印象派展 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵〜アメリカ印象派へ

親友と「印象派展モネからアメリカへ」に行ってきました。日本に帰ってきたら、なるたけ美術展や展覧会みたいなものは、コツコツ定期的に行こうと決めたのですが。かなりしっかり通えています。とても嬉しい。つきあってくれる友人がいることも嬉しい。

worcester2024.jp

本当はナイトミュージアムに行ってみたかったんですが、チケットが気づいた時には売り切れていました。印象派は、オルセー美術館には行ったことがあるけど(もうほとんど覚えていない)、オランジュリー美術館もいつかは行ってみたいと思っている。

アメリカのボストン近郊のウスター美術館の印象派コレクションを中心に紹介。フランスで生まれた印象派の技法が、日本や特にアメリカに展開していく様がよくわかった。光を描こうとする印象派の技法は発想が、それぞれの土地にローカライズされていく過程を見るのは、とても興味深かった。中には、印象をは日本に紹介し持ち込んだ黒田清輝の作品もあり、ああなるほど、こうやって世界にオリジナルな技法は広がって影響を与えていくんだと感心した。

最初の展示は、フランスのモネ、ルノワール、カサっト、クールベ、コロー、シスレーピサロからはじまります。彼らがなぜフランスの郊外の田園風景などを描いたか?。。ちょうど、いまコテンラジオでフランス革命の回を聞き直していたのがシンクロだったんです。

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この時代は、ほんとうにメチャクチャな時代で、とりわけ大都市部は、産業革命の進展とも相まって、常に大混乱。そうした大都市部の混乱に嫌気がさして、郊外や田園風景に退避していく中で、ただ単に風景というか「そこにあるもの」ぐらいに思われていた田園風景の中に「美」を発見していくことになるんですよね。その時、時間お経過とともに、あたる光が異なっていくことで、それを捉えようとして、印象派の技法は生まれていくんですよね。

アメリ印象派の代表のチャイルド・ハッサムニューイングランドの風景、西部の風景などを、描いていく展開は、とても興味深い。何が面白かというと、ヨーロッパで郊外の田園風景の美しさを再発見していく流れと、ヨーロッパに留学した経験のない地元の絵描きが、アメリカのニューイングランドの田舎の自然をずっと描くようになってローカライズされていくところ。また、南北戦争の暗さを反映して、色調が暗いものが増えるなど、光だけではなく内面の陰鬱さや感覚なども織り込んでいく流れが垣間見えるところ。ああ、意外に、能天気そうに見えるアメリカ人って、こういう陰キャな暗いのが好きなんだなって、言い換えればアメリカ人って、伊賀に内面は暗いんだと感じるの面白かった。その後、アメリカの大自然を観光しようという観光ブームが生まれて、鉄道発達と相まって、宣伝の宣材としてこれらの画家たちによる絵画が描かれていくところも興味深かった。


ちなみに、いつも上野駅前のベンチで待ち合わせ。



昼ご飯は歩いてすぐなので、上野精養軒のランチで、伝統のビーフシチューを。

『ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する』(2020)雨宮透子著 7回の人生から垣間見える「選択する自由」の可能性の美しさ

ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する 1 (ガルドコミックス)

評価:終わっていないので未評価
(僕的主観:★★★★☆星4つ半)  

2024年1月からアニメーションが放送されている。アニメも出来も良くて、オープニング聴いてちょっと涙ぐんでいる。OPの演出や選択で、監督や作り手の愛を、すごい感じちゃうなー。僕は小説も漫画も大好きで、何度も繰り返し読んでいるんですが・・・・といま気づいたんですが、「死に戻りループ作品」ばかり読んでますね、僕。『外科医エリーゼ』もそうだし『ある日、お姫様になってしまった件について』も『やり直し姫はが夫と恋したい』、全部、死に戻りだ・・・。


ちなみに、小説、アニメーション、マンガ全て同じ評価。こういうのはめずらしい。普通は大抵、アニメがダメなんですけど(苦笑)。アニメーションの、皇帝とリーシェのダンスシーンは、素敵だった。ただ、ピンクの髪に濃い青のドレスは、色の組み合わせは、うーん、どうだろう。2回目の夜会の薄い青の組み合わせは、素敵だったけど。


それはさておき、この作品のコアって、


7回の死に戻りのループで、全て異なる職業について人生を謳歌しているって、点なんだと思っています。


リーシェ・イルムガルド・ヴェルツナーという15歳の公爵令嬢は、婚約破棄されて家を追い出されて、商人に拾われ、商人になって世界中を旅するようになりますが、20歳の時に戦争に巻き込まれて死んでしまいます。なぜか死ぬと婚約破棄された15歳の宮廷に戻ってきてループしてしまいます。そこで婚約破棄をされまた家を出るのですが、彼女は、その後、薬師、錬金術師、公爵家の侍女、男装した騎士としての人生を送ります。その全てが戦争に巻き込まれて20歳で死んでおり、その最後の騎士としての殺された相手が、アルノルト・ハインというこの戦争を起こすガルクハイン国の皇帝で、7回目のループでは、彼に求婚されて、皇太子(即位前の時間なので)の婚約者として、ガルクハイン国に赴くことになる・・・・


ということが、この物語の骨子です。


何がいいって、このリーシェという主人公が、素晴らしいんですよ。7回の人生をたった5年で毎回夭折しているんですが、異なる職業について、人生を謳歌しています。エネルギーに溢れる子なんですよね。


ピッコマの漫画系統とかにすごく多いと思うんですが、この手の「悪役公爵令嬢の転生とかループもの」のコアの魅力って、なんといっても、女性の役割に縛られている人生からの解放だと思うんですよね。


女性を縛り苦しめているものの象徴として、「王子との婚約」があって、それを破棄される(=受け身)から、自分自身の足で自律して人生を生きること気づいて、人生の豊かさを知っていくところに、物語の荒々しいコアがあると思っています。いろいろ類型の特徴がありますが、結局、王子(=国の後継者)の婚約者であるということは、「子供を産む道具」として、道具扱いされて育ち、生かされていることに意識がとらわれているがゆえに、外部から現れたメインヒロインに王子様を略奪される「可哀想な役割」なんですが、この役割から解放されるて「自由を知ること」がこれらの類型のプリミティブな本質だと思っています。


だとすると、リーシェが、どれだけ「自分の人生を選択できる自由を喜びに満ち溢れて体感するか」が、この類型のコアだし、物語の最も感情訴求ポイントになると僕は思うんです。


さて、人生を「子供を産む道具」「王子の従属物」として育てられてきた少女が、自分になんの落ち度もないのに王子に婚約破棄され(クズ男の典型ですよね)全てを失ったどん底から、「新しい人生を歩み直して」、自分で選択する喜びを知って、5年しか寿命がない中でも精一杯、その時その時の人生を、折れずに前向きに生き続ける彼女の魅力を、どのように表現するか?


これが、演出に課せられたミッションになると思います。


という「文脈」を押さえた上で、ぜひ下のオープニングを見てください。素晴らしいと思いませんか?。僕は、ちょっと涙ぐみます。海で、空を自由に飛び回る渡り鳥を見るシーンのカットとか、感情がざわつきます。愛溢れる演出だと思います。

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まだ9話しか見ていないのですが、よくできたアニメだとは思うけれども、例えば最近の作品だと『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』のアニメのような絵作りに凝ったというわけでもなく、平均点のアニメなんだと思う。いろんな設定は、そこまで深いわけでもなく、そういう文脈的な深みを全く感じないので、まさにキャラクターと物語の力だって思う。僕は政治とか戦記ものみたいなのが、主には好きなんで、こういう少女マンガちっくなものの評価はすごく低くなるんですよね、基本。本当は。そして、なんかマイナスの言い方しているようですが、こういうガワとかマクロの設定や文脈なんか、、、、物語のプリミティブな荒々しい魅力が、きちっと表現されていれば、それこそが人の心を打つと僕はいつも思います。そして、それが最も大事なこと。


ということで、リーシェ大好き(笑)。


でも、自分で彼女の魅力を考えていて、、、異性としてカワイイという視点皆無で、これ完全に娘を見る視点だ、おれ(笑)。自分の娘たちに、こんなふうに、世界へ自由に旅立つ選択肢の可能性を持ってほしいとって、凄い感じるもの。ちなみにキャラクターのデザインも、好き。悪役令嬢がコンセプトだったからか、少し目が吊り目というか、怖い感じに描こうとしていて、キツめになるかならないかのぎりぎりのところが、勝気な感じで、そこがとてもいい。この子の魅力って、そうとう厳しいことに出会っても、「心が折れない、前向きの気持ちが失われない」ところだと思うんですよね。だから、僕は、ダントツでにショートカットの男装騎士姿は好き。