堀川恵美理の慕情
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堀川恵美理の花嫁修業
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なろうの小説。おもしろかった。まさに、戦記モノ!って言う感じ。戦記モノとしてのバランスが凄く良い。レスター伯爵さんと敷居さんが薦めるだけあるなぁーと思いました。いっきに3日で読みました。
さて、ちょっち最近忙しすぎるので、長文は書けないんだけれども、この小説を読んでいて強く喚起されたテーマがあるので、メモとして書き留めておきます。
まず全体の評価。エンターテイメントの戦記ものとして、特質してオリジナル、というものを感じるわけではありませんでした。これを読むならばやはり超王道の田中芳樹の作品に回帰してもいいし、世界の広がりと文化の深さでは須賀しのぶさんの『流血女神伝』の深みにはまだ及びません。と、マイナス的に書いたんですが、逆に言うと、戦記ものとしてそれらのレベルと引けを取らない展開まで質は十分達しているところが、なかなか凄い。だって、失礼ですが、素人小説ですよ、商業でも何でもない。凄いっしっかりしている!というのが、印象。これ、普通に本屋で売っていても、たぶん絶対売れると思う。完成度高いもの。小説はとてもうまいし、マクロがものの見事にちゃんと、たぶん今の時代のエンターテイメント小説の最高水準で描かれている。オリジナリティがないと言いながらも、★4つつけるのは、僕にしては結構、相当この作品好きなんだなーと思う、今日この頃。
おっと、しかし、戦記モノのマクロが描けている!というのは、実は前段階というか、まずはお約束として言っておきたい「前提」にすぎない。この物語のコアの魅力からすると、逆説的に、ほんとうはそういう戦記ものとしてのハードな魅力は、もpしかしたらそこまで必要ないのかもしれないにもかかわらず、そこまで描けているところが凄いんです。ああ、言い方が少し悪いので追記しておこう、この作品のコアでオリジナルなところは、エミリのキャラクターだと思う。。。。そこが、凄いんだ。。。
この物語の魅力は、なんといっても堀川恵美理ことエミリの魅力だ。
それも、萌えとかそういうのじゃない。作者が女性だけあって、これは明らかに女性の視点で、しかも少女小説的に描かれている。というのは、僕がこの作品をすぐ読もう!と思ったのは、レスター伯さんの一言故でした。
僕は、こういう太陽のような女の子が、大好きなんです!
という、セリフです。この物語の魅力を、一言で凝縮して説明していると思う。まさに、まさに、という感じでした。この作品を、、、あらすじは説明しません、、、だって、ぜひ読んでほしいですよ、良い小説だもの。この小説を読んでいて、ずっと強い感慨というか印象があって、それは、
「正しさ」ってのは、こんなに強いんだ!!!という感嘆でした
まぁ、ネタバレは僕のブログはいつものことなので、そういうの嫌な人は読まないほうがいいのですが、あのね、このエミリって女の子の、なんというか、ヒロイン・・・物語の主人公としての「格」が、もう絶対的なの(苦笑)。あらゆるライバルを、なぎ倒して、機関銃で抹殺していく様は、もう感心してしまった。
特に、壮絶だ!!!と感心してしまったのは、ロゼニア王国のクリスティン王女の話。主人公のエミリのお相手のフェリエス・ベロア・ベルーズド公爵は、もうめっちゃハーレムの主人公の器に十分なウルトライケメンなんですが、マクロ的にももう、それしかない!という形で彼の側室になるんですね。もうなってしまうの!。というか、そもそもクリスティン王女が、正妃でないこと自体も、なんで、、、なんでそうなっていくわけ?というマクロ的には非常にありえない展開にねじまがっていく。そして、クリスティンが側室になって、エミリが彼女に会ってみると、このクリスティン王女って、もう最高にいい女んだよね。。。。しかも、エミリ自身も嫌いになれないほどの!。ミクロもマクロもすべて揃っているの。ハーレムといわなくとも、まぁこの状況までくれば、器的にも十分な能力に溢れている、凄いでかい男なわけよ、フェリエス大公って、、、もう、クリスティンとエミリで二人共と仲良く結婚して暮らしちゃえば、もう、良いじゃんというところまで、すべてがそろうのよ、条件が。
・・・・・・・ここまですべて揃って、、、、でも「私一人を見てくれなくちゃいや!」というエミリのわがままが、すべてをなぎ倒すのね。
この「流れ」って、見ていると、ほんとありえない!!!!と思うんだよ。おかしいんだもの、その流れ。だって、最後の最後まで、、、クリスティンは、間違いなくフェリエスに添い遂げているようなんだけど、、、これ、死ぬまで一緒に暮らしてて、間違いなく手を出していないよ、このエピソードだと。。。。こんな、素晴らしくいい女なのに、、、クリスティン、一生処女のままで、しかも一緒に暮らしていて、エミリとフェリエスのラブラブっぷりを、おんなじ屋根の下で、、、、って、、、、なにその拷問、なんなの???人として、あまりに鬼畜じゃねぇ????ってほんと思うよ(苦笑)。いやほんと、「抱いてくれないんだ・・・・」とさめざめなく姿とか、もう胸がつぶれそうでしたよ(涙)。
状況的には、はっきりいって、エミリってものすごい酷い女だよ。
たしかに、ロマンチックラブイデオロギー的な、一対一の独占欲の倫理からすると、「正しさ」ではあると思うんだよ、、、けど、ここでごちゃごちゃ説明しないけれども、この「流れ」を読んでいたら、さすがに、クリスティンは許してやれよって、、、思うと思うんだよね、誰もが。。。ねぇ、そう思わない????。
けど、、、、たぶん僕は、うん、クリスティンの方が好みで、肩入れしているんだろうと思うんだけれども、、、、、、、それでも尚、たしかに、エミリの方が「正しい」という感じにさせてしまうし、エミリが中心で世界が回るのが、一番すべてが丸く収まるって「感じ」てしまうんだよね。
・・・・・なんなんんだ、、、この、、、この感覚は????
と、僕は恐れおののきました。たしかに、エミリ・・・・太陽のようなな娘だ。全てが彼女を中心に回って、いるのが、正しいと思わされてしまうような・・・・。
さて、少し戻って、レスター伯さんが、太陽ような娘が好きです!という流れの話になったのは、なぜだったか?。なんの流れになったかというと、『ホワイトアルバム2』の雪菜の話をしている時の流れでした。
それは、このラジオで僕が話していたのは、雪菜って、とんでもない酷い女だよな!ってことを話していた時でした。ここで強調したのは、雪菜というヒロインが、凄いねと思わせたのは、これだけ酷いことをしていて、その「酷さ」が全然問われない、ところ。酷さ、というのは、最初の最初の段階で、かずさから無理やり春希を奪った部分ね。ここ責められたらぐうの出も出ない、ポイントなんです。だって、かずさと春希は、最初の最初から相思相愛で、せつなが横入りをしなければ、この二人って普通にカップルになって普通にめちゃめちゃ幸せになったと思うんだよね(笑)。構造的には、雪菜が明らかに邪魔ものなんですよ。とはいえ、ここを強調したいのですが「にもかかわらず!」、雪菜というのは、非常に正しく、清純で、間違っていない印象を強く人に与えるのね。いやもう、精神的にぐっちゃぐちゃだし、かずさから奪うこととかやることえげつないにもかかわらず、彼女の「正しさ」ってゆらがない感じがするんだよね、、、。それは、確かに、かずさのほうが、好きな僕ですら感じる。この「正しさのオーラ」によって、全ては彼女が正しいのだ!彼女を汚したり、苦しめてはいけない!!!と号泣する人は多いと思うんですよ。そして、それは、僕も感情的によく理解できる。
その果てが、雪菜トゥルーエンドですよね。
それは、「全ての人が幸せになれるルート」なんだけれども、、、、、よくよく考えると、レスター伯さんがいうように、このルートのかずさって、ほんと、良いようにつかわれている「便利屋」の位置づけですよ(苦笑)。よくよく考えると、確かに、丸く収まって、すべての人が幸せになっているルートではあるんだけれども、、、それは、雪菜にすべての人が奉仕するルートなんですよね。まぁ、彼女の家族や友人や春希は、基本的に太陽たる雪菜の引力に魅かれた人なので、まぁ、それはわかる。それは自然だよ。太陽の周りを惑星が回るのは必然。。。。けど、、、、ほんとうは、かずさって、太陽系の引力の中にはいない彗星みたいなもんで(苦笑)、、、、いやいやそんなちっさな太陽ごときにとらわれる存在じゃ、本来はないから、、、のはずなのに、ものの見事に去勢されて飼いならされて、良いようにつかわれる下僕的奴隷に成り下がる・・・・
僕は、これを話していて、、、、ああこれは、LD教授がいっていた一昔前の
正ヒロインの正しさだ・・・・
と思ったのです。すべてが、ありえないようなご都合主義で、ヒロインにとって都合のいい形で物事が展開していく魔力。
このわけのわからない、「正しさ」を展開できるキャラクターこそが、正ヒロインという魔術を使うもの。
しかし、、、、LDさんの「天元突破!雨宮ゆり子!」で説明されている通り、これまでのエンタメの流れは、正ヒロインがその魔力を奪われていく過程でした。
http://www.tsphinx.net/manken/room/clmn/j_amemiya1.html
ハーレムメイカーというのは、正ヒロインの魔力を奪い、それを平等に分配していく作業でした。
・・・・・別にこれを持って回帰した、というつもりはまだないのですが、そうか、、、、正ヒロインの魔力というのは、こういうものなのかぁ!!!というのを、まざまざと見せつけてくれる作品に、連続で出会えたのが、なかなかに感心しました。
・・・・というくらいに、ほんと、エミリって、太陽のような、みんなから愛されまくる娘なんだよね、、、。
いやーーーーうん、ここまでヒロインの魔力を見せつけられると、やべぇ、、すげぇっ!って思います。
ということで。
まぁ、またどうでもいい話でした。