しびれる名言だ。




「善意のみで突っ走った人よりも、悪賢く立ちまわった人物のほうが、結局は人間世界にとって良い結果をもたらしたという例は枚挙にいとまがありません」



このインタヴューすばらしい。僕も本当に、切実に、そう思う。単純な善意というのは、マクロ的には、ほぼ間違いなく悪い結果をもたらすし、その悪い結果というのは、信じられないほどの邪悪で悲惨なものになりがちだ。しかし一方、人は本当に鳥頭だと思う。ちょっと時間的に長いこと、複雑なことは、まったく考えられなくなってしまうものだ。特に自分を善と信じ切っている人の悪行は、本当にありえないほどひどいものだ。社会的に、悲しいことながら、正しさや倫理道徳を根拠にする話は、ほとんどがうそっぱちで、結果の災厄をもたらすものだ。歴史を学べば、例が多すぎて驚くほどですよ。



ちなみに、塩野さん、きっとこのセリフで、カエサルを思い浮かべているよね。間違いなく。


ローマ人の物語〈8〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(上) (新潮文庫)