【物語三昧 Channel:Vol.2】漫画版『風の谷のナウシカ』解説ラジオ with LD - 2019年2月2日 Sat JST

風の谷のナウシカ 全7巻箱入りセット「トルメキア戦役バージョン」

2019年は、単品紹介をしていこうということで、2回目は、漫画版『風の谷のナウシカ』。LDさんと解説していきたいと思います。基本的には、ラジオだけ聞けばわかるようにしようと思っているのですが、そうはいってもこれだけの古典的傑作になると、複雑な積み上げの果てに生まれているものなので、できれば、下記課題図書、ラジオ、作品を見ていると、より楽しめると思います。また、ラジオ聞いて、納得いかなかったり、もっと知りたいと思った場合は、ぜひとも、参考に挙げているものもトライしてみると、さらに面白いと思います。

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もう相当の古典となっているので、意外に、映画も含めてみていない人いるかもしれない?と思うのですが、どうでしょうか。少なくとも、これは、読んでいないと人生損をしているというようなレベルだと思いますし、興味なくても教養(笑)として知らないと、ちょっとさびしい。日本エンターテイメント史における金字塔なので、ぜひ押さえたい所です。ちなみに、下記に過去の記事と、ベースとなる概念の説明のラジオ講義を張っておきます。聞く前に見なくてもいいと思いますが、すべてつながっているので。


『風立ちぬ』 宮崎駿監督 宮崎駿のすべてが総合された世界観と巨匠の新たなる挑戦 - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために


『崖の上のポニョ』と『スカイクロラ』にみる二人の巨匠の現在〜宮崎駿は老いたのか?、押井守は停滞しているのか?(1)/ポニョ編 - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために


『崖の上のポニョ』と『スカイクロラ』にみる二人の巨匠の現在〜宮崎駿は老いたのか?、押井守は停滞しているのか?(2)/スカイ・クロラ編 - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために


また、宮崎駿さんは、なんというか社会哲学や経済・社会思想史のラインで考えると、理解が一直線につながるような人なので、戦後のアカデミズムや思想史の展開を知ると、補助線として凄い理解が深まります。ほんとうは、吉本隆明さんとかの位置づけと搭乗の時のインパクトを知っていると、興味深いと思いますね。このへんは、そういうのに造詣が深すぎる高畑勲さんの影響だろうと思います。ちなみに、僕の様々に読んだな宮崎駿さんの昨比の読解の中で最も断トツに素晴らしいのは、稲葉振一郎さんの『ナウシカ読解 ユートピアの臨界』です。もう絶版なのかな?。これ、社会哲学などの導入書として素晴らしく機能するので、おすすめです。

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風の谷のナウシカの元ネタとしては、『地球の長い午後』が有名ですね。古典の傑作SFです。また、宮崎駿さんは、作品も凄すぎますが、それ以外の言行録もめちゃくちゃ面白い人なので、いくつか出ていますが、トライしてみると素晴らしく作品世界の理解広がりが深まっておすすめです。


出発点―1979~1996


地球の長い午後 (ハヤカワ文庫 SF 224)


下記は、これまでにやったラジオですね。


物語マインドマップ 2.善悪逆転の物語~勧善懲悪のヒーローが人類終末論にたどり着くまで


物語三昧ラジオ/風立ちぬ 2013/08/16


物語三昧ラジオ/シン・ゴジラ(ネタバレ) 2016/08/11


ちなみに、宮崎駿作品の原点は、僕は、『未来少年コナン』だと思うんですよね。彼の思想の問題提起などほぼすべての原点が詰まっている。『太陽の王子 ホルスの大冒険』なども本当の原点に感じますが、これ高畑勲監督作品ですしね。『未来少年コナン』は、いまでも色あせない素晴らしさに満ちている作品なんで、ぜひともトライしてみては。ちょっと古典紹介でした。


風の谷のナウシカ [DVD]


未来少年コナン Blu-rayボックス

物語の物語、やっと通販開始します。在庫これしかないので宜しくです。

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物語の物語1


1.神話とアーキタイプ~少年は竜を殺し、少女はシンデレラの夢を見る

2.善悪逆転の物語~勧善懲悪のヒーローが人類終末論にたどり着くまで

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3‐1.竜退治の彼岸~ガンダムからエヴァに至るロボットアニメの戦史

3‐2.竜退治の彼岸~ガンダムからエヴァに至るロボットアニメの戦史

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物語の物語3

4.変身ヒロインの系譜~魔法少女から『セーラームーン』の彼方へ

5.美少女カンブリア爆発~ラブコメからハーレム、そして女の子しかいない世界

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やっと、'18冬コミの同人誌をBOOTHにて販売開始しました。我らがLDさんの壮大な物語の物語。僕も海燕さんももちろん記事を寄稿しています。サークル、プロジェクト物語三昧改め?AzukiArai Academia(アズキアライアカデミア)で。ちなみに、海燕さん、ペトロニウス、LDさん、でこぽんまぎぃさんの4人のサークルです。HPのリニューアルとか、新しいYouTubeのアカウント設置とか、みんな忙しすぎて(みんないいとししたおっさんなので(笑))遅々としか進みませんが、まぁ僕らクンフーやめないので、着実に進むと思います。ぜひとも。前回は、僕のところでは、宣伝し忘れて、申し訳なかったです。1巻も増刷しましたので。


HPはまだあまりリニューアルできていないのですが、まぁ今年中には少しいじりたいなぁ。とか。なんでも、コツコツです。

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ちなみに、全講義9章を既にYouTubeでは公開しています。生の講義なので、本ほど読みやすく話ですが、続きがどうしても気になる!という人は、すべて公開されています。同人誌には、吉宗綱紀さん、津田彷徨さんなど、ロヒキアさん、レスター伯爵さんなど、様々な人に寄稿してもらっています。今後も、もっと充実させていくつもりです。読んでも聞いても面白いですが、広大なマップで戦後日本エンターテイメントを鳥瞰しているので、マップを見ながら、作品解説を見ながら本で読むほうが、理解しやすいと思います。次章以降は下記ですね。9章までを、あと1-2年くらいかけて本にしていくつもりです。

6‐1~3.セカイ系の台頭~エヴァとアンチエヴァ、ループ、悪を為す事

7.脱セカイ系としての日常系~『あずまんが大王』と無菌系、ふたたび竜退治へ

8-1~3.脱英雄譚~ガンダムのテーゼと“彼岸“のさらに先の物語

9.新世界系の登場~新たな竜退治へ


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ちなみに、僕らは、物語三昧ラジオ、今後は、小豆洗いじゃなかったアズキアライラジオに名前を変えますが、一月に一回のペースでさまざまな作品の文脈を話し合っています。もう10年近くやっている気が、、、(笑)、なので、実は、この公開講義の9章の以降の新しい文脈、次世代の物語など、様々なテーマが最前線で出てきています。まとまっていないので、聞きにくいと思いますが(笑)、でも、文脈わかると、めちゃくちゃ面白いですよ。その一環で、グリッドマンの作品分析も位置付けられるのです。ちなみに、LDさんは、最近凄まじいVtuberへの狂いっぷりで(笑)、昨年2018年のオフ会講演会での分析はすごかったなー。まぁその辺もだいぶラジオになっているので、見ていただけると面白いかもです。


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1巻読んでいない人は、いまなら在庫あります。予算限って、作っているので、これ売り切れたら、新しく今年2019の夏の時は作れないかもなぁと思うので、ほんとに欲しい人は、早めに買っておいてください。1巻は、こんな感じですね。


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物語の物語1-2

「心の問題をアダルトチルドレン的にセンシティヴに読み解いていく」時代の終わりとしての『SSSS.GRIDMAN』

p-shirokuma.hatenadiary.com

シロクマ (id:p_shirokuma)さんや海燕さんが反応してくださって、なんだか久しぶりに、はてな村的な楽しさを感じました。

ブログというメディアには利点が幾つもあるけれども、ひとまとりの意見が読めること、それとリンクを張ることで意見のネットワークみたいなものが作れるところだと思う。
 
今回、アニメをよく愛好してらっしゃるペトロニウスさんが『GRIDMAN』について面白いことをリンク先で書いていたので、重複をおそれず、自分の『GRIDMAN』観を書きとめたくなった。


『GRIDMAN』を平成オタの葬送として眺めた

こういうの、いつも思うのですが、いいよなぁ、と思うんですよね。ブログの良さ。ツイッターのコメント等は、「いいね」「だめだ!」の感情の好悪を、どちらにせよ捨てセリフ的に表現するのはできるのですが、それって、気持ち的な支持か不支持かということ以上の意味を感じないんですよね。というのは「どれだけちゃんと買いたいことを理解してくれているか?」とか「相手がどれだけ自分の頭で塊として意見を持っているか?」とか、コミュニケーションの濃密さが、ツイッターだとほとんどわからないし、要は捨て台詞の敷居が低くて、よかったか悪かったか?という感情の好悪以上の情報交換以上に発展しない感じがするんですよね。ツイッターは、あまり信用ならん(笑)。楽しいんだけどね。で、いつも、昔のはてな村的な雰囲気とかよかったなーと、おっさん回顧しちゃうんですよねぇ。


とはいえ、そもそもブログメディアの旬というか、アーリーアダプターが高い意識もってやる時期は過ぎたとおもうので、もう、こういう面白さ(ブログ同士で意見のネットワークがつながって、考察みたいのが深堀されていく感じ)はほとんどないよなーと思っています。なんというか、そういう時期は過ぎたのであって、もう戻ることは、よほど新しいテクノロジーとか出てこない限り、昔に戻ろうことはないよなぁと、おもっえいるので、懐かしむというか、「そういう良い時代もありました」ぐらいでいました。まぁ、僕は趣味で書いてて、それ以上は、蛇足というか余技というか、別に読んでもらう必要もないぐらいなので、あまり気にせず、コツコツ書き続けるてて(もう10年以上コンスタントに書いているし)、昔の方がよかったとは思いません。あまり、そういうコミュニケーションの楽しさに依存すると、続かなくなるので、僕はただただこつこつアウトプット出せること自体に喜びを見出そうと、おもってはいます。。。


とはいえ、時々、こういう共時的に、話がつながったり盛り上がったりすると、やっぱり楽しいなーとしみじみ思います。自分が、それにこたえるだけの余裕と時間があることが前提なんですけどね(笑)。というか、ちょっとびっくり。シロクマさんは、ずーーーーーーーーーーーと、それこそ、10年近く、さすがだなーと、横目でちらちらブログ面白いので見ていた方なので、まさか取り合えげてもらえるとは、驚いたんですよねー。めちゃめちゃうれしいですねー。あまり考えたことがなかったですが、同じ40代のアニメ好きに当たるんだなーと、いまさらながら、そうかー同士はいるんだなー(笑)、となんだかうれしくなってしまいました。40代になっても、僕もますます盛んになりこそすれ、めちゃアニメ見てますんで。しかも語っちゃうし(笑)。


p-shirokuma.hatenadiary.com


ちなみに、関連ないんですが、↑上の記事素晴らしかったー。



さて前回の記事は、ベジータ問題という言い方で、罪と罰の構造について話したんですが、実際には、僕自身のメインの感想は、「古臭さ」と「新しさ」の違いはどこにあるんだろう?というものでした。しかも、凄い同感なんですが、僕も、最終話の最後の10分は、爆笑とまでいかなかったですが、ニヤニヤ笑ってしまいました。というのは、これ『エヴァンゲリオン劇場版 まごころを君に』のアスカにキモイといわれたり、観客を映し出したりする、受け手の心の問題に対して切り込んでくる手法と同じだと思うのですが、当時、あんなに、心を揺さぶったテーマが、なんか、半笑いしちゃうような感じがして、、、ああ、受け手の受け取り方は、凄い変わったんだなーとしみじみしたんです。その問題がなくなったわけではないのですが、いまさらその話蒸し返しても、、、という意味の半笑いです。

劇場版 NEON GENESIS EVANGELION - DEATH (TRUE) 2 : Air / まごころを君に [DVD]

これには、「世代的にもうそんなものは受けてはいない」という世代的な受け手全般を語るポイントと、自分自身が40台になって大人になって責任ある立場になると、いちいちこんな心の問題みたいな、そんな暇あれば仕事しろよ(もしくは、遊べ!)という回答以外考慮しなくなった心のおっさん化というか磨滅化問題(笑)、と組み合わせであるとは思うんですが、にしても、既に「心の問題をアダルトチルドレン的にセンシティヴに読み解いていく」ことに対して、世代的(2019年の今の空気)と自分自身(40代のおっさんの自分)の両方ともに、古典的で、古臭い、と笑い飛ばしてしまう感受性があるんだなーと思ったんですよね。まさに、シロクマさんのタイトルは、素晴らしくそこを射抜いている。『GRIDMAN』を平成オタの葬送として眺めた、という。平成30年も今年で終わるのですが、その中心にあった感性が、既に終わりを告げているのだなーと、しみじみ思ったんです。エヴァンゲリオンの新劇場版の評価で、あのアダルトチルドレンのシンジ君が、心の問題ではなく、ちゃんと行為に足を踏み出しいかなきゃだめだというラインで再構成されている、とかつての僕は書きました。でも、だからといって、そのころでは、まだ、この古典的テーマを見て、苦笑したり、古すぎて、、、、というような感慨はなかったと思うんですよねぇ。でも、2019年の今は、はっきりと、あーこれは、古いなと思うんですよ。


petronius.hatenablog.com


もちろん、そもそも論として、アニメーションや物語を見るときに、「スタイル」というか中身の皮の意匠を見るか?、それとも脚本の評価をするか(文脈を読むか?)という、「読み方・見方の違い」というのはあると思うんです。どっちが、正しい見方というわけでもないんですよね。文脈読みをしがちな、僕のようなおっさんは。いかにも文脈的な、少し引いて観るがかっこいいふうに語りますが、それはまったくちがいます。シロクマさんは、のど越しさわやかというような言い方をされていますが、キャラクターがかわいいから、雰囲気がきれいだから見たい、で十分なんだろうと思います。というか、そもそも、本来は、中高生向けのレンジの物語を、それでも40とか超えて見続けるというのですから、どうしても「見方にひねり」が入ってしまうのは致し方がない(笑)のであって、エンターテイメントの消費は、それが楽しいか楽しくないかで、もちろんいいんですよね。ただ、文脈を読むというような見方「も」あるよ、という感じ。



ここで語られている町山氏の映画評論的なものが「サブカル的な愛好家」の視聴スタイルであり、ここでいう「メッチャ作中だけが作品世界なのダみたいな若いころの純血主義」のほうが私のルーツに近いと感じる。


『GRIDMAN』を平成オタの葬送として眺めた


ここでシロクマさんやmatakimikaがおっしゃっている視点は、なるほどなーと思いました。僕は、こういう文脈読み、メタ的に眺める、作品同士の関連性を強くこだわる見方をする人なんですが・・・・同時に、作品単体に集中して、その世界を具体的にこだわって積み上げて評価する友人のLDさんやルイさんらの分析というか見方がとても尊敬するというか、かっこいいと思ってきたんですが、どっちの楽しみ方もできると、さらにおいしいよね、という感じなんですが、どちらにもよさと悪さがあるんですよね。メタ的に作品を外から眺めると、作品自体とは関係ないところに話が行ってしまいやすい。かといって個別具体論だけをテーマにすると、好きか嫌いとか解釈の幅が狭くなってしまったり、、、。どっちもできるような、人間になりたいと思う今日この頃です。


でも、こうした見方がハイブリッドに複雑に教育された消費者・受け手(要はお年寄り(笑)?)からすると、どうしても、いろいろ考えちゃう(笑)。その辺のモヤモヤを、いろいろ考察しながら、読み解けると、それはそれも面白いかなぁと思うのです。この作品の「座りの悪さ」は、やっぱり文脈で考えると古典的なテーマをやっているのに、しかしながら、テーマの消化としては、「心の問題」に対して、めちゃくちゃ後退しているし、本気で対峙していないんだと思うんですよね。いや、それが悪いというのではなくて、「そういうもの」について、全く重きを置いていない。なので、アカネちゃんの救済問題は、いや、全然救われてないし、なにがポイントで彼女の心の中の翻意(=現実に帰ろう!と突然言い出す)も丁寧に語られない。けど、それは、そもそも「このアニメーションのイシューではないので、考慮しません」とした潔さが、いやいや、最後観ててあっぱれって思ったんですよね(笑)。なので、テーマ読みする傾向のある僕としては、最悪点をつけてもいいはずなのに、凄い評価高く楽しめてしまった。こういうアニメが、2019年(平成30年)に、出てくるというのは、ああ、一時代が終わったんだなーとしみじみさせました。



sakasakaykhm.hatenablog.com

tyoshiki.hatenadiary.com


この辺の話も、とても面白かった。他の人の受け取り方がわかると、作品が一粒で二度おいしい感じになるので、いいですねー。ちなみに、海燕さんも長文記事を書いてくれたんですが、僕、アメリカに住んでいるので、ヘブンズフィール見る方法が限られてて、まだわからんですー。早く見たい、、、、。日本のアニメも時々上映があるんだけど、けっこう期間と場所が限定されちゃうんだよなー。ベジータ問題は、別にこの作品に限らず、物語類型としては、重要なものなので、今後も色々な評価で出てくると思いますので、コツコツ検討しましょうかー。僕も、つい最近LDさんに教えてもらって、おお、こういうのがあるかーと思ったものなので。


とはいえ、ひさびさに「みんなといっしょに考える」「つながる」お祭りみたいなものを感じて、楽しかったです。取り上げてくださったシロクマ (id:p_shirokuma)さんや海燕さんらに感謝を。