身分制度のについてのアレコレ

Landreaall (14) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)


この物語を読んでいて、なんとなく「封建制度」そして「身分社会」といものが像を結んできた気がする。いやもちろん、ランドリオールだけでそれが思いついたというよりは、ノブレスオブレージュを巡る志向やなんといってもみなもと太郎さんの『風雲児たち』などを読んでいて、LDさんが葉隠れについていろいろ話してくれて・・・などなど、様々な思考の溜め、澱のようなものが、熟成されてここに結実したんだと思う。そして、軽いものが多く世界の作り込みが幼稚な・・・というか、僕らが普通に考えて考えつく想像力のレベルでつくられがちなファンタジー漫画には珍しく、射程が異様に深く、それをマクロからではなくsキャラクターの関係性の中から描けているという秀逸な部分が、こういったものを喚起したんだと思う。本当は丁寧に書きたいのですが、、、(苦笑)。いまも、子供を風呂に入れるのの沸かす間のお休み妻に頂いて(笑)書き散らしているので、メモにとどまってしまいます。


えっとね、印象に残ったシーン。


1)p19のルッカフォート家に仕えるニンジャのシーフー(師父)の座る位置


ニンジャというのは、差別されている種族のようなんですね。その前のページのリンドウとシーフーをめぐる会話もそれを喚起させられるんですが、僕はこのp19の座る位置が非常に興味深かった。p13を見ていただけると、五十四さんの看病している時は、シーフーは、ちゃんと彼女の側で座っています。ところが、彼女の主人たるリンドウが部屋に現われると、シーフーは、下手に下がって、リンドウのいる位置より一段低い位置(靴を置くところになる)に椅子を作って座っているんです。これって、身分が違うので同じ高さで同席できないことをはっきりと描いているんですね。これは興味深かった。もちろん、物語的にニンジャが子供をつくれない体質に改造された部分などは、このサイドストーリーだけで、六甲を巡る大きな物語が隠れていることがわかります(多分作中では語られない可能性が高いけれども)。


2)p99アトルニア建国とこの世界の龍を巡る生態系について


それと、あまりに当たり前なんで、指摘しても、そんなこと分かっている!といわれそうだが・・・いやー僕は、このP99のアトルニアの建国の話が凄く面白かった。それは、この世界を支配する生態系の構造(=マクロの仕組み)を語っているんですよね。この世界には、龍という存在がいて、その龍がいる国は、その龍を儀式で封じ込めることが必要になって、それができる血筋が・・・リンドウやウールンなどが王族を形成してその地を治めることになっている。そして、この世界では、人間よりもモンスターのほうが生態系的に優位性があるようなので、それた雑多なモンスターが近づかない龍が住む土地に人間は多く入植している、、、が、龍が暴れると、その国が滅ぶというアンビバレンツの中で暮らしているのが、そもそもこのランドリオールの世界の中での基本なのだ。国家の成り立ちが、食料より何よりも、安全保障=龍がいるモンスターが近寄りにくい土地で、龍を儀式で封じ込めることが、「国家」の建国の基礎となっている。


それを端的に表しているのは、主人公のDXが住みエカリープ。ここは、めずらしくアトルニアでも、竜が住む土地であって、それを封じ込めた人の仲間だったが故に、まぁ地位もあるのだろうけれども、DXの父はこの地の領主として土地を賜っているんだと思う。つまり、龍を鎮めたから!なんだよね。このミント・ワームの話は、この世界の中での国家建国と維持の基本を説明しているんだよね。


しかし、本来は、アトルニア王国には、龍がいない地域に天馬との盟約で国を建国した、というちょっと周りの国家の成り立ちとは違う独特の国家なんだよね。だから、そもそもこの国には、龍を鎮める特殊な血族・・・リンドウやウールンのような神官・僧官的な立場での「祭政一致」国家ができにくい土壌があったわけだ。国王の身分に、俗世的な権威はあっても、宗教的な権威がないんじゃないか?と僕は思うんだ。そもそも、この地域は、「騎士団がモンスターから人々を守ることによって国ができた」という地域なので、騎士団というチームが共同で力を合わせて、居住空間の安全保障を成し遂げるという成り立ちがある。故に、この国で議会が発達し、かつその議会が国王を超える権威をもちえているんだと思う。そして同時に、「だからこそ」国王の立場にあるモノは、俗世での権威と権力を示すために、侵略による国家拡充をしなければ、その存在意義を奪われるという局面があったのではないか?と僕は推察する。そうでないと、前国王の無謀な隣国への侵略の説明ができない、、、と思う。


とかとか。


あっ、子供を風呂入れるので、、、とにかくいったんここまでで。