『騎士王の食卓』の2巻が発売ですね。

ゆづか正成さんの『騎士王の食卓』の2巻が発売ですね。紅花(カルタモ)修道院出身のレノくんの物語。実際は、たぶん美味しくないのだろうけど(笑)、中世の食事の解像度が上がってとても美味しそうに見えて楽しい。

この方のマンガは、『騎士譚は城壁の中に花ひらく』からとても好き。この人、中世の騎士や城などとても細かい描写が解像度が高くて、見ていて凄い楽しい。キャラクターも素敵だし、ブレイクしてほしいなぁ。絵の書き込みが素晴らしいので、大判で眺めながら読みたい作品。ある意味、こういう書き込み系の人は情報量型のマニアックになりすぎて、エンターテイメントになりきらないのですが、この人は、凄くバランスが良い。ぜひとも、3巻を超えて話が続いてほしい。

解像度が高い分だけ、「日常系」になるので、4コマ漫画と同じ「日常の小さい出来事の解像度を上げていく」話になると、物語って繰返しになるので、長く続きにくいんですよね。その中で、食事ににフォーカスするのは、日常系の常套手段なので、この辺りが深掘りされたら楽しいかも。レノくん、むしろ、男の子の設定にしている方が、『騎士譚は城壁の中に花ひらく』の女の子主人公よりも、色気があるというか可愛いのが面白い(笑)。

でも、やっぱりこの作者、ぜったいに「物語」をつむぎたい人だと思うんだよね。ロサ=スカーラエの物語にしても、やはり騎士を目指していく、騎士になる成長物語を描こうとしている。世界観や設定上の共通点も多いので、きっとシェアードワールドなのだろうから、レノくんの物語が人気が出て長く続けば、ロサの物語も重なってきそうな気がするので、期待しちゃうなぁ。


キャラクターも、世界観も、舞台の解像度もどれも素晴らしいし、「騎士になる物語が描きたい」という情熱も感じるし、あともう一歩、何かが欲しいんだよなぁ。いや、僕は、もうこれ十分なほど好きなんだけど。もっと、長く広く物語を描くには、もう一歩大衆ウケというか、人気がいる気がする。でもなー、書き込みも多くて情報量多いけど、わかりにくいわけでもないし、キャラクターもよいし、、、、うーん、あと何を入れればいいのかなぁ。ロサ=スカーラエの物語にしても、女の子が騎士を目指すという設定は、めちゃ狙っているというか、良い設定だったと思うんだよね。


僕の好み的なものを言えば、政治とか、このクエルクス(樫の城)が、全体の王国?のどこに位置して、何をしているのかの戦記モノ的なマクロの情報が、欲しいなぁという気がするけど。その辺の政治的位置づけがわからないと、レノくんが、最終的にどこを目指しているのかがわかりにくい気がする。ロサの物語も、同じような感じがしたもの。物語を長く続けるには、「なんの目的で動いているのかがクリアーだといい」んだけど、、、でも、この作者そういう設定は絶対作っていると思うんだよね。そこで手を抜く人とは思えないので。だから、テンポが遅いっのかなぁ。うーん、、、ちなみに、ペトロニウス的な評価では、既に星5なので、なんか改善点とか思いつかないんだよなぁ。この人の描く世界は、あたたかくて、美しいんだもの。

騎士王の食卓(1) (シリウスKC)

それにしても、クラウストラのスクワイア ロサ=スカーラエの物語は、続きが見たかった。。。

騎士譚は城壁の中に花ひらく 1 (ガルドコミックス)