『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』 監督 長井龍雪 脚本 岡田麿里  その人が本当にそこにいるということは、物語の道具となることではない

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 5 【完全生産限定版】 [Blu-ray]


評価:★★★★★星5つのマスターピース
(僕的主観:★★★★☆星4つ半)


なんというか、最終回11の最後で、ドカンといいたいことを爆発させる作品だった。ストレートかつシンプルな物語構成。長井監督は、本当に素直かつストレートな作劇をするよね。いいたいこと「のみ」を描く物語だった。残り10話は、11話の感情移入をするための完全に道具という感じ。見事にまとめた作品だなー。


ルイさんの読み込みが本当に役にたった。これって、めんま以外のメンバーが、「現実をちゃんと生き直す」という「道具」としてめんまが存在してしまうという・・・・物語としては「それ以外ありえない」ということの「ひどさ」をどれだけ感じられるかって物語なんだろうと思う。ここのめんま自身が何を感じているだろうか?ということに対しての感情移入がなければ、この作品の本質はわかったことにならないと思う。ルイさんは、「めんまの天使化」とか「皆が現実をちゃんと生き直すための道具となる」といういい方をしていたが、それを見せつけられればられるほど、切なくなってしまう。これって、たぶん小説にした方が、さらにこのテイストが出るんだろうと思う。小説は、間違いなくめんまの一人称になるはずだもの。


基本的なドラマツゥルギーは、めんまの死によって止まってしまった、超平和バスターズのメンバーが、もう一度現実を踏みしめてちゃんと生きていくという物語。この本筋自体は変わらない。けれども、全編にわたって、「その本筋」のための「道具」とされるめんまの気持ちはなんなんだろう?どう思うんだろう?という「視点」がずっと脚本家によって設定されていることによって、物語に深みが増す。とううよりも、「そっち」のほうが、脚本家がいいたかったことなんだろうと思う。その人が本当にそこにいるということは、物語の道具となることではないってこと。未来を奪われて、物語の道具になることの残酷さを、、、その生贄を持ってしか現実を生きていくことができない、「生者」の残酷さ・・・・。生きるということは常に残酷なことなんだ。。。。「自分の物語を正常化するための道具」としてめんまを見ていることへの「気づき」というか告発が、12話の中核。そして、この物語のすべてでいいたかったこと。それって、『truetears』の「まごころの想像力」ってやつと同じですよね。


まだ言葉がまとまっていないのですが、作品としての完成度は超一級。けど、個人の感想が少し低いのは、、、、ほんとうは、僕は、「この先」が見たい気がしてしまうのだよな、、、。この作品の設定では、「この先がない」というお話なんだけれども、、、、。まぁこの辺は見るタイミングや個人の嗜好の部分であって、本当に素晴らしい作品でした。


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