【Vol.80】2020年アメリカ大統領選レポート(10)全体を鳥瞰図で眺めると、どんな軸が発見できたか?


2020-1113【物語三昧 :Vol.80】2020年アメリカ大統領選レポート(10)全体を鳥瞰図で眺めると、どんな軸が発見できたか?-88

今日は11月16日の月曜日。メディアが当確を出して、ある程度、結果出たんだなぁというのが浸透してきています。もちろん、選挙人による投票での確定は、12月だし、それまで訴訟で止まれば下院で選ばれるとか、世の中に出てることことを「バランスよくすべて見渡すと」、まだわからないといえるんですが、なんというのだろう、これだけ米国の空気が動いていて、それをひっくり返せるだけの証拠や内在の論理がない中で、なんで日本語そんなに噴き上がっているのか、よくわからなくて戸惑います。日本の狂信的な「和製トランプ支持者」とか、そうやって「切り離して」考えるのは、「忘れ去られた人々」を生み出して、反動を生むだけなのは、物凄い良いお手本のトランピアンがいるので、だめだと思うので、「これ」もよくよく考えなければいけないポイントだなーと最近考え込んでいます。たしかに、身の回りに、等身大に、深く深くトランプさんの方がいいと強くこだわる日本人が、多いように「実感する」ので。むしろ日本の大手メディアは、バランスが良すぎて、それはそれで世界の感覚と乖離しているのですが、メディアではなくて、世論が明らかにトランプさんがいいという「感情がうねっている」のは、なぜなのか?どんな人々なのか?自分にもそう感じるところはないか?などなど、最近考えます。これって、アメリカでトランピアンを生み出す構造との日本版なわけで、考える価値はあると思うんですよね。


■バイデンさんとトランプさんの史上最多得票の意味を見る時に、どの視点を採用するか?

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この二つの記事を見比べてほしいところです。僕はこのどちらの視点も「正しい」と感じます。ちなみに、「事実」は、時間がたてば明らかになっていくので、どちらが正しいかというのはどうでもいいです。「そこにいたった内在的な論理」がどういうものかを、考えるべきだし、なんちゃってアメリカウオッチャーとして、それが重要なことだとおもっています。


■短期的視点と長期的視点の違いを見分ける


いま振り返ってみると、この違いは「短期」と「長期」の視点の違いなのかな、という気はしています。


「短期」的には、トランプさんの分断を煽り、自分の票をとるために感情を、ポピュリズムを喚起する手法は、米国民に、あきらかなNOが突き付けられたんだというのは事実です。だって、凄い差じゃないですか。「この極端な差」を、大規模の不正でひっくり返えると思うのは、あまりに経緯を無視しすぎている。史上最大の得票率が、この強い意志を示している。


しかしながら、トランプ政権の4年が、「リベラル、ポリティカルコレクトネスのメディアの専制状況」に対して、極端なポピュリズム的かつ民主主義的な米国民の意志で、「今まで見えなかった、無視された、忘れられた層」に光を当てたことは間違いない。これは、絶大に支持されていると、長期的には感じます。


単純に、

スィングステイツの白人のワーキングクラス(労働者階級)に光を当てる


GAFAやハイテク産業の金持ちの党になった民主党への拒絶意識


ポリティカルコレクトネスのメディアの専制状況に対する怒り


グローバル化にのれた都市部中産階級だけの優遇政策にマジ切れしてる


極端な再分配を志向する民主党最左派、極左への激しい嫌悪と怒りが渦巻いている


こんな感じでしょうか?ぱっと思いつく感じ。


そして、この部分は、長期では、価値感が対立している気がします。


というのは、若者や新規の移民を中心に、超富裕層が富を独占している状況で、民主党最左翼のAOCやスクワッド、バーニーサンダースの申し子たちのの主張は、強い支持を受けているからです。だから、


共和党的な視点で分断を煽って票を獲得しようとすると、トランピアン的なもの


になり、


民主党的な視点で分断を煽って票を獲得しようとすると、バーニーサンダース、AOC的なアメリ社会民主主義の視点になる


のではないかと感じています。どちらも、「起源」は同じものになるのではないかと考えています。


■格差をなくすこと、再分配を要求することが、その最大の目的


起源は何なの?といえば、やっとわかってきたが、


格差社会の格差の拡大に対する再配分要求



反グローバリズム・「都市部のグローバル化に乗れた層」と「乗れなかった田舎の対立」



これだろうと思います。官界の選挙でも、Urbun, rural, suburbanという言葉が飛び交っていました。ようは、都市と田舎と郊外ですね。この場合は、郊外を取り合う形になります。


民主党の最左翼の視点では、再分配すればいいじゃないか!、お金持ちからお金をガンガンぶんどれば財源は十分にある!という発想。ようは、「新しい形でのニューディール政策を!」。


これが共和党的な視点では、無政府主義(アナーキズム)につながる極左に見えるんですね。実際、そういう側面もあるので、アメリカの自由放任的な基盤を壊す最悪の悪手に彼らは見えているんだろうと思います。


そして、もう一つの視点は、


民主党的には、都市に集中しているグローバル化に乗れたGAFAやハイテク産業などへ傾斜に対していって、金持ちの党になってしまっている。なので、再配分政策とか言って笑わせんじゃねぇ!ということが言える。民主党の政策が中道によればよるほど、言っていることが嘘くさくて、グローバに乗り遅れた、もしくは乗る気がない産業の人々から見ると(まさに製造業の白人のワーキングクラス)からすると、ウソをついているように思える。これは、民主党の中道は(バイデンさんら)を見るか、民主党の左派(AOCさんやサンダースさん)を見るかの違いになると思う。


■大都市、郊外、田舎の生活の分化は、それ即ちグローバリズムへのリンクの度合い

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petronius.hatenablog.com

このあたりは、やっとそこに自分のなかで光が当たってきたところなんですが、ずっと日本で起きている現象と、ガチっとリンクした気がして、興奮気味です。町山智浩さんのペンシルバニアの話が、この辺りの差異を見事に表していて、とてもおすすめです。ペンシルバニア、、、、は、シルバニアファミリーなんですね(笑)、シルバニアが森という意味で、都市と田舎が、激しく分かれている。都市が、グローバリズムに乗ったハイテク産業で潤う一方、古いエネルギー産業などに依存する「忘れ去られた白人労働者」が田舎にいるという構図。これは、今回の選挙での都市部と田舎の極端なまでの、支持の分裂をよく表していました。日本で言えば、「世界はメガリージョン(=広域大都市圏)と地方・郊外の二極化が起きるのか?」という記事を昔書いたんですが、まさにこの話なんですね。僕はあまり終えていませんが、大阪の問題も、まさにこのどちらを選ぶかの選択の問題。ここは、考察が深まってきたので、もう少し考え込みたいと思います。


アメリカの北部(都市部)と南部(田舎)の違いが分かるようになってきたかも!

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ちなみに、三宅香帆さんがあげていた上記の文学によって、アメリカを分ける視点で、もうが開かれた感じがしました。「アメリカ大統領選挙の支持地盤で読む、アメリカ文学リスト」、素晴らしいです。僕は、アメリカ文学の、アーヴィング(John Winslow Irving)とかサリンジャーフィッツジェラルドなどの都市の孤独を描いた作品と、フォークナーの赤裸々で土着的な世界を描いた差異が、自分の中でいまいちわからなくて、アメリカがどう「違う」のかがよくわかっていませんでしたので、ずっともやもやしていたんです。それが、これでおおっ!と思わされました。今回ずっと、アメリカの全体を追い続けていたので、これがカチっと自分の中でハマって、感覚的に感じれるようになったんです。なので、もう一度読み直したくなりました、いろいろ。また時間空くなるなぁ(笑)。

八月の光 (新潮文庫)


■日本語で書くとすると史上最多得票でバイデンさんが勝利した(トランプさんにあれほどの票が集まったにもかかわらず!)ことを強調したい

それとね、どうも日本語の情報を追っていると「トランプさんに勝ってほしくて仕方がなくて」その意識で、なるべくフェアにバランスよく情報を見るべきだというポストトゥルースの発想に従って、経緯や内在のロジックを追うと「陰謀論レベルであり得ない」ことが、流通している感じがして、この「思い込みの強さ」は日本的だなぁ、とけっこう驚いています。というか、アメリカの潮目が変わっても「自分たちの思い込み」に引きずられやすいのは日本的だなぁと思います。まぁ、日本語情報と他国の情報とタイムラグがあるのは、仕方がないんですが、それにしてもこんなに差がるのか、と驚きます。こういう「書き出しだけで」いろいろ絡んでくる人がいるくらいなので、なんでそんなに感情的になるのか、驚きます。


■日本から見たら、オバマさんとバイデンさんどっちがいいのだろうか?~歴史的に日本と民主党の相性は確かに悪い

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最初の頃は、日本はまた世界、、、この場合は英語で描かれる情報やアメリカの世論とずれて、「思い込みの中で」ものを見ているなぁとへきへきしてたんですが。でもこれを何で、そんなふうに考えるのかなぁ、と思うと、明らかに「中国の脅威」についての危機認識が高いがゆえに起きている現象なんですね。なので、それを切り捨てないで、なんでそういう風に感じるのか?また、その問題意識は正当なのか?と考えていきたいと思わせる、大きなテーマでした。


トゥキディデスの罠(The Thucydides Trap)


についてどう考えるか?ということなんですよね。これはアメリカの内政ではなくて、外交の面で、どう評価するかという視点で、、、今回日本ではバイアスがかかって、トランプさんに買ってほしいということに対して、日本語で中山教授や渡辺さんらが記事を書いていて、ああこれいいなぁと思ったんですが、、、その中山教授も上の歴史的視点、国際政治の概念では、やはりナチスドイツの台頭とチェンバレンの話を言及しているんですね。なので、「ここ」は、もう少しちゃんと考えないとだめだなぁ、と思うのです。というのは、この視点が正当性があるのかは、もう少し歴史を長期の視点で考えないと難しいし、また民主党、そしてバイデン政権が、日本にとって北東アジアにとって、「ほんとうに、具体的にどのようなインパクトがあるか?」というのは、まだまだちゃんと意識されていないように思います。単純にトランプさんの方が、中国に強く出るということに依拠しているように思えます。人権外交は、そもそも民主党の十八番なので、この辺りの影響が本当の本当にどうなるのか、ちゃんと分析しないと、感情と印象論の動物の脊髄反射になって今うな、と。そして「ここ」は、そうやって簡単に帰属処理しちゃいけない、重要な問題意識だと僕は思いました。


独立自尊というのは、「何かに依存することなく」、自分たちがたち続ける方法を常に悩み、もがき、苦しみ、そして実行し続けること


ちなみに、僕のスタンスは、下記の記事の人の意識に凄くシンパシーを感じます。

日本のネット世論では、「トランプが負けたら世界は中国に支配される暗黒時代が来るのだ」みたいなことを真顔で主張する人がたくさんいて、それゆえ米国直輸入の色んな陰謀論がそのまま流布されていたりする状況なわけですが。

しかし、その態度は非常に「アメリカ頼み」すぎるというか、

必死に「アメリカの犬」になることしか自分たちは生きてはいけないのだという世界観
であるように私には感じられます。

「右」の人がそういう卑屈さを深いところで持ちすぎているから、「左」の人は国際情勢のリアリズムのへったくれもないようなやぶれかぶれの反米主義で吹き上がるしかない
…という戦後日本75年続いた不毛さの結晶が「トランプが負けたら日本は終わり」説なのではないでしょうか。

そもそも自分の国でもない選挙の結果で日本が「終わった」り「終わらなかったり」するという世界観自体がちょっと情けなさ過ぎませんかね?ということは、まず考えておくべき視点だと思います。

というわけで今回の記事では、今後少なくとも4年間続く「民主党アメリカ」時代に日本はどうやって自分たちの存在を世界情勢の中にねじ込んで主張していけばいいのか…という話をします。

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アメリカ衰退論というのは、いつも僕はは全く信じられない


ちなみに、いつも思うのですが、「大陸的な巨大超大国」への認識の甘さをいつも感じます。アメリカの、、、というか大陸国家の凄さは「極端に多様なもの」が同時並行に動きいているので、そんな簡単に衰退なんかしないんだよ、といつも思います。


とかとか、いろいろ発見があって、素晴らしく楽しいです。

Vol.79 2020年アメリカ大統領選レポート(9)両者史上最多得票をとってJoseph Robinette Biden, Jr.が次期大統領に-87

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■長く続いた待ち時間~まだ決まっていない(笑)

物語三昧のYoutubeでも話したけど、こんなに長く待たされる選挙は初めて。ウィスコンシンの当確が出た時点で、ああ、バトルグラウンドステイツ、スィングステイツを押さえたんだな、と思ったので、バイデンさんの価値は揺らがないとは思ったけど、そうはいっても不安というか、どうなちゃうんだろうというのが、土曜日まで続いて、朝起きても起きても、数字が変わっていないので、いつかうんと終わるの!という気分だった。そのかわりに、各激戦州の背景や構造などをだいぶ見れたので、アメリカウオッチャーとしては、「そこ」は興味深かった。そして、土曜日の朝起きたら、各大手メディアがバイデンさん当確をやっと出した。今回は、トランプさんが、共和党が、郵便投票等の選挙プロセスに関して疑義を呈してくるのがわかっていたから、慎重に慎重を重ねたという感じだ。

この写真良かった。VICEの部分を消している(笑)。奥様のDr.ジルバイデンさんと。


とはいえ、まだトランプさんは、訴訟を継続しているし、敗北宣言はしていないんだけれどもね。ただ、大勢は決したと思う。結局のところ、いくつかの州で訴訟でひっくり返したとしても、ウィスコンシン、ミシガン等のスィングステイツを既に抑えてしまっているし、数えなおしたところで、ペンシルバニアなどで、どうにもならないくらいの「差がついてしまっている」ことを勘案すれば、これは無理筋の訴訟だと思う。ゴアさんとブッシュさんの2000年の時とは違う。


■史上最大得票数の意味をどうとるか?~アメリカの民意は、トランプさんを否定したのか?それとも、民主党のバイデンさんに新しい希望を抱いたのか?

今後を見るべき点で、重要なポイントは史上最大の得票数を、二人ともがとっていること。史上一位と二位。これを、


民主党、リベラルサイドが、結集して完膚なまでにトランプ政権の4年間を否定した


ととるのか、


7千百万票もの、2008年のオバマさん以上の支持を得たトランプ政権は、アメリカの半分近くの高い支持と信任を得ている


で、差が出てします。個人的には、「どちらも正しい」のだと思う。困ったとことに(笑)。まぁ、世の中スッキリしないことだらけですよね。


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ただし、町山さんが指摘している通り、1期4年で退任すると明言しているバイデンさんは、この分裂したアメリカをどのように統一への癒しと道筋をつけるかが、重要なポイントとなるはず。そして、それは、とても難しい。なぜならば、民主党の内部で、極左と中道が覇権争いをしているのだが、民主党はサンダースやAOCなどのプログレッシブの力が強まっている。この選挙を「史上最大の得票数で選ばれたので、レフトサイドに極度に振り切っていい!」と思ってしまうと、徹底的にトランプ政権を支持している層に対する攻撃となって現れることは明白で、そうなると、分断は深まる。ということは、「次の大統領選挙」で、もう一度、賢いトランプさんが現れないとは、誰にも言えない。


■勝負は決まっていないぜ!~上院を制するのはどちらだ?


このアメリカの極左、レフトサイド、リベラルへの行き過ぎを、抑えるののか?それとも助長するのか?は、上院を制するのがどちらかで決まる。いまのところ、共和党がコントロールを持ちそうだが、ステイシー・エイブラムスのいたジョージア州で、更なる決選投票が行われるので、ここに注目。これで、民主党が上院の過半を閉めれば、トリプルブルーで、民主党の極端への疾走が止まらなくなる可能性が高い。

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ちなみに、プログレッシブ、民主党最左派、バーニーサンダースの台頭と新党を見るには、下記のドキュメンタリーがおすすめ。やっぱり、スター中のスターである、アレクサンドリア・オカシオ・コルテス。彼女が注目株です。


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■白人ワーキングクラスの更なるスウィングステイツをとる戦いはバイデンさんが勝利

今回の選挙でなるほど思ったのは、5大湖のまわりのスィングステイツ(プラスフロリダ)をとれば、簡単に選挙人の数がひっくり返る。それ以外の地域は、かなりブルーとレッドが固定化して変わらなくなっていること。いいかえれば、ここの白人の労働者階級の取り扱いが、選挙を決めるキーストーンになっていること。なので、考えなければいけないのは、ここの


「白人労働者階級って何者なのか?」


ということ、それに、


「彼らに対してどういう処方を示す、実行すれば、好かれるのか嫌われるのか?


を見ることが、アメリカの未来を占う重要なポイントになるということ。


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上記でシェールガス、いいかえれば、アメリカのエネルギー政策を見たのですが、たとえば、このシェールガスのフラッキングの環境規制の問題は、すなわち、ペンシルバニアの労働者の未来を決める、生死を決めるということ。あほみたいに、トランプさんもバイデンさんも、ここに通ったのは、それが理由。20人の選挙人は大きい。今回も、最後を制したのは、ペンシルバニアの結果だった。なので、選挙の「読み」は凄く正しかった。


だから、たとえば、今回勝った理由の大きな点は、バイデンさんがデラウェアに住んでいて、ペンシルバニアで生まれた労働者階級の人というのが大きいと思う。ヒラリーさんは、ひたすらその強面ぶりや、金融エリートとの癒着などの、えらそーでむかつく面が嫌われたといわれたが、バイデンさんは逆。ヒラリーさんは、女性がゆえに、強く出なければいけない久手、強く出たら叩かれるし、と政治家はしんどい。好々爺のバイデンさんは、人はいいけど、何もできない認知症のおじいちゃんなどと揶揄されたしね。でも、トランプさん疲れが来ているところで、この穏やかさ、何もできなさ、は逆にプラスに働いたんじゃないかと思う。なぜならば民主党で最も重要なのは、極左(サンダースらの支持層)とどういう風に融和を図るかだからだ。


なので、民主党AOCのいうようなグリーンニューディールなどの極端な政策を実行面で推し進めれば、「次の選挙」でペンシルバニアがひっくりか得る可能性は凄くある。ここ注目点ね。シェールガスのお話が知りたい人は、下記の映画がおすすめ。あと、本も凄いわかりやすいです。

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なぜ「ひっくり返る」のかといえば、40%弱のトランプさんの支持層のうち、エヴァンジェリスト(キリスト教福音派)や反知性主義?とでもいうべき、もうカルトにハマったトランピアンみたいになっている人を除くと、このスィングステイツの白人労働者階級が大きくキャスティングボードを握りるようなのね。ここの雰囲気を知りたい人は、下記のドキュメンタリーがおすすめ。グローバリズムに翻弄される工場労働者の悲哀を、これでもかと見せてくれるので、日本人いはとても理解しやすいはず。ちなみに、中国の投資を呼び込んで、工場ができるという話。。。。。

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重要なのは、ここで同じ人が、2008年には熱狂的にオバマさんに入れて、2016年には同じ人がトランプさんに入れて、今回2020年は、バイデンさんに入れているはずなので。だって、そうでないと、ミシガンとウィスコンシンペンシルバニアの結果が、こういうはずないから。


ポイントです。この五大湖周辺のスウィングステイツの白人労働者階級というのは、とても論理的で、是々非々で物事を決める人たちだということ。


いいかえれば、カルトにハマった人々ではないので、「状況と政策の結果」によって入れる相手を変える人々だ、ということ。これ重要。なので、まだ次の選挙も、ここがキャスティングボードを握るはず。またここら辺をブルーウォール(進撃の巨人みたい・・・)といってずっと実は民主党の牙城だったのね。なぜかというと、ここが工場労働者が集中している、、、、言い換えれば労働組合、ユニオンが基盤なんですね。だから、分かると思うが、「工場の労働者の組合をベースにしている民主党」は、日本に物凄く厳しい。そういえ歴史的流れがあります。



町山智浩さんのツイートが、素晴らしく的確にとらえている~人は忘れ去られることが最も憎悪を呼び反動を生む

それと、アメリカのスィングステイツの白人工場労働者が重要というのは、ここら辺の人が、先進国で唯一平均寿命が下がっているのですね。ようは、物凄い苦しいのですよ。もともと鉱山とかがあって、工場労働者になってという流れなので、イギリスや日本の炭鉱もの映画とかイメージしてもいいかもしれない。オピオイドの中毒が問題になるのは、これが「痛み止め」で、立ちっぱなしの仕事などで体を打痛めた人が、痛み止めを処方してもらって、中毒になってものすごい数が死ぬようになっていたったわけですね。そんで、これってたぶんコアを煎じ詰めると、グローバル化についていけなくて、町や家庭が貧困に陥って、酒や薬浸りになった「元家父長制の白人のお父さん」のイメージになるんですよね、僕は。その人たちが、どれだけ荒れて、無茶苦茶になって、過去にすがるかは、多分考えれば想像がつくと思うんですよね。そして、ここに対して、リベラル層や学歴エリートや、新自由主義者が、徹底的に無視して、叩いて、軽蔑して、苛め抜くのは想像に難くないと思うんですよ。「それみたことか!」といいって。。。。

DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機


その「怨念」を考えてほしいのです。


この辺は、もうすぐドラマにもなるというヒルビリーエレジーがとてもいい。とてもじゃないけどどう上出来な人の集まりですが、、、というか、ヒルビリーは、白人労働者階級ではないですが、「このイメージ」です。


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そしてその怨念が、爆発する時がいつかといえば、、、、、「忘れ去られたときなんです」。


そして、それは無視できるほど甘くはない反動を生みます。


このトランプ政権の4年間を振り返れば、この怨念がどれだけだったかが、如実に実感できるはずです。


僕は、トランプさんが大統領になってからの、アメリカメディアの変わりように驚きました。リベラル支配の構造は全く変わらないですが、とにかく「忘れ去られていた層」に対する注目度が凄まじくなりました。

もちろん、それが選挙のキーになるので当然です。だから僕は政治家として、ドナルド・トランプさんは、非常に正しかったと思います。彼は、ちゃんと「忘れ去られて見向きもされなかった層」の代弁者になったのですから。まぁ、それが白人至上主義者だったりするので、話がややこしくなったのですが(苦笑)。

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『Three Billboards Outside Ebbing, Missouri(邦題:スリー・ビルボード)』(2017)とか、『ブレイキングバッド』がおすすめです。『最後の追跡(Hell or High Water)』(2016)のTaylor Sheridan
フロンティア三部作なんかもおすすめ。この雰囲気、「出口がない閉塞感」は、この辺を見ると凄くよくわかると思います。


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ちなみに、白人労働者の恨みだけを見ていては片手落ちなので、BLMが生まれる根源として、『ボクらを見る目(When They See Us)』や『The Birth of a Nation (バース・オブ・ネイション)』がおすすめです。


■メディアのバイアスをチェックしよう!

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ちなみに、英語がわかる人向けになってしまいますが、、、この辺も、「英語ができな層の怨念を生む」よな(笑)といつも思いながらも、僕は意識して極端と極端をなるべく見るような癖をつけています。選挙も、FOXとMSNBCとかを同時に見ていると、同じ世界とは思えない気分になります。そういうのに対してアンテナがあるかどうか、自分と相いれない人の「魂の内在的論理」に対してシンパシーを持って臨めるかは、その人の器を、視野の広さを決定づけると思います。


■正直陰謀論は、全く意味不明ないので、、、、僕には、感覚がよくわかっていない

ちなみに、ぺトロニウスは、正直、陰謀論とか、選挙の郵便投票の話とか、全く意味不明です。なんというか、ああいうのがそもそもダメなんでしょうね。受け付けない。でも、Qアノンとか、この手の陰謀論こそが、物語的な人々のシンパシーのダイレクトな赤裸々な部分に結びついているので、無視はダメだ!と思いながら、一生懸命追っています。この話は、もっと考えないとなーと思う。


■カマラハリスさん~2024年の女性初の大統領になれるか?


上記の流れで考える重要なのが、2024年の選挙。民主党の最大の候補は、なんといってもカマラ・ハリスさん。しかし、彼女は、民主党の中道と目されていますが、しかし、どうにも厳しくリベラルを追求する匂いもします。まだまだ女性でガラスの天井を破る人は、とにかく人より優れて正しい人が多いので、それがアメリカの反知性主義や「忘れ去られた人々」の層にアピールにつながるか、どうするのか?というのは見ものです。

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Who Is Kamala Harris' Husband? Meet Doug Emhoff : Updates: 2020 Election Results : NPR

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継母ではなく「ママラ」。次期副大統領カマラ・ハリス氏が築いた温かい「ブレンドファミリー」のかたち | ハフポスト WORLD


アリゾナ州がひっくり返ったのは???~西海岸のブルーステイツのテキサス方面への滲みだしが興味深い


アリゾナがこのまま民主党になるかはわからない。しかしながら、カリフォルニアからテキサス方面への移住は進んでいるし、ヒスパニックの拡大は、この辺りをすべて青にしてしまう可能性が高い。そんなことを感じる選挙でした。