『ベイビーステップ』 勝木光著 

ベイビーステップ 7 (少年マガジンコミックス)

面白い。海燕さんやはし君がブログで薦めなかったら、読まなかっただろう。そもそもほとんど売っていないし(苦笑)。

しかし、なんて面白いんだ。テニス漫画の最高峰は、いまのところ『しゃにむにGO』で、それ以上はなかなか出ないと思うのだけれども、同じテニス漫画としてこれほど「見ている視点」が違うのは面白い。


この「面白さ」ってのは、あまりこれまでの少年スポーツの漫画になかった感じがする。

うまくまだ言葉にいえないが、、、、プロセスを重視するところ、科学的で戦略的なところ、そして主人公に何にも才能がないところ(笑)。


海燕さんが言い得て妙だったが、主人公が「初期値がゼロ」、、、、才能ある人との「越えられない壁」が大前提である、というところから、にもかかわらず「何の気負いもなく」勝負に主人公はコミットしていく。

もちろん分析好きで生真面目な優等生の部分が「強み」になっているという設定ではあるが、それは決して「才能」でも何でもない感じなんだよな、この物語の中では。ただ、そういう振る舞いがあるだけで、決して、それが才能となって他者を引き離す「理由」になっていない。



なんだかこれまでのスポコンや、勝負ものにはない、「何か」を感じる。

なんだろう、何が違うんだろう。何か決定的に違う感じがする・・・「勝負」というもに対する感覚が凄く違う。

なんだろう?。


読んでいて、凄く凄く、、、、なんか、引き込まれる。


何も才能がないところで、「頭をフルに使って」「考えに考え続けていく」ところ、、、なんか、ああ、、、そうだ凡人の戦い方ってこうだ・・・と思う。

そして、なんの決定打もなくとも、「やり続けること」ができれば、、、ああ、そうだ、勝たなくてもいいんだ、このえーちゃんは。

この舞台で一分でも長くいたい、という「この感じ」。


読んでいると、凄く元気が出る。


うん、なんかわかった気がする。彼はテニスが好きなんだ。好きだからこそ、最高の舞台で、最高のレベルで、最高のテンションでやりたいんだ。

決して勝つためでも、ルサンチマンの克服でもなく。


もう少し言葉が練れたら、本質に迫れると思う。。。。


いやほんといいですよ、ぜひ読むのをお薦めします。じみーーーーーーな話ですが、一気に7冊読むと、じわってきますよ。