才能を発揮すること、、、天才がその歪みで花開いていく様

MOON 3 (ビッグコミックス)

うむ面白いなー。何が面白いかというと、天才の「歪み」をよく描けているように思うんですよー。そう思いません?。昴って、なんといいうか、いやー「ほんもの」だなーって思うんですよ。


たとえばね、ライトノベルでもアニメでも何でもいいんですが、出てくる女の子って、ハーレムメイカーとかのあり方を見ればわかると思うんですが、なんというか、脇が甘い子が多いでしょう?・・・えっと、どういう意味かというと、なんというかあまり女の子を口説く力がない男の子が見ても、「口説けそう」なウィークポイントや隙があるんですよね。いや、それはそうでしょう、だってそうしないとラブロマンスは始まらないし、物語にならないもの。


けど、本当は物語になるような人間というのは、とても強い人格の力があって、その才能が強ければ強い輝きを持つほど、対人関係においてはとても強い影響力を持つと思うんですよ。いやぶっちゃけいえば、ふつうーの人には、そういう人としゃべるのもつらいはずだと思うんですよ。オーラというと、なんかウソ臭いですが、人格の力ってそういうものだと思う。ましてや社会的肩書きなんぞついた日にゃー・・・。


ましてや、天才とか言われるような輝きを持って生きている人は、「目的」にどん欲で、厳しい世界を生きていると思うんですよ。ましてや昴のような過去の体験を昇華して、さらにその上に行くには、キレイごとではないエネルギーがいる。それを、曽田正人さんは「極端な自己憐憫と自己愛」として描いているんですよね。いや、、、、これって近くにいたら、物凄い嫌なやつですよ、どうしよーもないほどに(笑)。昴の姿勢、行動、目線に、僕はそういうものをとても強く感じて・・・それは、ある意味、ふつーの男ではとても支え切れない、「凄み」になっている。なんといっても僕にはそのオーラみたいなものが「描けている」と思うんですよ。ふと考えると、怖いもの、彼女。


それに、凄いなーと思うのは、ニコもユーリも、どちらも、この天才のどうしようもない「自己愛」を、軽くいなすほど普通に受け入れている・・・・、ああ、彼女は、彼女のふさわしい場所にいるんだなーと感心します。


ただ、凄く疑問に思うのは、「この女性像」を、この「ヒロイン像」を、一般の読者は、好ましいもの、楽しいもの?として受け取るのだろうか?人気はどうなのだろうか?ととても不思議に思います。僕は既に、ある一人の強烈な人格をもった天才の生き様という風に物語を見ているので、ほとんど違和感なく、おお!と思うのだが、みんなこの物語の「その部分」を見ているのだろうか?・・・というか、基本的に少年、青年誌の圧倒的大多数は、「こういうもの」を見たがらないように感じるんだよね。そのへんが、とても気になります。