『とある科学の超電磁砲外伝アストラルバディ』乃木 康仁 黒子と操祈のシーンが、ほんとグッときます。

とある科学の超電磁砲外伝 アストラル・バディ3 とある科学の超電磁砲外伝 アストラル・バディ (電撃コミックスNEXT)

評価:★★★★☆4つ半
(僕的主観:★★★★☆4つ半)

最近わかってきたのだけれども、僕は別に百合が好きなわけではないのんじゃないかって思う。そこに深い紐帯があれば、BLだろうが男同士でも、なんでもありだと思う。だから、単純に恋や性愛などが前提になるよりも、「そうじゃない」ほうが、より美味しい気がするんだよね。だから、百合モノではなくシスターフッドモノとしてみたいんだと思う。

だけど「そうじゃない」奴って少ないんですよね。だって、百合にせよBLにせよ、そもそも「そういう話」が前提じゃないですか?。紐帯とか友愛とか、、、なんというか武士の忠義みたいな奴なのかなぁ、「そういうの」が好きなんですよ。

それでね、何が言いたいかというと、僕は『とある科学の超電磁砲』が好きなんですよ、マンガもアニメも、もうとにかく何回読みのしたり見直しているかわからないんですが、、、一番昔の記事でも2008年くらいだから、16年くらいは何度も何度も読み返している。(そうか、、、もう15年以上、好きなんだ、、、この作品)。冬川基さん、乃木康仁さん、長井龍雪さん、どのシリーズを取っても、このスピンオフめちゃくちゃ(というかとんでもなく)良いんだよね。鎌池和馬さん、大好きなんだけど、あまりに刊行ペースが早すぎて、本編の方はかなり前に止まってしまっているのだけれども、レールガンのシリーズは、本当に好きで繰り返し読んでる。どこかで時間とって本編も全て見直したいなぁといつも思いながら、なかなか時間が確保できないでいる。

あ、えっと、なんでそう思ったかというと、『とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の心理掌握』の3巻が出て、あんまり良かったので、『アストラルバディ』から読み返していたんだけど、食蜂操祈のシリーズが、もうほんといいわぁって、ほわほわしていました。この子、もうとんでもないくキャラ立ってて、レールガンの御坂美琴に匹敵する主人公になっちゃったなぁ、と感心。鎌池和馬さんって、脇役を深掘りしすぎて主人公になちゃう系が多いよなぁといつも感心している。


で、何がいいのかは、このシリーズ読んでもらえればわかるんだけど、今日のお題は、黒子と操祈のシーンが、ほんとグッときたので。


とある科学の超電磁砲外伝アストラルバディ』の、ここですね。



これ、操祈ちゃんが、本当に良い子というかちゃんとしている子だから、成り立つ関係性なんですよね。普通に考えて「他人の心を操れる、心をのぞける能力」なんて、不幸への一直線だし、なによりも、そもそも「他者の考えがわかる」だけで、対等の関係が成り立つわけがないじゃないですか。ぱっと思い浮かばないけれども、「他人の心が読める」ことで、不幸のどん底になっていく超能力者とかの物語類型って多いですよね。あ、 佐藤マコトさんの『サトラレ』とかかな。あれも、大前提として、「他人の心が読める」存在が、社会にはじかれて恐怖の対象として孤立していく恐怖が前提として物語が組まれている気がします。


そうか、これエスパーものの物語類型としても、「他人の心を操れる、心をのぞける能力」という異能をネガティブに社会から孤立させないってだけで、この学園都市の在り方と、食蜂操祈のキャラクターって、とっても斬新なんだ。。。。

まぁ、話を戻すと、普通に考えて、心が読める奴が幸せになれるはずない!、としかならんと思うけど、操祈ちゃん、もう全編通して、他者と対等な存在になることに、死力を尽くしているところが、そしてそれが、周りの人間もビシバシ答えているところが、、、、もうとうとうくて、尊くて、、、、なんやこれ、、、というつも悶え苦しみながら読んでいる。クローンの話とか、もう涙なしでいつも見れないウルトラスーパーな物語だと思うし。それがねぇ、とあるレベル0の上条さんの、、、とかなるともう、その物語の大河ロマンな見方すごすぎない!ていつもおののきます。


もう15年以上前から(笑)、白井黒子ファンのペトロニウスとしては、だよな!そうだよな!と、操祈ちゃん、狙うよね、それ!と思うところが、グッときている。


petronius.hatenablog.com


しかも、美琴おねーさまへの、あれだけ深い気持ちがありながら、、、、いやゆれるでしょ、こんなん言われたら!!!!(笑)


って、いつも悶えているんですよね。単純に、惚れた腫れたとかの話ではなくて、「人間存在として」いいところついている。御坂美琴は、他者に頼らないから、必ずしも「必要とされている」わけじゃないというところをついてくるところが、またそれ事実だから、鋭い。そういうマイナスをつくだけじゃなくて、「でも私はあなた自身が必要」っえ、口説いてきて、それが本当なところが、操祈ちゃん。きみやべーわ。ほんと、いい女だよ、、、、。黒子、そりゃゆれるって、、、、。というか、黒子のような、本気の本物の心揺らすって、何気に凄すぎるよ!って、悶えています。


先日、『とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の心理掌握』の、待ちに待った3巻も出たけど、いやはや乃木康仁さんのこのシリーズ、無茶苦茶良いんだよ。いやさ、操祈ちゃんって、上条さんに、一途な人じゃないですか。

どう考えても、報われそうになりですよね。だって、本編の主人公で、インデックスも、それの対抗馬の美琴にせよ、スーパーヒロイン級なので、物語の幹というか本筋的に、いくらなんでも勝てまいと思うじゃないですか。もちろん、操祈ちゃんには、彼女なりの上条さんとの出会いがあるにしても、それを盾に彼女が、インデックスや御坂美琴の物語を押し除けるのは、やっぱりメインヒロイン(正妻?)の軸を壊すことだし、なによりも、それを主張しちゃうと「どっちがヒロインか、正妻か?」みたいな、競争にしかならないので、そういう争い自体が、たぶん恋愛の物語としては、ダメなドラマトゥルギーなんだよね。すごいメタすぎて、すごすぎると思うけど、操祈ちゃん「それ」をよくよくわかって行動しているところが、こ、この女、なんて健気で、しかもなんて頭が良いんだって、震撼してる。だって彼女の勝ち目は、その細い細い「奇跡のルート」しかあり得ないんだもの。けど、着実に「そのルート」のみを選択して、積み上げている。すごすぎる。

とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の心理掌握(3) (角川コミックス・エース)


えっと話が、食蜂操祈すげぇ!


になってしまっているだけれども、彼女って基本的に、男の子が好きなわけじゃないですか。上条さん一途ラブだもの。でもさ、でもさ、美琴との関係性の構築とか、自分の派閥の仲間達とか、、、、どう考えても対等になれない立場と構造の中から、「対等であろう」として、細い細いルートを歩んで着実に物語の蓄積をためていると、、、操祈ちゃん、百合ワールド、、、もうとんでもないことになっていて、それがしかもゆりゆりしい感じではなくて、対等なガチな人間と人間の友愛関係なんで、、、、

むしろそれがよい!!


って気分になるんですよね。食蜂操祈、人たらしがすぎる。他人と対等になろうとしている人の魅力って、物凄い破壊力なんだなと震撼しています。そしてよくよく考えると、そもそもこの社会、人間の世界では、「対等であろう」となんて、みんなしていないんだって気付かされる。物語の世界でも現実でも、基本的に人間は、自分の自我の世界に閉じられて、「自分しか見えていない」し「自分のことだけを考える」生き物っていのがデフォルトなんだよね。だから、他者をコントロールできるほどに力や魅力がある人間が、「わざわざ対等になろう」とするのは、気高すぎるんだよね。いやはや、、、


あ、あと、ペトロニウスが、単純な百合とかBLじゃないほうが、いいんだよって話しは、ずーっと話していますよね、下記の記事とかで。


petronius.hatenablog.com


あ、あと、長井龍雪のアニメ『とある科学の超電磁砲』も、佐天さんお話で、これも無茶苦茶傑作ですわ。


petronius.hatenablog.com


ちょっと、あまりに良かったので、感想書いた。ちなみに、シリーズ全体としては、★5つガチなんだけど、やっぱり「どれから読むか?」とか、他の膨大なメインルートの作品が前提になっている、スピンオフの作品は、単純にお勧めできないので、少し下がってしまう。でも物語の強度としては、超ウルトラ級だと思う。というか、単純に好き。