2018年米国中間選挙を目前にメモ

冷泉彰彦
プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
中間選挙を目前に、トランプが分断を煽る理由
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2018/11/post-1043.php
2018年11月01日(木)15時30分

本日は、2018年11月1日。昨日のハロウィンの熱気が冷めやらないお祭り気分ですが、もうすぐ来週の火曜日にの11/6に米国2018年中間選挙があります。トランプ大統領に関しては、なんだかとても不思議な気がしていて、倫理的、道徳的には、共和党支持者を含めてもだいぶ、それは受け入れられないだろうという暗黙の雰囲気があるにもかかわらず、どこかで彼の暗黙の支持があるような感じ。

テイラー・スウィフトの「民主党議員支持発言」から学ぶマーケティング【連載】幻想と創造の大国、アメリカ(7)

https://finders.me/articles.php?id=457&fbclid=IwAR0h0W-rbfHL8oJkemdDXOCo-wsceO8zfAp6FIhXAgWzVOdlJSfoqLQUUz8

「これまでは自分の政治的見解について公の場で述べることをためらってきました。けれども、自分の人生や過去2年間に世界で起こった出来事のおかげで、それについてずいぶん異なる見解になりました。これまでもそうでしたが、これからも私は、この国のすべての人が持つに値する人権を守り、そのために戦う候補に投票します。私はLGBTQの権利のための戦いを信じますし、性的指向ジェンダーに基づいた差別はいかなるものでも不当であると信じます。この国に現在でも存在する有色人種(people of color)への構造的な人種差別は恐ろしく、吐き気がするものであり、しかも蔓延していると信じます。
肌の色、ジェンダー、愛する相手に関係なくすべてのアメリカ人の尊厳ために戦えない人に私は票を投じることはできません。テネシー州上院議員に立候補しているマーシャ・ブラックバーンという女性がいます。これまでもそうですし、これからも女性候補に投票したいと思っている私ですが、マーシャ・ブラックバーンを支持することはできません。彼女のこれまでの議会での投票の歴史には、ぞっとします。彼女は、女性が男性と同一賃金を得ることに反対の投票をしました。ドメスティック・バイオレンスやストーキング、デートレイプから女性を守るための「女性に対する暴力反対法」の再認可に反対の票を投じました。(中略)これらは、私にとっての「テネシー州の価値観」ではありません。私は、上院議員はフィル・ブレデセン、下院議員はジム・クーパーに投票します(どちらも民主党)。どうか、お願いですから、あなたの州で立候補している議員について学び、あなたの価値観に近いことを代弁してくれる候補に投票してください。すべての問題について100%意見が一致する候補や党を見つけられることはないかもしれません。それでも投票はしなければいけないのです。
賢明で、思慮深く、冷静な多くの人が(大統領選後の)過去2年の間に18歳になり、票を投じる権利と(それによって影響を与えることができる)特権を得ました。でも、その前に選挙登録をする必要があります。手続きは簡単ですが、テネシー州では10月9日がその最終日です。Vote.orgに行ってその情報を得ましょう。ハッピー投票!」

https://www.instagram.com/p/BopoXpYnCes/?utm_source=ig_embed


テイラー・スウィフトが10/7にこの投稿をして、確かのその前日に、ブレット・カバノーが最高裁判事の承認を受けた日だったので、タイミングがすごかった。10代での性的暴行を受けたという女性が公聴会で証言したが、共和党が支配する上院が僅差で可決。これに反するような流れを作った、、、と思っていたのですが・・・・。

<オンラインのヘイトスピーチを規制すればするほど、ネオナチが自由でオルタナティブSNSに集まっていくジレンマ>
ペンシルベニア州ピッツバーグユダヤ教礼拝所(シナゴーグ)を襲撃し、11人を殺害した容疑者が利用していたことで一躍注目されたソーシャルメディアGABは、その後サービス停止に追い込まれたが、ネット上でのヘイト規制の強化は必要であるとしても、白人至上主義をアンダーグラウンド化させ、先鋭化させやすくもするとみられる。
反ユダヤ主義の蔓延
アメリカのユダヤ人団体、名誉毀損防止同盟(ADL)は10月27日のシナゴーグ銃撃事件を、ユダヤ人を標的としたヘイトクライムとしては「アメリカ史上最悪」と表現した。
ユダヤ人に対するヘイトクライムは増加傾向にあり、ADLによると、2017年には脅迫、器物破損、襲撃などが1986件と前年度比で60パーセントの増加し、この増加幅は過去最大だった。
欧米世界における反ユダヤ主義は中世にまで遡り、19世紀以降さらに激しくなったが、最近では数千人の移民希望者が中米ホンジュラスからアメリカへ陸路で北上するなか、「(ユダヤ人の著名な投資家で大富豪)ジョージ・ソロス氏がアメリカを破滅させるためにこの大移動を企んだ」という陰謀論も広まっている。また、トランプ大統領の周辺に娘婿クシュナー氏をはじめ多くのユダヤ人がいることも、(キリスト教徒であることを前提とする)白人至上主義者の反感を招いている。

根深い反ユダヤ主義を背景に、ピッツバーグシナゴーグを襲撃したロバート・バウアーズ容疑者は発砲の直前、「全てのユダヤ人は死ぬべきだ」と叫んだと報じられている。
ユダヤ教礼拝所銃撃】アンダーグラウンド化する白人至上主義──ネット規制の限界
2018年10月31日(水)13時00分
塗り替わる世界秩序
六辻彰二
https://www.newsweekjapan.jp/mutsuji/2018/10/post-46.php


先週27日に、ペンシルベニア州ピッツバーグユダヤ教礼拝所で11人が殺害された乱射事件も、そもそも、アメリカの背後にある反ユダヤのどす黒い部分に火をつけたのは、何かの問題を差別や移民や陰謀論にすり替えて攻撃しても「いいんだ!」というようなトランプ政権下の雰囲気が背景にあるのは誰が見てもそうだと思うんですが、現状トランプ政権は、全く大統領の責任ではない、といった感じで、中間選挙を睨んで無視している感じがします。(ちなみに、その前のトランプさんの熱狂的な支持者が爆弾を反トランプの人々に送り付けた事件では、国民に和解を!とか、自分伊関係あることのようにふるまっていたのと好対照です)戦術的にはわかるのですが、それが許されるのが、とても不思議。むしろ、中南米からの移民キャラバンの問題をガンガン取り上げて、South Boarderに兵士を送るなどのパフォーマンスで、むしろ共和党トランプ支持者に追い風になるような雰囲気が満ちていて、とても不思議。

大統領は、自分は「ユダヤ系にはフレンドリー」だとしていますが、例えばNY市内では昨年の大統領就任以降、ユダヤ系に対するヘイトクライムが増加したということが社会問題になっています。今回の残虐な乱射事件も「ユダヤ系の投資家、ジョージ・ソロスが移民キャラバンを支援している」というネット上の噂を信じて、勝手にヘイト感情を募らせた結果でしたから、百歩譲って大統領に「反ユダヤ」の意図はないにしても、大統領の言動が暴力を誘発したという批判は否定できません。
中間選挙を目前に、トランプが分断を煽る理由
2018年11月01日(木)15時30分
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2018/11/post-1043.php

中米からアメリカに向かっている移民キャラバンの入国を阻止するべく、米軍は最大で1万4000人の部隊を、メキシコと接する南部国境に配備する計画だ。うち7000人は、万が一に備えて24時間で待機する予備役部隊。
移民キャラバンの入国は決して許さないと警告してきたドナルド・トランプ米大統領の指示で、米国防総省は10月29日、キャラバンの到着に先駆けて最大で5200人の部隊を国境に派遣すると発表した。今回派遣されるのは「実際に武装」した部隊で、すでに国境に配備されている州兵2000人に合流すれば、合計で7200人となる。これは、イスラム国(IS)掃討作戦でイラクとシリアに投入された米軍兵士の数に匹敵する。
中米からの移民キャラバンを迎え撃つ?米軍部隊が国境へ
U.S. Has Force of Up to 14,000 Ready for Border Action

2018年10月30日(火)16時16分
ジェームズ・ラポルタ、トム・オコーナー
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/10/post-11204.php

冷泉彰彦さんの上記の指摘などが恒例ですが、なんとなーく、いままではポリティカルコレクトネス的に言ってはいけないという意識があったものが、そこのリミッターを外してもいいんだ、というような雰囲気が蔓延している気がしてなりません。デモクラット的には、そりゃ悪い影響だろうといえるのでしょうが、これが長期的に人類の未来にどういう影響を与えるのかは、わからない。ちなみに先進国共通の現象のように思える。ブレクジットと安倍首相の長期政権も構造は似ている気がします。なので、これははっきりとした「傾向」なので、これをイデオロギーでいい悪いと言い切ってしまうと、冷静な分析というか予測を妨げる気がします。ただ、アメリカに住む居住者として、こういう移民は意識的な感覚は、怖いなとは思う。もちろん、自分が住んでいるサザンカリフォルニアと、その他の地域では全然事情が違うんだろうと思うけれども。サザンカリフォルニアは、そもそもヒスパニックの色が濃いし、デモクラットの牙城のリベラル色が強いし、なによりも、経済が好調な西海岸だからね。ここでは、多様性がとても肯定的な感じがするし、こういう場所と、打ち捨てられたラストベルトやバイブルベルト、内陸部と比較しても全く違う場所で同じとは言えないと思うので。「アメリカは!」とか主語をひとまとめにする人は、本当に信じられない。そういう出羽守にはならず、具体的でミクロの視点で、そこに住む人の主観にシンパシーのあるような世界の長め型ができる人でありたいと思います。

Pittsburgh mayor to Trump: Armed guards are not the answer
"We should try to stop irrational behavior from happening at the forefront," Bill Peduto tells "Meet the Press" in the wake of Saturday's deadly shooting.
https://www.nbcnews.com/politics/donald-trump/pittsburgh-mayor-trump-armed-guards-are-not-answer-n925341?cid=sm_npd_nn_fb_ma

全米ライフル協会なら言いそうなんだけど、時の大統領が、もっと武装していたら、襲撃は防げたなんというセリフを言うのは、憲法修正第二条がある、革命権を認める国という伝統があるとはいえ、現代では、さすがにそれはないんじゃないかと思うんだが、平気で言えちゃうところが、トランプさんの凄みな感じがする。マーケティング的に、凄い嗅覚。でもナーこういうマーケティングって、いわゆるポピュリズムとしかいいようがないんだよなぁ。

ポリティカルコレクトネスについては、たとえば町山智浩さんの視点は、常にリベラルで一貫していて気持ちいいん詩、僕もとても共感するんだけど、、、、だって、その通りだもん、外国(日本)からきてアメリカに住んでいるのに、PCにうんざりとは言えないと思うんだよね。そこがよるべきところだから。

でも、アメリカ全体に、これがうんざりという気分が広がっているのも、事実。たぶん、これは日本でもそうで、フェミニズムが行き過ぎて嫌われるキズナアイ問題とかもそうなんだけど、なんだか、「正しさ」が暴力的になって、反発を生んでいく流れの中で、これまでは差別やヘイト、陰謀論などとして全く受け入れられていなかったものが、その反発を吸収して(それ以外に吸収する場所がないので)社会が閉塞して、非寛容になっていく大きなうねりみたいな力学を感じます。つい先日、10/29/2018にブラジルの大統領選挙で、極右のボウソナロ氏が当選したんだけど、なんか世界的に、この傾向は強いような気がするんですよねー。

ポリティカル・コレクトネスの時代とその誤解:なにが「ポリコレ疲れ」を生んでいるのか?
2016年11月28日政治・国際関係
The HEADLINE
https://www.theheadline.jp/30811

Americans Strongly Dislike PC Culture
Youth isn’t a good proxy for support of political correctness, and race isn’t either.
OCT 10, 2018
Yascha Mounk
Lecturer on government at Harvard University
https://www.theatlantic.com/ideas/archive/2018/10/large-majorities-dislike-political-correctness/572581/?fbclid=IwAR1XD0SnZbzT0MmdwsTh96AHFVbKxyIbtV8wUV2Ybop5b8aIk0iVgGeY4O8

“Hidden Tribes: A Study of America’s Polarized Landscape,”
https://static1.squarespace.com/static/5a70a7c3010027736a22740f/t/5bbcea6b7817f7bf7342b718/1539107467397/hidden_tribes_report-2.pdf

WESTERN EUROPE
Shocking study reveals 72 per cent of French youngster want to leave France
By ABDELHAMID KADDOUR 21 October 2018
https://voiceofeurope.com/2018/10/shocking-study-reveals-72-per-cent-of-french-youngster-want-to-leave-france/?fbclid=IwAR3sTo3th3RVAdRqmsJdECBeizkMdrmnyhwUPgN_eSr0yxoRGf2VAMKyJOo

この辺のサーベイとか、見るとショッキングなんですが、でもなー実感的には、僕は男性で、ミドルクラスのアジア系に分類されると思うんですが、そうだよなぁーとしみじみ思うんですよね。

SNSで行われる議論に必要な意識
 私はその困難さの理由のひとつには、TwitterをはじめとするSNSの構造の難点にあるのではないかと思っているが、現状はこのような構造の中に私たちの公共圏は危うくぶら下がっている。だとすれば、そこで行われる議論はより攻撃的ではない方へ、より抑制的な方向へと意識することが必要なのだと思う。
 具体的に言えば、「表現の自由」のような制限をかけやすいネガティブな方向については、より抑制的に自由を侵害しないようにすること。いっぽうで、マイノリティの包摂のようなポジティブな方向については、選別せず積極的にみんなを包摂していくこと。

 いまのネットの議論では、なぜか表現の自由は制限の方向へと進みやすく、包摂は選別されやすくなっている。これは明らかに逆ではないだろうか。

炎上した「キズナアイ」問題 “表現の自由”を主張する前に考えたいこと
佐々木 俊尚
http://bunshun.jp/articles/-/9492


ちなみに日本のキズナアイ問題は、佐々木俊尚さんの記事が素晴らしかった。公共圏、公の問題とインターネット的な文脈は相性が悪くて、公が成り立たなくという会脳死なくなっているのは、世界中の現在的状況な気がします。ハーバマスの『公共性の構造転換』でも読み直すかなぁ。

ちなみに、アメリカ人の友人と話して、彼はデモクラットなんだけれども、中間選挙どうなると思う?という質問をしたところ、共和党が勝つだろうなーと、しんみり言っていた。なぜと聞いたら、Gerrymanderingだからね、とのこと。

Gerrymandering
Gerrymandering is a practice intended to establish a political advantage for a particular party or group by manipulating district boundaries.

ゲリマンダー(英語: Gerrymander [ˈdʒɛriˌmændər])とは、選挙において特定の政党や候補者に有利なように選挙区を区割りすることをいい、本来的にはその選挙区割りが地理的レイアウトとして異様な場合を指していう。ゲリマンダリング(英: Gerrymandering)とも呼ばれる。英語での発音はジェリマンダーであり、jerrymanderと綴られることもある[1]。ただし語源となった人名はゲリーと発音される[2]。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%83%AA%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC
https://www.google.com/search?q=gerrymandering&rlz=1C1GCEA_enUS774US774&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwj8nY3P6LPeAhVdIDQIHW4aBLcQ_AUIDigB&biw=2133&bih=1053&dpr=0.9

選挙区の区分けが共和党有利にできているので、どうしてもその傾向があるんだよ、とのこと。2020年にセンサスがあって、redistrictingが行われるときの政権が何か、が勝負だね。という風に言っていました。この辺りは、保守派の傾向があるブレット・カバノー(Brett Kavanaugh)さんが、トランプ大統領に指名されて、リベラルの比率が下がって、長期的にアメリカの最高裁の意思が保守派によっていることのように、むしろ時の大統領が誰かよりも、アメリカの歴史を支配する要因なんで、「そこ」を追うべきところなんだなーと思った。

『革命 仏大統領マクロンの思想と政策』 Emmanuel Macron著 親グローバリズムでEU強化を訴えながら民衆から支持を受けて選ばれる流れはカナダのJustin Trudeauの流れと似ていて、トランプ政権の傾向と逆方向ですね。

革命 仏大統領マクロンの思想と政策

客観評価:★★★★4つ
(僕的主観:★★★★4つ)

■読んだきっかけ

トランプ大統領の登場により、多くのメディアは、グローバリゼーションや地球温暖化対策は曲がり角に差し掛かったと報じた。ブレクジットについてもEUの将来を悲観的に見る報道が多かった。しかしフランスでは、グローバリゼーションを真正面から受け止めEUの強化を愚直なまでに訴えたマクロン大統領が誕生した。

中略

もっとも、政治家は、理念や思想ではなく結果で評価されるべきなので、この先マクロンがどんな結果を残すのか、とても楽しみだ。わが国では誰しもアメリカのことは学ぼうとするが、このような個性的な政治家を生み出したヨーロッパの懐の深さにも、学ぶことが多いのではないか。リーダーは、何よりも、確固とした国家観を持たねばならない。リーダーを目指す全ての人に勧めたい良書だ。

『革命 仏大統領マクロンの思想と政策』 出口 治明2018年06月14
http://honz.jp/articles/-/44803


読んだきっかけは、単純です。出口治明さんが紹介していたから。しかし、それ以上に、ここで示されている視点が、読むにあたって凄く指針になり、読むに値する現在的なテーマだと思いました。というのは、排外主義的で反グローバリズム保護主義的なトランプ政権、連合王国のブレクジット、日本の安倍政権など、傾向的に似ている流れがあるように思えるとことで、はっきりと逆の方向を示しているのがカナダやフランスだと思っていて、なぜこのような真逆の政治状況が生まれるのかにとても興味がわいたからでした。また私はアメリカに住んでいるので、トランプ政権の動向や、深く根付くアメリカの感情的な反応は日々実感しますし、同様に日本の雰囲気や流れにも直感が働くのですが、フランスなどヨーロッパ、しかも現在の流れとはまるで逆の方向のものは、よくわからなかった。なので、凄くいいチャンスでした。


またこれを読んで思ったのは、出口治明さんがシラク三原則をよく例に挙げるように、むしろ、日本としては、フランスの事例のほうがはるかに類似性というか、適用可能性が高く、例としてはアメリカやイギリスよりもはるかに役に立つのではないかと唸らされました。起きている現象や国の構造がとても似ているのが驚きでした。




■右でも左でもない何かに向かって進もう


大統領選挙直前に書かれて出されている本なので、青臭く、観念的ではあるが、さすが、39歳フラン史上最年少大統領(ナポレオン3世が40歳)になるだけある、課題山積みの成熟先進国の問題点を、俯瞰的に網羅していて、ため息が出るインテリぶりだ。大統領に当選する前に書かれたこともあり、公式回答のような優等生ぶりを感じるので、その辺を差し引かないと、政治家のマニュアル答弁のような感じがするので、少し読みにくい。テーマの読み方としては、やはり、イギリスのブリクジット、アメリカのトランプ大統領、日本の安倍首相と、反グローバリズムで、右寄りで排外主義的かつナショナリズムの傾向が強い現代のの傾向に、カナダのトルドー首相とともに、明確に、親ヨーロッパ(EU統合)、グローバリズムをベースにする逆の傾向を持つ政権で、フランスが極右の国民戦線マリーヌ・ルペン氏ではなく、なぜ彼を選んだのか、が知りたかった(もちろん、出口治明さんお受け売りですけどね!(笑))。


「右でも、左でもなく、前へ」というスローガンがまさに、はっきり表している。変化の希求を、右でもなく左でもなく示すことができたのが、勝利につながっている、30代というのもあるが、ザッカーバーグら、新世代の匂いがとてもする。彼らは、イデオロギーの右や左では踊らない感じがする。というのは、この右でも左でもなくというのは重要で、アメリカの例を見ると、アメリカで前回の2016年の大統領選挙で強い支持を集めたのは、極左バーニーサンダースさんと、右翼というわけではないが排外主義的な右寄りの姿勢を示したトランプさんだった。これは、より極端なものに、反応する先進国中間層の意識を反映していると思う。なぜ、極端なものに反応するのか?というと、これも出口治明さんの受け売りですが(笑)、象のカーブといわれる下記の図を見てもらえれば、この20年以上、先進国の中間層は希望のないどん底状態を味わい続けていることがわかります。また格差が広がっています。以前、希望は戦争(赤木智弘)、という過激な意見がありましたが、格差の是正というのは、ほぼ大戦争によってしか歴史的には是正されていません。なので、とにかく方法は、どんなものでもいい(言い換えれば倫理的とか道徳的な話を言う時代は終わった)から、この悲惨な現状を変えてほしいという強い意志が、中産階級にあるんだろうと思います。なぜ極論なのか、といえば、中道の意見では、結局は現在のグローバリズム公邸で、漸進的に進むという中庸的なものが正しいことになってしまうからです。まさにこの辺りの、道徳的にも中道で、かつ経済政策も中道だったのが、王道の選挙戦略を歩んだヒラリークリントンさんですね。なので、経済政策的には大きな政府保護主義共和党と逆じゃん!)という中道政策を主張し、道徳的に極右的な排外主義をブっtパなしたセンセーショナルトランプさんのマーケティングセンスは、秀逸だったとしか言いようがない。ここに反応して動いたのは、彼しかいなかったのだから。


丸山眞男」をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は、戦争。
http://www7.vis.ne.jp/~t-job/base/maruyama.html


大不平等――エレファントカーブが予測する未来


グローバリズムによる中間層の没落は、象のチャートを見るまでもなく、中間層(ボリュームゾーン)の人々の、明確な変化への要求につながっている。変化は「既存の古い仕組みや既得権益」を壊すものでなければならない。この「壊す」ことは、極左と極右と相性がいい。極論を言うので、明らかに現状打破になるからだ。没落する中間層にとっては、とにかく現状が変わってくれれば、なんでもいいのだ。「変わらない」選択だけが拒絶される。



というなかで、しかも、ブレクジットが起き、EUドイツ帝国だ!と言われるような状況下の中、フランスの選挙で、なぜ新グローバリズム、新EUマクロンが勝てたか、はとても興味深い。その手掛かりになる本だと思います。




また興味深かったのは、フランスの成熟先進国としての課題が、非常に日本と類似性があることに驚いた。アメリカ社会ばかり追っていたのだが、むしろ国としての問題点の類似性は、フランスも方が圧倒的に近い。先行する課題先進国として、人口減少に歯止めをかける政策が、はっきりとモデルとして存在しているのは、僕は素晴らしいと思う。同じことをすれば、確実に日本も人口を増加させることができるからだ。むしろ、日本のモデルとしては、とても価値があるように見える。


しかし、とても観念的かつエリート的なにおいが激しいので、現実にこれができるかが、とても要チェック。とはいえ、彼ができるかどうかだけではなく、こうした人を選ぶフランスの構造的要因が知りたい今日この頃。



というわけで、うちの読書部の課題は、次はこれ。しかもレスター伯爵による講義つきの予定。ライシテの伝統を考えて、共和派の伝統を追わないと、より深くはわからないだろうなと思う今日この頃。読書が楽しすぎてたまらない。



十字架と三色旗――近代フランスにおける政教分離 (岩波現代文庫)

2018年8月18日のオフ会の感想

オフ会。何回目なんだろう。数を数えてなかったのは、失敗だった。今回は、過去の振り返りのデーターをてれびんが、忙しい中作ってくれたんだけど、正確な数はわからなかった。

1)海燕さん:ディオゲネスの返答 ダメ人間(おまえら)はいかに社会の規範からはみ出すか
2)過去のオフ会の振り返り
3)ペトロニウス:トランプ政権の現在の評価と今後〜Alexandria Ocasio-Cortezは大統領になるか?
4)LDさん:3か月”にわか”によるVirtual YouTuberレポート

時間がなくて、ラジオの生放送はできませんでした、、、、が、、、今回は、僕がとても短く?て、海燕さんとLDさんが、大作でした。というか、海燕さんは、今度本になるような重厚な射程距離を持った話だったし、LDさんのVtuber分析は、これって分析レポートとして十分金とれるんじゃない!?というような凄いレベルかつボリュームでしかも愛ある、またすさまじいものでした。いやはや、ほんと彼らは、凄いっすよ。いまオフ会に参加してくれた人で、Virtual YouTuberの大ブームな感じ。少なくとも、僕は、めちゃくちゃ、引き込まれた。それ単体の面白さだけではなく、その背後にある物語や構造を読み込む力は、本当にさすが、としか言いようがないものでした。というか、やっぱり何人かでやると、とんでもなく様々な最前線の話が飛び出してくるんで、いいですねぇ。ラジオとかで聞いていた話も、プレゼン形式でまとめてこられると、破壊的な深さがわかって、腰が抜けます。


でも今回は、てれびんがつくってくれた、過去レポート、どうやってみんなが友達になっていったかのppの資料は、よかったなー。特に、こうして振り返ると、オフ会の在り方とか位置づけが、少しづつ変わっていったことがわかる。いまって二次会で、立ち飲み形式でみんなで飲むのって、恒例になったけど、こんなのなかったもんね。最初。2回ともおしゃれなイタリアン的な感じで、、、これ銀鷹さんの趣味というかテイストですね。僕のように安居酒屋じゃないところが、かっこいい。くらむさんとかチャドさんやアッチさんとかが、まだ前回の1年前のオフ会からしか参加してないとかもびっくり。やっぱ、インプット合宿で、裸の付き合い(笑)(←温泉のことです)がきいていますね。あれもめちゃくちゃ酒うまかったー。イヤーほんと、毎回最近友達増えてて、うれしいですなー。僕なんかほとんどアメリカにいるのに、がっつり友達増えていっているので、ありがたいです。


いろいろ出た話題。とにかく、LDさんのVtuberレポートがすごかった。僕は、親分、輝夜月とLDさんが押してた富士葵ちゃんがきてる。背景がわからないと、興味がない人にはさっぱりだし、いま爆発的に過剰供給されているけど、早すぎて物語を追いきれない人にも、LDさんの解説は素晴らしかった。いやはや兄貴すげぇぜ。



ぼっちぼろまる

輝夜

キズナアイ

シロ組

猫宮ひなた

富士葵

燦鳥ノム


ロート製薬


アレクサンドリアさん(ここに乗せると凄い違和感が(笑))