府(統一政府の樹立)、その過程でリソース、既得権益の奪い合いにならないように、軌道エレベーター、太陽光エネルギーの人類レベルでの設置によるエネルギー不足の解消、土地の不足に関する争いを避けるためにフロンティアの設定として、スペースコロニーテラフォーミングによる他の惑星への開発、、、、等々の人類の成長(=リソースの奪い合いによる内ゲバの回避)に軌道を乗せる技術の大イノヴェーションと、それを社会に実装する長く、広く、深い展開。「これをすれば」、人類は、前に進める。残酷で苦しんでいる現実を「変えること」ができるのはわかってきました。

ちなみに、ガンダムのテーゼには、もう2つ「人類の革新(分かり合えれば殺しあわない)」と「個人が最後に帰るところがどこにあるのか?」という3つを僕は想定しているんですが、その話も長いので、また今度。

劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-


が、ここで重要なのは、「閉じ込められて抜け出ることができない」過酷な現在という現実は、「自分一人では為せない」だけでなく「自分の生きているうちには終わらない」というマクロの大事業になります。


いいかえれば、主人公としての特権、、、、自分が勇者に、英雄になって、「世界を救う」ことを断念しないと、「英雄を排してみんなで新しい世界を建設する物語」が始まりません、「英雄を排してみんなで新しい世界を建設する物語」がすなわち、脱英雄譚の本質だと僕は考えています。


長くなるので、この話は、また。


なので、この江戸の町を建設したテクノクラートたちの、「世代を超えて」自分が生きているうちに「完成を見ることができない」物語にコミットすることに僕が感動したのが理解していただけますでしょうか。



個人的には、囲碁棋士で天文暦学者の渋川春海を描いた冲方丁の『天地明察』や、『風雲児たち』の会津藩保科正之(秀忠の実子にして徳川幕府の基礎を作った男)のエピソードを同時に見たい感じです。

天地明察(特別合本版) (角川文庫)

petronius.hatenablog.com


何もなかったフロンティアであり、土地が有効利用できな湿地帯であった江戸が、現在の成長し続ける「東京」に作り替えられていくさまが、素晴らしかった。東京に住んでいれば、「あの地名」はそういう意味だったのか!と、既視感がビシバシある。『風雲児たち』の「薩摩義士の宝暦治水」の話を同時に読みたいところです。


風雲児たち 第30巻 外伝宝暦治水伝 (希望コミックス)


戦国小町苦労譚 1 邂逅の時 (アース・スターノベル)


ちなみに、どうでもいいというか枝葉のことなのですが、なろうの『戦国小町苦労譚』が好きで、こつこつ読んでいるんですが、こういう内政チートものってのも、やっぱり視点は、文官のテクノクラートの視点が面白いんだよね。物語としてはダイナミズムが弱いので、なんで好きでこんな量を読むのか、自分でもわからないんですが、こういう内政チート物のおもしろさって、やっぱり「世界を変える」には、構造の基礎から変えないと変わらないという「気の長さ」が、やっぱりそれだよなーとしみじみ実感するからだろうと思う。


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『その着せ替え人形は恋をする』福田晋一著 やっぱりなー女の子がかわいいのが際立つのは、男の子がかっこよくなきゃダメなんだと思う。

その着せ替え人形は恋をする 1巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)
   
客観評価:未評価
(僕的主観:★★★★4つ)

なんか絵柄が好きだなと思ってみたら、大当たりで、めちゃ好き。『桃色メロイック』もすぐ全巻買ってしまったよ。なんなんだろう、全編、Hな感じ満載だし、女の子のかわいいところが見たいんだよね!的な感じがするのに、、、なんか作者が男性っぽくないんだよね。この人もしかして女性なのかな、名前からするとだ男性なんだけど、なんだろう視点が女性に思えるなぁ。なんでだろう。


まぁそれは置いておいて、『桃色メロイック』読んでて、ああ、これ、なんというか「設定がもったいないなー」と凄い思ってたんですよね。これ、お兄ちゃんが、実の妹まじで好きっていうヤンキーマンガじゃないですか。そのまじぶりが、シリアスすぎてギャグになるという構造なんですけど、これって、ヤンキーだから、本気度合いが凄いんだよね(笑)。


でも、妹ちゃんの魅力って、「そういうこと」が全然わかっていない天然のところにあるから、関係性が前に進みようがない。案の定、何も進展しないで、10巻?くらい長く続いているのに終わってしまった。めちゃくちゃ絵柄も関係性も好きだったので、これ「前に進みようがない」というのが、ずっと残念で、、、。次の作品は、ちゃんと「恋愛が前に進む」やつにしてほしいなーと凄い思っていたんですよ。ようは、『桃色メロイック』ってギャグマンガのアイディア勝負の構造を超えられてないんですよね。でも凄いのは、そういうのって、要は絵柄の可愛さとシュチュエーションコメディだけなので、2-3巻がやっとなんですよね。ふつう。そこで賞味期限が切れる。なのに10巻ぐらいまで、引き伸ばして引き延ばして、続くじゃないですか。構造凄い悪いのに。これって、それだけ読者の支持があって、シュチュエーションを超える魅力を作者が描けるからなんですよね。なので「次」が見たくて仕方がなかった。


桃色メロイック (1) (ヤングキングコミックス)


『その着せ替え人形は恋をする』!これ、1巻読んだ時に、稲妻が走った(笑)んだけど、もうね、主人公の五条新菜くんがめちゃいいの!。人形職人を得目指している内向的な男の子なんだけど、もう、なんか見てて、めちゃ応援したくなる。女の子のかわいい姿が見たい!というのがひしひし伝わってくるのに、主人公が朴訥な男の子なところが、もうめちゃいいの、、、。いやね、相変わらずとびっきり女の子がかわいいのは変わらないんだけど、、、、やっぱりね、「男の子がかっこよく」ないと、「女の子の可愛さも」際立たないんだなーと、しみじみおもったよ。「男の子に都合がいいだけ」のハーレムを描くのって、やっぱダメなんだなーとしみじみ。そういう場合って、男の子が典型的過ぎて、魅力的じゃないんですよね。感情移入しやすいように、あまり特徴を作らないんだろうと思う。これって『恋愛ラボ』でも思ったけど、、、結局関係性だから。


いやだからね、もう絵柄とエピソードとか性格だけで、この作者さん、めちゃくちゃ素敵なので、「それだけでいいんだよ」的に思えてしまうくらいなんだけど、やっぱり、これ、恋愛が前に進む構造になっていて、着々と、進んでいく感じが、なんかこう、、、、、悶えるんだよねぇ。なんというのかなぁ、ほんと新菜くん、朴訥で、内向的で、付き合い下手で、、、、たぶん表面だけ見たら、友達いない暗い変なやつなんだけど、一歩奥に入って、「好きなこと」「本気になれること」を通してみたら、めちゃめちゃいい子なの、もう、おじさん惚れちゃうよ、彼に。それくらいいいなーと思うと、ヒロインが彼を好きになる理由が、物語の都合じゃなくて、それはそうだよなー、うんうん、という納得があって、なんか見てて幸せな気分になるんだよねー。僕ねぇ、、、不器用な彼が、勘違いした日時に間に合わなくて、いろんなことが押し寄せてキャパいっぱいいっぱいになって、精神的にまいって追い詰められてしまうシーンで、それでも泣きながら、服を作るシーンで、胸がつぶれるような思いだったよ。ヒロインのまりんちゃんが、これがわかった時に、そのプロセスをすぐ気づいて、ボロボロ泣きながらありがとういうシーンとか、いや、もう「お腹いっぱいです!」みたいな幸せな気持ちになったよ!。「好きなことを通してみる世界」のキラキラ感があふれてて、もうぐっとくるですよねー話的にも。まぁそれ以上に、キャラクター超好きすぎる。


その着せ替え人形は恋をする(3) (ヤングガンガンコミックス)

『無職転生 - 異世界行ったら本気だす -』 11巻 理不尽な孫の手著 フジカワユカさんの漫画が素晴らしくて・・・

無職転生~異世界行ったら本気だす~ 11 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

客観評価:★★★★★5つ
(僕的主観:★★★★★5つ)

11巻が出たので、即購入。この前熱が出て、会社を休んでぼーっとしている時に、読み始めて、小説全部読みなおしたので、また読みたくなってマンガも読みなおした。好きだなぁ。


2019-10-04【物語三昧 :Vol.40】『無職転生 - 異世界行ったら本気だす -』 理不尽な孫の手 2012異世界転生の日常やり直しセラピー類型の、その先へ-45

全体の感想は、いま『鉄血のオルフェンズ』を見終わって、ずっと考えていた新世界系の類型に一つの答えが出たなぁ、と思う時に、無職転生も、はっきりと同時代性が刻印されていると、感動したんだよね。なんでも文脈に引き付ければいいわけじゃないんだけど(笑)。でも「主人公ではない」ことをどう描くか、というのは重要なことだと思うのだ。

petronius.hatenablog.com


とはいえ、小説を全部読みなおして、素晴らしいなと思っていたんだけど、、、、マンガがうまいって、大したことなんだなーと11巻を見て、さらに思いました。素晴らしかった。フジカワユカさん、素晴らしい。


いや、凄い良かったといいたいだけなのですが、、、、


いいなーと思ったのは、エリスの出奔の話。


これね、小説だとルーデウスの視点が基本だし、エリスがなんで「出ていってしまったの」というのが、理屈はわかるし、その気持ちはしみじみわかるんだけど、、、頭でわかるって感じだったんですよ。


でも、漫画見たら、ああ、、、、と打ちのめされちゃった。これは、エリス、出ていくよ、、、って。


解説的に言うと、ルーデウスとエリスが初めてHをしたエピソードなんですが、これって、家族が全員死んでいたことが分かったエリスが、ずっと好きだった依存対象だったルーデウスを自分の身体でつなぎとめるために、Hをしたって設定じゃないですか。まぁ、この二人、ずっと相思相愛だし、様々な思いを何年も積み重ねた後なんで、これは背景にそういう打算があっても、愛だよな、、と思うんですよ。これだけ、好きあっていたら、そりゃ身体も重ねるよなって。


でも、これエリスが気づくんですよね、ずっと「頼ってきた」「自分を助けて導いてくれる」愛しい存在だと思っていたルーデウスが、自分より、年下の男の子なんだって。


それって、なんで実感したかっていうと、抱きしめて、Hをして、初めて、ルーデウスが自分よりも体が小さいって、分かってしまうからですよね。


これ、絵で二人が並んでいる姿、骨格が明らかに太いエリスの「映像」を見せられたら、もう一発なんですよ。


エリスが、自分が「依存して頼っていた」存在が、実は「自分より小さい存在だった」ということ、自分が卑怯にも、その小さい存在に寄りかかってしまっていたことに、物凄い衝撃を受けるんですね。。。。



だから、対等になりたい、頼った分助けてあげたい、、、、だから、一人になって強くならなきゃならない、、、、と決断するんですね。



ああ、、、、なんていい子なんだろう。なんか、泣いたよ。




そんでね、僕は、エリスファンなので(笑)、その後、シルフィが出てくるんですが、、、、シルフィって、出会ったときのイメージなんで、なんか小さい女の子って感じでずっと小説で見てて、いまいち、魅力がよくわからなかったんですよね。


でも、絵を見たら一発でした。


あ、この子、めちゃエロいって(笑)。僕の中で、シルフィが、大人の女性に成長したイメージがなかったんですよね。


やっぱり百聞は一家にしかず、なんだなーって。逆に言うと、絵でそういった情報量を、まざまざと見せつけてくれるって、やっぱり素晴らしくうまいんだろうと思います。コミカライズとか媒体を変えるのって、だいぶオリジナルの魅力を超えるのは難しいことが多いのに、、、いやはや素晴らしいです。



TVアニメ『無職転生 ~異世界行ったら本気だす』ティザーPV<2020年放送決定>