『プリンセス・プリンシパル』 (Princess Principal) 2017 橘正紀監督 シャーロット王女が、革命がおこるほどの矛盾を抱えるアルビオン王国をどう変えるかが見てみたい

プリンセス・プリンシパル I (特装限定版) [Blu-ray]


評価:★★★☆3つ半
(僕的主観:★★★☆3つ半)


■アニメを何の基準で選ぶか

いつものごとく風邪ひいて弱っているので、ずっとアニメ見たり漫画見たりして、何とかつらい日々をやり過ごしています。ちなみに、めちゃくちゃネタバレなんで、ネタバレ気にする人は、読まないでください。

これ銀鷹さんとレスター伯爵に紹介されて、最初だけ見てて見れてなかったんだけど、アマゾンプライムになっていたので、一気に見てみる。いまいくつか一気にアニメを見ようとしていると、1)「見るに堪えない演出」のものと、2)「水準を超えてはいるけど。。。。」と、3)「観はじめたら逃げられない」の3つくらいに、物語って分けられるんだよなーとしみじみ思う。1)になるのは、けっこう珍しくて、たいていは、2)-3)の間ぐらいになると思う。なので「その中で」何を選ぶかって、難しいよなーと思う。だって、FGO(ゲームね)でも、映画でも、旅行でも、選択肢は多様にあって、そのなかでわざわざ、というのは、いつも難しい。まぁ、最後は、やっぱり友達に紹介されたというのとタイミングだけだなぁ、とは思う。とても難しいのは、「意義ある視聴」とでもいおうか、批評というか文脈を見るには、ほんとうは、すでに価値が認められた過去の作品を(見ていないのが山ほどある)こつこつ見るべきで、その情報は物語マインドマップでも何でもあるので、そこに行くべきだとは思うんですが、新しいのや自分の癒しのためだけに見るものがないと、それはそれで、苦しくなってしまうんだよなぇ。けれども、「新しくて話題になっているもの」と「自分の好きな癒し」のものばかり見ていると、世界観がアップデートされないというか、どんどんただ単に「強度が上がる」のを求めるだけで、飽きてしまって、最終的には自分の感性を磨滅させる気がするんですよね。なので、それなりの比率を、意識してふらないとダメなんだけど、、、というお話。時間が足りないというよりは、「エネルギー」が足りないって感じがする。というのは、見る時間をひねり出そうとすることは、いくらでもできると思うんだよね、、、、仕事で追い詰められている時ほど、コツコツ膨大な量を見てたりするんで、、、。いかに「新しいこと(見ていないタイプにトライする)」「古典を勉強しなおすこと」みたいな、自分にとって安楽なコンフォートゾーンから出ることが、人間にとって、常に難しいかというお話。


■スパイもののエピソードで構成するか、全体を統合する軸を置くかどうか?

という中で、ちなみにいうと、こういうスパイもの系は、僕はあまり好きではないです。この作品は『カウボーイビバップ』とか『ルパン三世』とか、あれらは、僕の好みとかぶっ飛んで、傑作ですが、各1話毎に完結するような演出をするものは、好みじゃないんです。なんというか、個々のエピソードが、大きな幹ににドラマトゥルギーに接続していくダイナミズム見たいのを見たいという思いがとても強い。とりわけ、アニメの1-2クール(12-24話)くらいのもので、SFチックで、大きなテーマを持つものが、僕は凄い好み。それと、凄い外れるんですよね。


ただね、これ全部見終わって、やっぱり、「そこが見たかった!」と思うのは、最終の数話半だよね。この作品、背景の政治構造を、これでもかって考えていて、それが各エピソードに奥行きを与えている。スチームパンク的って言われそうな感じだよね。この構造でマクロの大きなテーマって、アルビオン王国とアルビオン共和国の、革命が起き程の国としての矛盾を「どう解決するか」になるだろうし、その場合、メインキャラクターに、アンジェとシャーロット王城がいる限り、


第2話でシャーロット王女がいった「女王になってこの国を変える」という言葉


これが、すべてだと思うんだよね。さらに言えば、どうやって、それをなすか、という話。


けれども、スパイのエピソードで各独立した演出にしているので、「具体的にどんな矛盾を」「どのような手段で解決するか」が描かれていない。というか炙り出されていないし、メインターゲットで演出していない。理由は、たぶん監督が12話では、これをやり切れないとぶった切ったんじゃないかと思うんですよね。でも、僕は「そここそ」が見たいし、その軸があるからこそ、あきらめずに、ずっと待ってて見た感じ。その続き?が、映画でされるようなので、そのあたりは、よかった、とほっとしている。この物語の構造ならば、まさに「それ」が見たいんだよ、と思うので。アイテムについては、いろいろある。ケイバーライトという物質の独占が問題なわけであって、これをどうするのか?という、本来は、その「何が解決されるべきか」という「問題の構造」が明らかになっていれば、それを軸に各国のスパイ合戦の重みが出てくるわけで、、、そこまで明示的ではないので、この辺は惜しいなぁ、と少し思う。


とはいえ、映像、演出、全体の軸を期待させる脚本構造、誰にでもすすめられる!というには、もうひとひねり欲しいけれども、アニメファンならば見て損はなしで気のいい作品です。




「プリンセス・プリンシパル Crown Handler」第1章 特報