攻略なんぞされてたまるか! 井平遼著
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最近時間がないので、あんまり長い記事は書けなくてストレスたまりまくりですが、、、、そのかわり長い海外出張に行くと、時差ボケで夜寝れなくなるので、暇つぶしというか頭皮になろうをすごく読むんですよね。てれびんに小説ヴューアーを教えてもらえたので、wifiがつながらないところでも飛行機の中でも読める読める。友人の間では、あいかわらず「小説家になろう」の小説のブームは、続いているので、コツコツ紹介してみようと思います。前回、無職転生を紹介したけれども、あまりメジャー級だけではなく、そんなのあったけ?的な奴もコツコツと。
さて、僕のお気に入りの紹介として、『攻略なんぞされてたまるか!』を。これ、アメリカ出張の時差ボケで、ずっと寝れなくて苦しくなって、もういいやと思って読んでそのまま完全徹夜で読んでしまった、、、中間テストの前の中学生みたいなことやって、閉まったーと真っ青になったのを覚えています(まぁどの道寝れなかったんだろうけれども)。
要は転生もの、とりかえばや物語系です。片桐空という女の子が主人公で、20歳超えたくらいの男性が、16歳のギャルゲーの主人公に転生したという話です。典型的ななろうフォーマット。異世界ではないけれども(ギャルゲーの世界を異世界と考えれば異世界か・・・・)転生人生やり直し日常継続のセラピーものの類型といっていい。
一つ悲しいことは、もう4か月も更新が止まっていて、たぶん作者は続きを書かないんだろうなぁ、、、と思われること。僕は地味にファンで、、、、なんというか、僕これ好きなんだよなぁ、、、このくそ忙しいのに読み直しているので、読み直すってのは、僕の中でも別格なんで、ほんと好きなんだろうと思う。それが、凄い残念。
何が面白いか?っていうと、なんだろう・・・・
男女とりかえばや物語の類型って、とても好きで見つけては読んでいるんだけれども、一つのパターンでは、この作品は典型ですが、違うジェンダーに生まれた事を真面目に悩むんですね。たぶん作者が真面目な人なんでしょう(笑)。えっと、どういうことかというと、アインデンティークライシスが発生するんですよ。「私とはだれか?」と。この悩みを持った人は、どうしても「白か黒かの結論をつけたがる」傾向があるように思います。これいっぱい物語を見たうえでの感想なので、たぶん、本当の人間も、そうなんじゃないかなーと思うんですが。
もう少し具体的に言うと、話の前半で、空ちゃんは、自分が女であることに悩み始めます。まぁそんなに長く引きづらないんだけれども(物語エピソード的には)、特にどうもギャルゲーの世界だろうし、よくよく考えると、いつかは男に口説かれてやられちゃう可能性があるわけだよね、、、と、、、(笑)。あと、自分の前の人生は何だったんだろうか?とか、、、まぁ当たり前だよね。神様(=作者は)は、気分やネタでマクロ構造を設計したとしても、その立場になった当事者(=物語の主人公)は、実際に自分の人生だもんね、自意識あれば悩むよね。
んでもって、こういうシリアスに「私とは何か?」を悩む人は、結論として、じゃあ、女になるしかないんだな!(=今の人生を精いっぱい生きよう)という傾向になるんですよね。
うん、真面目に人生考えると、最後は「今の自分という物語を生きる」以外にはないんですよ。やり直す方法や、もう一度元の世界に戻ろう可能性があれば、そのルートを追うこともあるんですが、基本的に、そういうメタ的な機能は、人生には許されないのがリアルってもんです。特に、このような日常やり直し系って、SFとかではないので、学園の日常生活が続くとなると、、、、こうなるんですね。
んでもって、あまり明示的に書かれていないけれども、この主人公は、女の子としての性をちゃんと生きようと決意しているんですね。んで、、、それ以降は、ギャルゲーの世界に転生した設定とか、元自分が男であったとかのメタ視点とか、そういうのはほとんど出てこなくなるんですね。単純に、16歳の美少女片桐空の日常になってしまう。・・・普通、あんまりおもしろくなくなると思うんですが・・・・僕、この作品好きなんですよねー。
なんでかって、まず一つは、この作者は名前的には男なんでしょうかね、いややっぱ女性なんじゃねーかなー、、、、なんというか、本当に女の子の生態というか思考履歴というか、、、凄い描写が細かいんですよ。女性じゃないと、ここまでわからないんじゃないかな?って、。いやたとえばね、服の選び方、ブラジャーのカップについてのこと、体型の維持に関する日常の意識、ご飯に対するセンス(主人公はすごい料理好きの設定)などなど、、、なんというか、、、もうとってもよく観察っされてて、まるで女の子がそこで暮らしているかのような具体的なの、、、
たぶん、大体の男女取り替えものって、男性が女性への異性へのセンスオブワンダー的な、もっと極言しちゃえば、性的好奇心で成り立っているものが多いわけですよ。けど、性的好奇心って、ようはポルノなんで、パターンがワンパターンなんですよね。あと、ぼくもねぇー40歳近いおっさんにすると、枯れてるとは言わないけれども、、、もう女体の神秘とか、妻ある身としては(笑)、いまさらそこまでねぇ、、ということで、たぶん青少年に比べれば食いつき悪いんですよ。僕は。でも、この系統好きとなると、、ようは、女性であることのセンスオブワンダーが描写されて、主人公の主観視点で体感できるところに、面白さがあるんだよねー。他のジェンダーであることは、究極のセンスオブワンダーの一つだからね。僕は、こういうの好きなんだよなー。
もう一つは、元男性ということによって、男性との関係をとっても忌避している(=男嫌い)的な設定になっているんだけど、しかしながらギャルゲー世界なのでイケメンズが周りにあふれているのね。特に、いやー館林君とかマジ、中身までほんとイケメン。これがいいなーと思うのは、男性とそういう雰囲気にならない!と主人公が、強く意識を持っているので、基本的に関係性が役割に固定されていないのね。
えっと、普通、こういうギャルゲー世界転生ものだとかラブコメというのは、男と女がいたら、まず恋愛が始まるという「役割の固定」で物語を固定していきます。だってそうしないと物語が始まらないじゃないですか(笑)。でも、なろう系統の物語って、設計して物語を書かないで、とにかく垂れ流す形式なので、そういう物語として、物語の主軸とテーマにすべてを収斂させて、読者にわかりやすく提示するという方法をとる必要がないので、なんとなく「ただ単に普通の友達」として関係性がせばまっていくんですよね。。。。
えっとね、、、、やぁーー本当のイケメンって、こういう風に女の子の外堀を埋めていくんだなーーって感心するんですよ(笑)。舘林君との距離のつめ方とか、、、ふつうこれ、気づいたら撃沈される関係性の積み上げが積みあがっていて・・・・・ううーいいです(笑)。もう完全に女の子の日常の世界になっているので、元男という設定は必要ないのかもしれないんですが、、、、しかしこれがあるので、常にメタ的な通常の「男女」的な関係性に簡単はいっていかない縛りがあるので、そのしばり感が、逆にいい味を出しているんだろうと思う。主人公の空はとってもクレバーでよく物事を見通しているんだけれども、元男だという履歴が邪魔して、「自分の女の子としての気持ち」を完全に置き去りにしているので、それって、とっても鈍感で自分の気持ちに気づかない女の子の純粋な気持ち(はーと)的な感じなっていて、僕は萌えるんだよなー。
まぁ、続き書いてほしいなーと思う今日この頃です。
そんで、ここまでいったら、どこまで行くんだろうーというこの系の最後も見てみたい気がします。この流れで舘林君と結ばれないってのはないと思うんだけれども、、、でも、どう乗り越えるの?って感じで。