『ゲーマーズ!』 8巻 葵せきな著 空気を読まない方が、ちゃんとした関係を構築できる

ゲーマーズ!Blu-ray BOX

客観評価:まだ8巻まで
(僕的主観:★★★☆3つ半)


面白かった。LDさんや伯爵に勧められて、アニメを一気見したら、止められなくなった(いつもほんとうに、いまさら(笑))。めちゃ面白かった。


亜玖璃&ケータが、僕の中では、一押しです!。
(ほんと、リアルタイムとずれている発言ですね(笑))


漫画も買って小説も全巻買って、いまこつこつ読んでいます。いま、8巻まで到達。たぶん全部読み終わってしまうと、途中で感じた感慨がなかなか描写できないので、途中の感想を。


あのね、ケータくん、いい男だよね。確かに惚れる。全キャラクターの中で、一番惚れる(笑)し、かわいいと思う。


ハーレム構造の、女の子がみんな主人公の男の子を好きになってしまうというのは無理があって、ちゃんと理由がないとダメと思うんですよね、ずっと言っている話ですが。で、彼の理由というのは、「1本筋が通っている」とでもいおうか、とにかく「空気に流されない自分の意見があって」それを「はっきり主張する」ということができるというところに、魅力がある。基本的に、天道さんにしても、上原祐にしても、「空気による同調圧力に屈している」人で、この作品のテーマが、リア充対非リア充の対立構造の物語なのがわかる。空気に屈する人は、どれほど恵まれている人でも、不安定になりやすいって何度も繰り返しているように思える。


僕らのアズキアライアカデミアのラジオや、マインドマップで語る物語の物語を追ってくれている人はわかると思うけど、俺ガイルで、この「リア充と非リア充の対立構造」というドラマは、既に終わって解決されていると僕はおもってます。この『ゲーマーズ!』は、2014-2019まで連載というか書かれていて、既に完結しているんだけど、2014年のライトノベルの古い問題意識が、このリア充と非リア充の対立構造から抜け出すこと、、、非モテの問題を追っているのが凄くよくわかる。


でね、なんというか、、、、非モテリア充爆発しろ!という言葉に代表されるような「充実するにはどうすればいいのか?」というか、自意識の空転を追い続けると、どうしても、


一番大事なのは友達


という結論に向かう圧力を凄く感じるんですよね。


いま、小説の8巻なんですが、なんで素直に恋愛の両想いの状況から、「みんなでいられる」状況に行こう行こうという圧力が働くのが、とても不思議。けれども、登場人物の「自意識の空転による不遇感」「居場所がない感」は、恋愛では埋まらないというか、「友達への誠意」とでもいおうか、、、そういうものが大事というのが、切々と訴えてくる。なんというか、恋愛のキラキラよりも、友達に誠実で、居場所(うまくいえないなぁ、、、)を維持したいという感じを凄く感じる。そのためには、ケータが、天道花憐、星ノ守千秋、桜野亜玖璃の誰も選ばない方向で、話が進みすぎる感じがする。


でもとても素敵な話だな、と思うのは、やっぱり、雨野景太くん、いい子だよね。彼だけじゃないんだけれども、


空気や思い込みに流されないで、自分自身で考えて、自分自身の軸で、はっきりと対応する


ということが、基本のキャラクターの姿勢ですよね。このすべてのハーレム系の難聴(笑)主人公とか、そういう問題意識にメタ的な対応しているのが、エピソード毎で分かって、それがまたたまんなくかっこいい。すれ違い・勘違いラブコメでドツボにはまるのはお決まりなんだけど、それにちゃんと、空気を読まないで、誠実にみんな動くところが、ええ物語だなーと思う。


天道花憐、上原祐ともに、「空気を読みすぎてうまくやりすぎる」ことによって、自分の大事なものを失ってしまいやすいという悩みは、まさに、この同調圧力問題の基本の問いなんだと思うんですよね。


だから、「空気を読まない」「空気を読めない」、、、言い換えれば非リア充の方が、ちゃんと自分の信念を貫徹できる、、、誠実さを持てた方が、人との「ほんとうの関係」においては、うまくいくというのがなんどもモチーフで出てきているように感じるんですよね。


この問題意識の構造って、やっぱり「リア充に対する強いルサンチマン」の構造が背景にあるように思える。えっと、この話は、俺ガイルのヒッキーと葉山君の話しで、結論がついたよね!と当時の僕は考えてて、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(2011-2019)だから、2014-2019くらいが『ゲーマーズ!』だから、やっぱり同じ時期だなぁ。2010年代ですね。


僕ね、、、まだ最終巻まで読んでいないんですが、この構造を見ると、問題意識を見ると、もうどう考えてもカップルになれるような関係を持っているのに、うまくそこにはまってしまえないじゃないですか。。。これって、絶対に恋人よりも友達の方が、価値が高いって、感じているようにしか思えないんですよね。これって、『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(2011-まだ継続)でもそうなんだけれども、、、やっぱりリア充に対するルサンチマンをから発して、リア充対比非モテみたいな構造になると、重要な目的というかテーマが「居場所を得ること」になって、この居場所って、恋愛の対幻想の世界じゃないみたいなんだよね。これって、ほんとうの友達が欲しい症候群の文脈の一つなんじゃないかなーって、とても思う。


LDさんは、ハーレムメイカーからは、友達が欲しいという方向に、類型が接続しやすいみたいなことをおっしゃっていて、なるほど、と思います。


まぁ、まだまとまっていないので、何言っているかわからん感じですが、ケータ君かっこいいので、読んでいてドキドキします。


[まとめ買い] ゲーマーズ!



やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。8 』 渡航著 ヒッキー、それは確実に間違っているよ
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20131129/p1

ココロコネクト』 庵田定夏著 自意識の病の系列の物語の変奏曲〜ここからどこまで展開できるか?
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20121003/p1

ココロコネクト ミチランダム』 庵田定夏著 伊織の心の闇を癒すには?〜肉体を通しての自己の解放への処方箋を (2)
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20121126/p1

『コロコネクト ユメランダム』 庵田定夏著 あなたには思想がない〜Fate/staynightの衛宮士郎のキャラクター類型と同型(3)
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20121030/p2

ココロコネクト』 庵田定夏著  日本的ボトムアップの世界でのリーダーというのは、空気の圧力を結集する特異点
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20130930/p1

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』 渡航著 (2) 青い鳥症候群の結論の回避は可能か? 理論上もっとも、救いがなかった層を救う物語はありうるのか?それは必要なのか?本当にいるのか?
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20130603/p2

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』  渡航著 (1)スクールカーストの下層で生きることは永遠に閉じ込められる恐怖感〜学校空間は、9年×10倍の時間を生きる
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20130406/p2

AzukiAraiAcademia Monthly Radio

www.youtube.com

前回、知らない人がいたようなので、僕ら4人の月間ラジオはこっちにチャンネルを作りました。AzukiAraiAcademiaと名前を変えてみました。ちなみに、12/7の土曜日16時ぐらい(JST)から12月分のラジオ予定です。たぶん全員が、俺ガイルの最終巻読んでいるので、その話かな。

2019年度末総まとめラジオは、12/28の土曜日16時ぐらい(JST)を予定しています。

Youtubeの規約が変わったので、いつまで残るのかはわからないのですが、とりあえず過去のアーカイブもまだ少ないながら、あります。

ちなみに、過去のアーカイブは、LDさんの漫研チャンネルのなかにあります。

www.youtube.com

『ミッドウェー(Midway)』2019 Roland Emmerich監督 米国万歳の映画と思いきや、意外や意外日本の大艦隊がかっこいい。

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Midway2019

客観評価:★★★★4つ
(僕的主観:★★★★4つ)

家の近くの映画館(AMC)で見てきました。語れるほど知識があるわけでもないので、印象のショートレヴュー。

一言でいうと、いってよかった。面白かった。映画としての出来は、さすがのローランド・エメリッヒ監督。そもそもミッドウェーが題材の時点で米国万歳で、完膚なまでに日本が叩きつぶされる物語だし、資本はメインが中国だしこの戦争で中国(蒋介石でしょうが・・・)と米国の関係を描くならば同盟国の友邦として描くのが当然になるので、日本人にとってあまり気持ちよくないはずになるはずと予想されるので、「だからこそ」見に行かなくちゃ!!!と(笑)。レアな体験を探して。最初は、さすがに日本公開はやんないかなーと思っていたので、これは見ておかないとと思って。結局、日本公開が決まったそうだけど。


MIDWAY trailer 2 (2019)

このサンクスギビングの休みで行ってきた。近くの席のおばあちゃんが、日本側の空母に、米艦爆隊が何度もぎりぎりで失敗するたびに、「当たってー」みたいにハラハラドキドキしていて、こんなに感情移入してもらえたら映画として感無量だろうなと思いました。とはいえ日本側でも見ている自分は、微妙な気分をになるところが、なかなか興味深い映画体験でした。いけてよかった。なんというかいつもより比較的高齢者が多かった気がするが、若者も多かったし、必ずしも白人ばかりでもなくて多様な人が見てたんで、やっぱりエメリッヒ監督の冒険活劇というかそういう『インディペンデントデイ』的なもので見に来ているのかなーと思った。

アルキメデスの大戦 Blu-ray 通常版

ちなみにこの夏に日本で見た山崎貴監督の『アルキメデスの大戦』の大和轟沈のシーンもそうだったけど、現在のCG技術で見せられると、なんというか感無量。空母を軸とする大艦隊って、やっぱりスケールが違う。日本の空母赤木や加賀の映像ってやっぱりとんでもなくかっこいいよなーとしみじみ。あと、米爆撃部隊の、空母に雷撃するためにほぼ垂直降下で、弾幕が張られている中を突っ込んでいくシーンが何度も繰り返され、パイロットの視点で描かれるのだけれども、命知らずにしてもめちゃくちゃすぎて、こんなことしていたんだ、いやーなんというか、すげぇ勇気だよな、と感心。


あと豊川悦司さんの山本五十六長官、浅野忠信さんの山口多聞少将、國村隼さんの南雲忠一中将などなど、日本側がちゃんと日本語で丁寧に描かれているのが驚きだった。ローランド・エメリッヒさん、かなり調べ上げたし、決断したのだなぁと。そもそも中国資本メインなんだけど、意外に、日本を悪魔化するというか、ダメダメ、よわよわにする視点が少なくて驚いた。ここの場面ではいろいろあるけど、それは本筋じゃないし。結局のところ、『Tora! Tora! Tora!』でもそうなんですが、アメリカ軍をカッコよく強く描こうとすればするほど、日本がそれに値するくらい強かったと、物語力学上、描かざるをえなくなるので、そうなるんだろうなぁと。

トラ・トラ・トラ!  (ニュー・デジタル・リマスター版) [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]


とはいえ、イアントールさんの『太平洋の試練 真珠湾からミッドウェイまで』に読んだときに、短期の状況では、日本海軍の太平洋での戦力差は少なく、実戦経験も含めて帝国海軍とは拮抗していたので、対等に戦争をしているので、戦争映画としては、見ごたえがあった。日本映画は、戦略上完全に負けてしまって戦力が壊滅してからの戦争を描くことが多いので、その場合は、ほとんど戦争しているというよりは、一方的に掃討されているだけなので、戦争映画とは言えないよなぁといつも思うので。

太平洋の試練 真珠湾からミッドウェイまで 下 (文春文庫)

米軍は、日本の通信をすべて解読していたのだが、それを信じる信じないは、最前線で決断するチェスター・ニミッツ大将が、情報の信ぴょう性を確認するために現場にプロセスを聞きに行くことや、真珠湾での諜報(インテリジェンス)の失敗を、ミッドウェーで生かそうと必死になっているくだりと、南雲中将の傲慢で情報を確認しない態度は、対照的だった。これは史実としても、命運を分けた点なので、こういうのがエンターテイメントになっているのは、時代が過ぎたのだなぁ、としみじみ。構造的には、真珠湾では奇襲でやられたけれども、ミッドウェーで奇襲をし返した、というドラマの構成ですね。

激動の昭和史 沖縄決戦


いやー個人的にはとても面白かった。ちなみに、日本と米国がちゃんと戦争をしているという意味では、クリントイーストウッドのこれおもいいと思うなぁ。おすすめ。

硫黄島からの手紙(字幕版)