【Vol.80】2020年アメリカ大統領選レポート(10)全体を鳥瞰図で眺めると、どんな軸が発見できたか?


2020-1113【物語三昧 :Vol.80】2020年アメリカ大統領選レポート(10)全体を鳥瞰図で眺めると、どんな軸が発見できたか?-88

今日は11月16日の月曜日。メディアが当確を出して、ある程度、結果出たんだなぁというのが浸透してきています。もちろん、選挙人による投票での確定は、12月だし、それまで訴訟で止まれば下院で選ばれるとか、世の中に出てることことを「バランスよくすべて見渡すと」、まだわからないといえるんですが、なんというのだろう、これだけ米国の空気が動いていて、それをひっくり返せるだけの証拠や内在の論理がない中で、なんで日本語そんなに噴き上がっているのか、よくわからなくて戸惑います。日本の狂信的な「和製トランプ支持者」とか、そうやって「切り離して」考えるのは、「忘れ去られた人々」を生み出して、反動を生むだけなのは、物凄い良いお手本のトランピアンがいるので、だめだと思うので、「これ」もよくよく考えなければいけないポイントだなーと最近考え込んでいます。たしかに、身の回りに、等身大に、深く深くトランプさんの方がいいと強くこだわる日本人が、多いように「実感する」ので。むしろ日本の大手メディアは、バランスが良すぎて、それはそれで世界の感覚と乖離しているのですが、メディアではなくて、世論が明らかにトランプさんがいいという「感情がうねっている」のは、なぜなのか?どんな人々なのか?自分にもそう感じるところはないか?などなど、最近考えます。これって、アメリカでトランピアンを生み出す構造との日本版なわけで、考える価値はあると思うんですよね。


■バイデンさんとトランプさんの史上最多得票の意味を見る時に、どの視点を採用するか?

finders.me

gendai.ismedia.jp


この二つの記事を見比べてほしいところです。僕はこのどちらの視点も「正しい」と感じます。ちなみに、「事実」は、時間がたてば明らかになっていくので、どちらが正しいかというのはどうでもいいです。「そこにいたった内在的な論理」がどういうものかを、考えるべきだし、なんちゃってアメリカウオッチャーとして、それが重要なことだとおもっています。


■短期的視点と長期的視点の違いを見分ける


いま振り返ってみると、この違いは「短期」と「長期」の視点の違いなのかな、という気はしています。


「短期」的には、トランプさんの分断を煽り、自分の票をとるために感情を、ポピュリズムを喚起する手法は、米国民に、あきらかなNOが突き付けられたんだというのは事実です。だって、凄い差じゃないですか。「この極端な差」を、大規模の不正でひっくり返えると思うのは、あまりに経緯を無視しすぎている。史上最大の得票率が、この強い意志を示している。


しかしながら、トランプ政権の4年が、「リベラル、ポリティカルコレクトネスのメディアの専制状況」に対して、極端なポピュリズム的かつ民主主義的な米国民の意志で、「今まで見えなかった、無視された、忘れられた層」に光を当てたことは間違いない。これは、絶大に支持されていると、長期的には感じます。


単純に、

スィングステイツの白人のワーキングクラス(労働者階級)に光を当てる


GAFAやハイテク産業の金持ちの党になった民主党への拒絶意識


ポリティカルコレクトネスのメディアの専制状況に対する怒り


グローバル化にのれた都市部中産階級だけの優遇政策にマジ切れしてる


極端な再分配を志向する民主党最左派、極左への激しい嫌悪と怒りが渦巻いている


こんな感じでしょうか?ぱっと思いつく感じ。


そして、この部分は、長期では、価値感が対立している気がします。


というのは、若者や新規の移民を中心に、超富裕層が富を独占している状況で、民主党最左翼のAOCやスクワッド、バーニーサンダースの申し子たちのの主張は、強い支持を受けているからです。だから、


共和党的な視点で分断を煽って票を獲得しようとすると、トランピアン的なもの


になり、


民主党的な視点で分断を煽って票を獲得しようとすると、バーニーサンダース、AOC的なアメリ社会民主主義の視点になる


のではないかと感じています。どちらも、「起源」は同じものになるのではないかと考えています。


■格差をなくすこと、再分配を要求することが、その最大の目的


起源は何なの?といえば、やっとわかってきたが、


格差社会の格差の拡大に対する再配分要求



反グローバリズム・「都市部のグローバル化に乗れた層」と「乗れなかった田舎の対立」



これだろうと思います。官界の選挙でも、Urbun, rural, suburbanという言葉が飛び交っていました。ようは、都市と田舎と郊外ですね。この場合は、郊外を取り合う形になります。


民主党の最左翼の視点では、再分配すればいいじゃないか!、お金持ちからお金をガンガンぶんどれば財源は十分にある!という発想。ようは、「新しい形でのニューディール政策を!」。


これが共和党的な視点では、無政府主義(アナーキズム)につながる極左に見えるんですね。実際、そういう側面もあるので、アメリカの自由放任的な基盤を壊す最悪の悪手に彼らは見えているんだろうと思います。


そして、もう一つの視点は、


民主党的には、都市に集中しているグローバル化に乗れたGAFAやハイテク産業などへ傾斜に対していって、金持ちの党になってしまっている。なので、再配分政策とか言って笑わせんじゃねぇ!ということが言える。民主党の政策が中道によればよるほど、言っていることが嘘くさくて、グローバに乗り遅れた、もしくは乗る気がない産業の人々から見ると(まさに製造業の白人のワーキングクラス)からすると、ウソをついているように思える。これは、民主党の中道は(バイデンさんら)を見るか、民主党の左派(AOCさんやサンダースさん)を見るかの違いになると思う。


■大都市、郊外、田舎の生活の分化は、それ即ちグローバリズムへのリンクの度合い

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petronius.hatenablog.com

このあたりは、やっとそこに自分のなかで光が当たってきたところなんですが、ずっと日本で起きている現象と、ガチっとリンクした気がして、興奮気味です。町山智浩さんのペンシルバニアの話が、この辺りの差異を見事に表していて、とてもおすすめです。ペンシルバニア、、、、は、シルバニアファミリーなんですね(笑)、シルバニアが森という意味で、都市と田舎が、激しく分かれている。都市が、グローバリズムに乗ったハイテク産業で潤う一方、古いエネルギー産業などに依存する「忘れ去られた白人労働者」が田舎にいるという構図。これは、今回の選挙での都市部と田舎の極端なまでの、支持の分裂をよく表していました。日本で言えば、「世界はメガリージョン(=広域大都市圏)と地方・郊外の二極化が起きるのか?」という記事を昔書いたんですが、まさにこの話なんですね。僕はあまり終えていませんが、大阪の問題も、まさにこのどちらを選ぶかの選択の問題。ここは、考察が深まってきたので、もう少し考え込みたいと思います。


アメリカの北部(都市部)と南部(田舎)の違いが分かるようになってきたかも!

owlman.hateblo.jp


ちなみに、三宅香帆さんがあげていた上記の文学によって、アメリカを分ける視点で、もうが開かれた感じがしました。「アメリカ大統領選挙の支持地盤で読む、アメリカ文学リスト」、素晴らしいです。僕は、アメリカ文学の、アーヴィング(John Winslow Irving)とかサリンジャーフィッツジェラルドなどの都市の孤独を描いた作品と、フォークナーの赤裸々で土着的な世界を描いた差異が、自分の中でいまいちわからなくて、アメリカがどう「違う」のかがよくわかっていませんでしたので、ずっともやもやしていたんです。それが、これでおおっ!と思わされました。今回ずっと、アメリカの全体を追い続けていたので、これがカチっと自分の中でハマって、感覚的に感じれるようになったんです。なので、もう一度読み直したくなりました、いろいろ。また時間空くなるなぁ(笑)。

八月の光 (新潮文庫)


■日本語で書くとすると史上最多得票でバイデンさんが勝利した(トランプさんにあれほどの票が集まったにもかかわらず!)ことを強調したい

それとね、どうも日本語の情報を追っていると「トランプさんに勝ってほしくて仕方がなくて」その意識で、なるべくフェアにバランスよく情報を見るべきだというポストトゥルースの発想に従って、経緯や内在のロジックを追うと「陰謀論レベルであり得ない」ことが、流通している感じがして、この「思い込みの強さ」は日本的だなぁ、とけっこう驚いています。というか、アメリカの潮目が変わっても「自分たちの思い込み」に引きずられやすいのは日本的だなぁと思います。まぁ、日本語情報と他国の情報とタイムラグがあるのは、仕方がないんですが、それにしてもこんなに差がるのか、と驚きます。こういう「書き出しだけで」いろいろ絡んでくる人がいるくらいなので、なんでそんなに感情的になるのか、驚きます。


■日本から見たら、オバマさんとバイデンさんどっちがいいのだろうか?~歴史的に日本と民主党の相性は確かに悪い

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最初の頃は、日本はまた世界、、、この場合は英語で描かれる情報やアメリカの世論とずれて、「思い込みの中で」ものを見ているなぁとへきへきしてたんですが。でもこれを何で、そんなふうに考えるのかなぁ、と思うと、明らかに「中国の脅威」についての危機認識が高いがゆえに起きている現象なんですね。なので、それを切り捨てないで、なんでそういう風に感じるのか?また、その問題意識は正当なのか?と考えていきたいと思わせる、大きなテーマでした。


トゥキディデスの罠(The Thucydides Trap)


についてどう考えるか?ということなんですよね。これはアメリカの内政ではなくて、外交の面で、どう評価するかという視点で、、、今回日本ではバイアスがかかって、トランプさんに買ってほしいということに対して、日本語で中山教授や渡辺さんらが記事を書いていて、ああこれいいなぁと思ったんですが、、、その中山教授も上の歴史的視点、国際政治の概念では、やはりナチスドイツの台頭とチェンバレンの話を言及しているんですね。なので、「ここ」は、もう少しちゃんと考えないとだめだなぁ、と思うのです。というのは、この視点が正当性があるのかは、もう少し歴史を長期の視点で考えないと難しいし、また民主党、そしてバイデン政権が、日本にとって北東アジアにとって、「ほんとうに、具体的にどのようなインパクトがあるか?」というのは、まだまだちゃんと意識されていないように思います。単純にトランプさんの方が、中国に強く出るということに依拠しているように思えます。人権外交は、そもそも民主党の十八番なので、この辺りの影響が本当の本当にどうなるのか、ちゃんと分析しないと、感情と印象論の動物の脊髄反射になって今うな、と。そして「ここ」は、そうやって簡単に帰属処理しちゃいけない、重要な問題意識だと僕は思いました。


独立自尊というのは、「何かに依存することなく」、自分たちがたち続ける方法を常に悩み、もがき、苦しみ、そして実行し続けること


ちなみに、僕のスタンスは、下記の記事の人の意識に凄くシンパシーを感じます。

日本のネット世論では、「トランプが負けたら世界は中国に支配される暗黒時代が来るのだ」みたいなことを真顔で主張する人がたくさんいて、それゆえ米国直輸入の色んな陰謀論がそのまま流布されていたりする状況なわけですが。

しかし、その態度は非常に「アメリカ頼み」すぎるというか、

必死に「アメリカの犬」になることしか自分たちは生きてはいけないのだという世界観
であるように私には感じられます。

「右」の人がそういう卑屈さを深いところで持ちすぎているから、「左」の人は国際情勢のリアリズムのへったくれもないようなやぶれかぶれの反米主義で吹き上がるしかない
…という戦後日本75年続いた不毛さの結晶が「トランプが負けたら日本は終わり」説なのではないでしょうか。

そもそも自分の国でもない選挙の結果で日本が「終わった」り「終わらなかったり」するという世界観自体がちょっと情けなさ過ぎませんかね?ということは、まず考えておくべき視点だと思います。

というわけで今回の記事では、今後少なくとも4年間続く「民主党アメリカ」時代に日本はどうやって自分たちの存在を世界情勢の中にねじ込んで主張していけばいいのか…という話をします。

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アメリカ衰退論というのは、いつも僕はは全く信じられない


ちなみに、いつも思うのですが、「大陸的な巨大超大国」への認識の甘さをいつも感じます。アメリカの、、、というか大陸国家の凄さは「極端に多様なもの」が同時並行に動きいているので、そんな簡単に衰退なんかしないんだよ、といつも思います。


とかとか、いろいろ発見があって、素晴らしく楽しいです。