『アルスラーン戦記』 荒川弘 著  荒川弘のアルスラーン戦記が、素晴らしい出来です。

アルスラーン戦記(1)

評価:★★★★★星5つ
(僕的主観:★★★★★5つ)

はるかな大陸公路がここにある。荒川弘版『アルスラーン戦記』が出色の出来。
海燕の『ゆるオタひきこもり生活研究室』

http://ch.nicovideo.jp/cayenne3030/blomaga/ar504905


とにかくいえることは、『アルスラーン戦記』読みましょう。これを読まずして、人生はもったいないです、という出来の物語です。


海燕さんも書いているが、『アルスラーン戦記』のコミカライズを『銀の匙』『鋼の錬金術師』の荒川弘さんが、描いた。僕も購入して読んだのですが、なんというか、、、才能ってすごいなぁ、と感心する素晴らしい出来です。コミカライズの書き手に荒川弘さんをしようとした、そして実際に行った編集者は、素晴らしい選択眼だろうと思います。

銀の匙 Silver Spoon 1 (少年サンデーコミックス)

そもそも、『アルスラーン戦記』は、第二部(笑)がまだ完結しておりませんが、そのことをもっても1部のみで、日本のファンタジー、エンターテイメント史に残る傑作です。めっちゃくちゃおもしろいだけでなく、いまだエンターテイメントの世界で、貴種流離譚ではない形でのこうした物語は、まったくみません。オリジナルな類型です。つまり内容はめちゃくちゃ保証されている。大ベストセラー作家田中芳樹さんの30年も続いている大河ロマン。大長編ファンタジーです。


そこに来て、荒川弘さん。


もうアーカイブに残すべき傑作になるのは、間違いない感じです。ぜひとも買いましょう。というか、漫画が全巻完成してからも一気に買う方が、この手の戦記モノ系の物語はいいかもしれませんけれどね。でも、小説も最高に読みやすいので、いいっすよ。


最近は、ライトノベルをアニメーション化するときは同時にコミカライズするケースが増えています。それも、『まおゆう』や『魔法科高校の劣等生』などのように、同じ話を様々なエピソード角度から、異なる書き手によって書かれることが多いです。この2作品は特別に思い入れがあって好きなので、僕はほとんどのスピンオフ作品、コミカライズされたものを見ているのですが、、、シナリオ自体が素晴らしいことがわかっていて、書き手が何人もいると、漫画のうまさの差というのは如実にわかります。みんな商業に出るくらいなので絵はものすごくうまいんですが、漫画の「うまさ」って、絵のうまさだけではないんですよね。カット割りというか、ネームというのかな?(僕は詳しくないのでよくわからない…)同じものでも、全然違ってみる。荒川さんは、バスタードの萩原一至さんのように写真のように緻密に書き込んでいく方向性とは違って、書き込みがそこまであるわけではないんですが、コマ割がとっても読みやすくて魅力的なんですよね。本当に感心するぐらいうまいです。これって、才能なんでしょうねー。技術的な部分はあるんでしょうが、シナリオの構成する力って、才能に負うところが多い気がします。


まっ、何が言いたいかというと、モノ凄い才能が重なったんで、これは追っていかないともったいないですよ、というお話です。


ちなみに、『まおゆう』の記事の時に書いたんですが、時代を支配してしまう物語のフォーマットというものがあって、解放王アルスラーンの物語の重要な点は、奴隷解放するということがマクロ的には、物凄い難しいことだ、ということを、、、いいかえれば、動物の脊髄反射で、奴隷は悪いものだ!という短絡的な思考のショートカットをして思考停止に陥るという現実無視が、どれほどの惨禍をもたらす危ないことか、ということをエンターテイメントの次元で非常ぬよく練りこんだ見事な作品で、現代の最先端の物語の下敷きになっている素晴らしいものです。まぁそういうこと抜きにも、とにかくとんでもなく面白いので、読むことをお勧めします。


魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」 ママレードサンド(橙乃ままれ)著  
その先の物語〜次世代の物語類型のテンプレート (1)

http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20100429/p4


王都炎上: アルスラーン戦記① (光文社文庫)