異世界モノの何が理想か?、何がセラピーになるのか?

異世界迷宮でハーレムを 1 (ヒーロー文庫)

先日、少女マンガの読み方のベースになるということで、ロマンチックラブイデオロギーを解体する力学で眺めるという記事を書いていたのですが(まだ掲載していません)、そこでポイントだったのが、少女マンガは恋愛と性愛までは描けるけれども、それ以降の結婚後や長期間の夫婦の関係性を射程に収めていないというのが、自分の不満の大きなポイントの一つだというのがありました。それの続きの発想ですが、飲み会でだらだら友人と話している時に、ハーレムものというか僕の言葉でいうとハーレムメイカーものというのは、結構、誠実(もしくは本当の意味で鬼畜)だよなって話になりました。というのは、僕がいっているハーレムものって、『とある魔術のインデックス』や『化物語』を考えてもらえると、なんでもそうなのですが、話を終わらせる力学を進ませないために、女の子が主人公に惚れてしまっても、それにこたえようとしないで宙ぶらりんな状況が続きますよね。それって、鈍感とかいろいろな、設定にしますが、ようは、ポイントは話を終わらせないためのものです。

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とすると、一つに重要なのは、倫理的な問題もあるのですが、なかなか主人公がハーレムなんて言うけど、女の子に手を出さない(肉体的な意味で)ってのがあるんですが、小説家になろうのウェブ小説では、この辺をすぐにさっと超えてしまうものが多いですよね(笑)。まずもって、大抵のライトノベルは青少年が、、、要は中学高校生が相手なので、そこまで即物的なことが書きにくいとか、そもそもあるであろうハードルがなく赤裸々に(笑)欲望を解放するからだと思うのですが(笑)。まだこの小説『異世界で奴隷ハーレムを』では、一人目の女の子の奴隷を購入していないところですが、なろうの連載では、既に3人目の購入が終わっており、ああ、たしかにこりゃーハーレムだわって状況になっています。しかも、別に恋愛とかそういうプロセス無視して、すぐ主人公はやっちゃいます(苦笑)。ええっ!そうなのっ!って読んでて思いましたが、まぁ、時代背景も背景なので、女の子たちがほとんどそれについてそんなもんか、というか、まだマシな主人に買われたって諦念があって、特に疑問がないんですよね(苦笑)。おおっ、こんな話、最近見たことねーよっておもって感心してしまいました。まぁ、しかし、奴隷制がある世界でああ云う仕組みが成り立っていることを考えると、この主人公に買われたら、ああ、ラッキーとたぶん女の子は心底思うはずだとは思うんですよ。まぁ、外側から、違うステージの文明から、賢しらに倫理批判するのは、バカみたいな行為なので、これはこういうものなんだろうなーって思いました。

異世界トリップ系というのは、文明と技術の格差を利用したある種の植民地搾取の説話構造なので、倫理的には相当の問題点を抱えているのですが、まぁ、20世紀初頭のヨーロッパの植民地ラブロマンスものの大衆小説(ポカホンタスの神話みたいな構造のことね)のように、ここまであっぱれ、あっけらかんとされると、なんかそういうのは無粋だなーと思ってしまいます。僕は、物語は物語だと思うので、それにあまりポリティカルコレクトネスを持ち込むのは好きじゃないです。政治とかの話は、そっちですればいいじゃんと思うので。まぁ程度にはよるでしょうが。まぁ、これは男の子の夢を端的ストレートに欲望解放してる。まぁ人間の原初的な欲望って、そういうもんよねーと思ってしまいます。この辺は、昔ラジオで語りましたね。渡辺京二さんのこの本を読むと、西洋文明社会で、植民地に出て行った軍人が書いた小説がベストセラーになりまくるんですが、すべて同じ構造。異世界に上陸して、その世界を平和にして、酋長とか王の娘が主人公に惚れちゃうって、、、、まんま異世界ものファンタジーじゃん!って思いましたもん。人間の想像力なんて変わらんのだなーと思います。

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特に、でもそうだよなーって、、、、自分が作り手であって、自由に設定できると考えると、僕が異世界にトリップしたら、ぜったい見つかるまでマクロに手を出そうなんて思いもよらないもん。だって、マクロの構造なんて欲もわからないで手を出すとリスク高すぎるし、、、、普通の設定は、力が強すぎてそれがばれるので、マクロ的なダイナミズムに巻き込まれていくわけだけれども、、、、けど、そうでなければ、自分の力の検証も含めて、まずは、寝床確保して、お金確保して、そんで彼女か嫁さんを探す、、、って、結局人間がやることって、そう変わりがないと思うんだよねー。まず衣食住。それに性欲(笑)。次に愛とか自己実現。これって、現実でも、順番的にそういうもんでしょー。お金の次に趣味が来る人もいるかもしれないけど。それは二アリーイコールの等値。


そうすると、この『異世界でハーレムを』って、まさに、まさに、だと思う。


あと、話としては、構造的にあまり進んでいないけど、『理想のヒモ生活』も、ほんと、設定的には、いまのライトノベルの通常から出てきにくい設定だよなーと思いました。ただ、この系統、要は種馬とか畑になってしまうというのは、家の継承のための道具に成り下がることで、これの悲劇を書いているのは、最近だと、よしながふみさんの『大奥』が倒錯的だけど真っ当にこのテーマを追求しているんですが、これってたいてい悲劇の物語類型に回収されていくんですが、それを、ひも!って考えて、こういうブラックなリーマン人生からの脱出に結びつける当たり、このへんは、なろう的だなーと思います。というのは、たぶんちょっと書いている人も、向けている相手も、年齢層が高いんだろうと思います。20−30代ぐらい?。

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友人と飲み屋で、


『嫁も娘もいる40歳の俺に、いまさら俺のことが大好きな美少女が空から降ってきても困るだけ!』



っていうライトノベルかなろうの小説が読みたい!という話になって(笑)、、、、というのは、オヤジ同士の会話で、、、昔は僕も、空から女の子が降ってこないかって思ったことがありますよ。けど、もう嫁も娘もいる状態で、いまさら降ってきたら、逆に困りますよね、、、、もうそういう夢を見る時期は終わったんです、、、とかいっていたら、いや、そういう需要は絶対あるはずだ!(笑)という話になって、上記のタイトルになりました。


どうでのいいですね、、、、酒の席のたわごとです。


ちなみに、なぜ異世界にいったら「帰ってこなければいけないという圧力」が働くか?という話で、『課長王子』というアニメの話でもりあがりました。これも、現実世界に、嫁と娘がいる設定だったとのこと。


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いやーなろうって、おもしろいです。



理想のヒモ生活 1 (ヒーロー文庫)