最近の仮想敵国って中国になるんだね。時代は変わったよねぇ。

空母いぶき 1 (ビッグコミックス)

友人に『空母いぶき』の新刊がkindleで出たので是非にと勧められたので、読んでみました。この後、ちょうど新刊がkindleで出ていた『アンゴルモア 元寇合戦記』の4巻が出ていたのでそのまま読んでいたのですが、ふと思ってびっくりしました。これどちらも、中国が攻めてくる話なんですよね。ちなみに、その前の日に『魔法科高校の劣等生 追憶編』がなんだか読みたくなって思わずkindleで全部買って読んでいたのですが、考えてみれば、これも沖縄に中国軍が侵攻してくる話でした。個人的な感慨ですが、魔法科の小説で、中国が日本に侵略してくる話を読んだ時は、、、たぶん数年前ですが、まだなんとなくピンと来なかったんですよね。ほんの数年前までは。けど、先日『空母いぶき』と『アンゴルモア 元寇合戦記』を読んでいて、まったく違和感なくこれが最近の現実だよなーという印象を持ったので、自分で自分にしたのです。


ああ、そうなのか、時代は変わったんだな、と。


アンゴルモア 元寇合戦記(1)<アンゴルモア 元寇合戦記> (角川コミックス・エース)


時代の想像力が、こっちに舵を切り始めているんだなぁ、と。ちょっと前に『皇国の守護者』を読んでいたんですが、あれって想定はロシアが攻めてきたという想像力ですよね。もちろんファンタジーなので単純じゃないんだけれども。マブラヴシリーズだってソ連が巨大な存在感を示していましたよね。けど、いまはそうじゃないんだよなーと。もちろん地政学的な構造は変わっていないので、ロシアが仮想敵国にならなくなったわけじゃないんだけれども、それよりも、中国の存在が大きくなったんでしょうねぇ。これからこういう物語が増えるんだろうなーと思いました。


魔法科高校の劣等生 追憶編3<魔法科高校の劣等生 追憶編> (電撃コミックスNEXT)

うーむ、そういう意味では、かなり前からはっきり中国との構想を前提に国際力学を描いている(ちなみに北、ロシアはほとんど出てきていない)佐島さんって、いい読みしているなーと思います。

ドリフターズ(1) (ヤングキングコミックス)

ちなみに、『アンゴルモア 元寇合戦記』めっちゃおもしろいんですが、、、、僕はこれを読んでいて、『ドリフターズ』を強く思い出しました。というのは、中国のような巨大な帝国、大国と比べると日本って、物凄くちっぽけなんですよね。歴史的、地理的事実は変わらない。でもなんで、独立を保てているかというと、もちろん地理的に辺境すぎて、中国からすれば必要がない場所であるというのもあるんですが、それ以上に、この土地に住む人間が軍事的にめちゃめちゃ強いってのも一つあると思うんです。ようは、武士ですね。日本の政権は、歴史を見ると長く軍事政権です。武士が構築した政権ですから。では、この武士っていう人々って、どんな人だったんだろう?。なんで、そんなに軍事的に強いんだろうか?と問うと、武士の倫理や在り方を問うことになると思うんですよね。『ドリフターズ』ってのは、武士が異世界のファンタジーに漂流してしまった異世界転生もの?ですが、日本以外の環境に置かれた時に、武士の、、、なんというかもう狂いっぷりというか(笑)、なんというか、生と死が同時に日常に存在している葉隠れ的狂人ぶりが、もう、やべぇ、こいつ、、、って感じでひしひしと伝わるんですよね。これ、ああ、確かに武士ってこんな感じだ、と時代小説や歴史や葉隠れなんかを読んでいるとなんとなく僕もわかります。とにかく、現代の近代的な倫理からすると、かなり向こう側に行っているのに、普通に生きている人々なんで、かなりおかしいんですよ(苦笑)。もちろん、そもそも軍人というのは、文化人類学的に、そういった聖と俗の狭間にあって、商人と同じように境界の倫理を超えるものとして規定されているのですが、それにしても、日本の武士の向こう側へのぶっとびっぷりというのはすさまじい。たぶん長い戦国期に、殺し合いを長くやり続けてきて研ぎ澄まされてきたものなので、そうとう成熟というから爛熟した上に、たぶん日本人の気質にあったというか、フイットしたんでしょうねぇ。では同じ軍人同士であって、例えばモンゴルなど簡単に中国や朝鮮などを飲み込んでいったのに、なんで当時の日本は飲み込まれなかったのか?ってのは、まぁ、知りたいところですよね。台風の問題や地理的な問題が主因であったとしても、そのへんはやっぱり疑問に思えるんですよね。なので、こういう物語は、おもしろいっす。特に『アンゴルモア 元寇合戦記』では、鎌倉武士の在り方だけではなく、相手方のそれぞれの民族や部隊の在り方も踏み込んでいて、興味深い。これって、やっぱり歴史学が深く広く蓄積してきた成果あってのものだろうと思うので、今後も楽しみです。