確かに、メルケル首相の反応を、そう考えるのはわかるんですが・・・・・


トランプに示した協力の「条件」

 メルケル首相は祝辞の中で、まるで学校の教師が生徒を教え諭すように、ドイツが重んじる価値を並べ上げた。「ドイツにとって、EU以外の国の中で、米国ほど共通の価値によって緊密に結ばれている国はありません。その共通の価値とは、民主主義、自由、権利の尊重、全ての個人の尊厳を重んじることです。人権と尊厳は、出身地、肌の色、宗教、性別、性的な嗜好、政治思想を問うことなく守られなくてはなりません」。

 メルケル首相がこれらの言葉によって、わざわざ「性別、宗教や肌の色、同性愛者か否かで人間を差別してはならない」と指摘したのは、トランプ次期大統領が選挙運動の期間中に、女性、メキシコ人、イスラム教徒、同性愛者を蔑むかのような発言を繰り返してきたことに対する、暗黙の批判である。

 メルケル首相の最も鋭い「毒矢」はその次に飛んできた。それは、「Auf der Basis dieser Werte(これらの価値の前提の下に)」というわずか5つの言葉だった。彼女は、こう言った。「トランプ氏がこれらの価値を我々と共有するならば、私はトランプ氏とともに働く準備があります」。

 つまりメルケル首相は、「トランプ氏がこれまでのヘイト・スピーチで示してきた、女性や外国人、イスラム教徒、同性愛者に対する差別的な態度を改めないのならば、ドイツ政府はトランプ氏と協力する気はない」というメッセージを送ったのだ。同盟国の首相が、次期大統領に「あなたと協力するかどうかは、あなたが一定の条件を満たすかどうかにかかっている」と宣言するのは、極めて異例である。メルケル首相は「あなたとともに働くのを楽しみにしています」という、彼女がこの種の祝辞でしばしば使う言葉も、あえて避けた。


熊谷徹のヨーロッパ通信/トランプとの対決姿勢を鮮明にしたメルケル
祝辞に埋め込まれた“毒矢”
熊谷 徹
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/219486/111100022/?rt=nocnt


確かに、、、、それを誇りに思うのはわかるんですが、、、、でも、民意は、そこじゃないんだと思うんですよね。

なんだか、ブリクジットとトランプさんの当選という、世界の構造的な事実に目を背けているような気がしてならない。

世の中で一番現実を悪い方向にもっていくのは、現実を受け入れないで高踏的な視点を持つことだと僕は思うんですよ。

だって、ほとんどドキュメンタリーのような『帰ってきたヒトラー』で描かれる、普通の人の感覚ってのが、もう全世界の基本的な感覚なんだろうと思いますよ。

現実は、リベラリズムを、いまのままでは簡単に受け入れないところまで来ているんだ、という認識を持たないと、危ないと思うんですよ。自分が信じているところとか、こうあってほしい、あるべき姿ってのは、あくまで希望であって、現実ではないのだから、そのずれを認識していないと、とんでもない間違いをしてしまう気がする。


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