『ガン病棟のピーターラビット』 中島梓著  

ガン病棟のピーターラビット (ポプラ文庫 (な1-1))ガン病棟のピーターラビット (ポプラ文庫 (な1-1))
中島 梓

ポプラ社 2008-08
売り上げランキング : 39007

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

アマゾネスのように (ポプラ文庫 な 1-2)アマゾネスのように (ポプラ文庫 な 1-2)
中島 梓

ポプラ社 2008-10
売り上げランキング : 5932

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


【ゆうゆうLife】苦労した膵臓がん手術 作家・栗本薫さん(55)(上)
http://sankei.jp.msn.com/life/body/080529/bdy0805290754000-n1.htm

友人から、日本経済新聞の9/29版に「人生の終章」という記事で、中島梓さんの記事が載っていたのを教えてもらい読んだ。この記事には、末期がん、とかかれていて、わかってはいたがそう改めて言葉にされると、ショックで少し打ちひしがれてしまった。


この前、20年近く栗本薫のファンをしている海燕さんに会って、いろいろなことを話しているうちに、ああ、僕の人生は栗本薫中島梓さんという人が存在しなかったら、ほとんど別人格といえるほど違ってしまっていただろうな、、、としみじみ思いました。この人の作品に、文章に、出会うことがなければ、僕は世界がこんなにも美しい場所だとは気づかなかったかも知れない、と思います。冗談ではなく、僕の物事を判断する、最も究極の価値観は、ほとんど彼女の小説から学んだと思う。本当に擦り切れるほど、彼女の小説を評論を読み込んだ。人生で迷い、苦しみ、何か大きな判断をするときには、彼女の作品が常に僕の胸にあったと思う。この暗い腐った世界の中で、それでも、消えずなんとか灯り続けている灯台のように。


思えば、小学生の高学年から、ずっと、傍らに彼女の作品があります。


そして、最も多感で人生に影響をあ与える青春時代に、座右の書として、それこそ数え切れないほど繰り返し読み返し、地となり肉となり、だから今もって僕の価値観と考え方の根幹を占めています。正直いって、もう10年以上前にガンで手術を受けられた時は、もうこれで、グインを読むこともないのかと、、、深く落胆したのを覚えており、死なないでほしいと、思わず神社にお参りにいって祈ってしまったりしたのを覚えている。いや、そんなことするならファンレターでもなんでも書けばいいのだろうが・・・なんか、祈るぐらいしかできない気がしたんだよね。


けど、それから10年以上時が過ぎ、、、ああ、やっぱりグインサーガは、伊集院大介シリーズは、永遠に続いていくのだ、硬い地平のように、僕が老いて死ぬ直前まで発刊され続けるのだ・・・・やっぱり、「世界はかくあるごとく正しくそうなる」んだ、、、そう思っていました。けど、今度は、、、、、。


正直いって、もう僕は彼女の生き方、、、、栗本薫さんが、メメント・モリ・・・死を忘れるなって生き方に、真実を見出しているのは、知っている。彼女の本を深く愛し、その本質を理解している人は、誰もがもう今更この新聞記事やガンの闘病記を読んでも、別に何とも思わないだろう。なぜならば、もう彼女の作品世界、彼女の生み出したもう一つのありうべき世界に生きる人々が、何百冊の本の中で、それを語ってきたから。


この生きる価値のないゴミに溢れた世界で、それでも、もしかしたら真実があるかもしれない、もしかしたら、、、と思い、同じように孤独のうちで胸に松明をともし、戦っている人が、この世界にもしかしたらいるのかもしれない・・・たとえ、それを知ることなく自らが倒れて死ぬことがあるとも、きっとそんな人がいるだろう、、、それを信じられたのは、彼女が、物語の世界で、それを叫び続けてきてくれたからだと思う。


まだ、まだ頑張ってほしい。まだ彼女を連れて行ってしまわないでほしい。僕には、何ができるわけでもないので、ただ祈るだけですが、、、、、。世界ってなんて不条理だと思う、、、、何十万人も彼女の作り出す物語を真摯に待つ人が、いるというに、、、なんで、、、、と思う。けど、そうなんだろう、死はだれのもとにも平等に訪れるものなのだろう、、、、限りある生ある身としては、ただ、メメントモリ、、、死が傍らにあることを忘れないで、真摯に生きるだけだけなんだろうと思う。


なんか、僕がしんみりしても仕方ないんですが、読んでいて、胸がいっぱいになってしまいました。もっともっともグインサーガが続いてほしいです。