『乙嫁語り』 森薫著 これいいです!。

乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)

思わず購入したのだが・・・・・なんというか、そこらの漫画とは別格に面白い。特に、忘れられないのが、主人公がウサギを狩るシーン。この躍動感を漫画で描けるのは、凄いうまいなぁと思う。ともすれば、書き込みが多いし、描写が美しい、「絵」でもせるタイプに思われるかもしれないが、このコマわりというか、動作の描写のうまさとシンプルさがあってこそ、のものだと思う。

『エマ』でも思ったんだが、、、、話としては、メイドが好きなんだな、とか中央アジアが好きなんだなーとか、作者のマニアックな偏愛をとても感じる作りというだけで、かつ物語としては・・・・恋愛としては、不器用な普通のもので、何があるというわけでもない。これは全作品に共通している・・・・にもかかわらず、何か「男女の関係」の大事なところがよくわかっているような、しかも、非常に高みから安定して見守るような広い視野を感じる。この作者、よほど幸せな関係性を経験している(んだろうなやっぱ・・・)か、そうでないで脳内でこれだけの感覚を作り出せるとしたら、それはなんと大人な人であろう・・・・。

なんか酸いも甘いを分かり尽くした夫婦の、それでも「愛」と「恋」の差がよく分かっているような、そんな、オトナーな視点を感じる。ああ、そういえば少し毛色は違うが、このオトナーーという感じは、少女漫画家の山田南平さんでも感じたことがある・・・・あっちよろ森さんの方がさらに大人な感じがするが・・・。なんあんだろう?これ。「これ」があるからこそ、この初々しい新婚夫婦の描写や関係が、非常に深みのあるものに変わる。なんだろう?うまく表現できないが、、、、いいです。


オトナになる方法 (第1巻) (白泉社文庫)