『ちょっと江戸まで』 津田雅美著 そのゆるさが漫画のうまさを感じさせます

時代劇が好きなのだが、江戸時代はあまりに勉強しなければならない「お約束」が多すぎて難儀していた作者が、「ええい、それならば自分で導入本を作ってしまえ!」と考えた江戸時代入門の漫画。


というような、しょーもない設定で、かつ2009年の江戸時代というわけのわからない世界設定にもかかわらず、とても、その「ゆるさ」が心地よい。さすがの津田雅美さんの漫画力です。いやそれにしても、才能というか、技術の「うまさ」というべきものは恐るべきものだ。マクロの背景の整合性なんて、なんというか、ゆるすぎてもうめちゃくちゃ・・・というか、まじめに考えていないのが丸わかり(苦笑)だし、物語を駆動するような特別なミクロの動機もない。にもかかわらず、「おもしろい!」んだよ。しかも、少なくとも僕は、気になったり、嫌な感じがするような矛盾を全く感じない。明らかに整合性ないのに(笑)。こういうのは、あだち充さんのような、手抜きもまたその世界を構築する好いたいるまで昇華されてしまっているような、なんというか、風格だなぁ。


これは、いずみのさんも書かれていたが、この漫画と『風雲児たち』をセットに子供に贈ると、とても意味がありそう。日本の江戸時代の導入としては、素晴らしいかも。

風雲児たち (1) (SPコミックス)風雲児たち (1) (SPコミックス)
みなもと 太郎

リイド社 2002-03-28
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