アメリカのリベラルが嫌われつつあるのはなぜか? ウォーク・アウェイ運動について

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リベラルと民主党から立ち去ろう!――ブランドン・ストラカ

BRANDON STRAKAさんのWalk Away運動の、このYouTubeの映像は、今のアメリカの政治状況を読み解くのに、非常に有用だと思いました。

多様なメッセージを含んでいて、アメリカの民主党批判なのか、左翼自体の批判なのか、それともリベラル批判なのか、はっきりしないぐらい広い範囲をカバーしているんですが、逆に言うと、そのすべてをカバーしている。アメリカ的な文脈でいえば、リベラルとは、フランクリン・ルーズヴェルト大統領のニューディール政策以来の連邦政府大きな政府として機能していく流れなのですが、これに対するアメリカ社会の広範な嫌悪感が、よく表れていると思いました。民主党が、バーニー・サンダースさん的な極左に偏りつつある現在、アメリカの中産階級を軸とする広い範囲の嫌悪を呼びこして、それが結局のところ共和党に利する方向になり、トランプ大統領の勝利と支持に結びついている構造をよくよく示している。民主党が、アイティティ・ポリティクスを継続して、極左が主導する限り、なかなかこの政治構造は変わらないでしょう。そう考えると、前回の中間選挙で上院も共和党で支配したし、次回の大統領選挙も、トランプさんが勝つ可能性は高いなぁ、と感じます。テレビを見ていると、ありえないくらい嫌われてて、批判されているので、不思議な感じがするんですが。民主党側の自滅なんですよね。極左、リベラルのアイティティ・ポリティクスが前面に出る限り、構造が変わらない。

Once upon a time I was a liberal. But liberalism has changed. And I will no longer be a part of an ideology or political party that represents everything that contradicts my values of unity, equal opportunity, personal empowerment, compassion, and love.

So I am walking away.

And I encourage all of you to do the same.

Walk away.

昔々、私はリベラルだった。しかし、リベラル主義は変容した。私は、調和、平等な機会、向上心、思いやり、愛といった私の価値と矛盾するすべてを代表するイデオロギーや政党の一部であることをやめた。私は立ち去る。そして、すべての皆さんに私と同じ行動を取るように勧めたい。立ち去ろう。


http://www.ruthfullyyours.com/2018/07/12/transcript-brandon-straka-walk-away/

私がかつて愛した民主党は、票の獲得と権力維持のために極左と手を結んだ。民主党とリベラルメディアは、不正に生み出した結論を信じ込み、気味の悪いことに彼らだけが社会の悪を退治する方法を知っているのだと決め込んた。左翼は、人種差別を強めることで、米国の人種関連の問題を解決すると決めた。

左翼は、あるグループを攻撃し、侮辱し、非人間的に扱うことで、他のグループの地位を向上させることができると信じている。左翼は、ニュースを伝える際、目的が手段を正当化するのだから、嘘をつき、真実を省略し、事実を歪めることは無限に許されると信じている。

左翼は、認められるべき観点は彼らの観点のみであり、開かれた議論を抑圧/検閲/禁止することは美徳で進歩的だと決めてしまった。民主党は、アイデンティティに基づき人々をグループ化した上で「犠牲者」と「抑圧者」に分けるという有害な思考体系を、なんの疑念もなく喜び勇んで採用した。


togetter.com

僕は、民主党の新世代の一人として、Alexandria Ocasio-Cortezさんを紹介したんですが、この人は、まさにここで言われている民主党極左(the extremist left)にあたる人ですね。極左の台頭のシンボルが、2016年の大統領選挙におけるBernard "Bernie" Sanders(バーモント州選出のアメリカ合衆国上院議員)の登場ですね。二人とも、同じ民主社会主義者を公言しています。ヒラリー・クリントンさんが、まさか負けるわけはないだろうといわれていたのに、トランプさんに負けたのは、予備選挙バーニー・サンダースさんに勝つために、彼の政治意見を取り入れて、中道左派の位置づけから、かなり極左の方に依らなければいけなかったことが、敗因の大きな理由ではないかと僕は思っています。リベラリズムには常に、「どこで線を引くか」という問題があって、その線は恣意的なものなので、そこを告発されると偽善にしか見えなくなってしまう。この偽善者的な部分と、中道でどっちにもよらないという部分が、相乗効果で民主党内に亀裂を増やし、かつトランプさんが取り込んだ普通の中産階級、、、極左やリベラルのアイデンティティ-ポリテクスに飽き飽きしている人々にそっぽを向かせたのではないかと思います。なので、2018年の中間選挙で下院での女性やマイノリティの議員がたくさん誕生したことは、逆を言うと、アイデンティティ・ポリテクスを加速させて、かつ極左民主党がふれるので、ますますトランプさんに負けた構造が強化される可能性が高いと僕は思うのです。このままでいけば、極左の新しい新世代に次回の大統領候補が選ばれる可能性は高く、それは、民主党内では、民主党内部での方向性はまとまるかもしれませんが、そもそも民主党の中道寄りの人々が離れるのが加速してしまう可能性が高い。


courrier.jp


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第三に、アイデンティティ・ポリティクスを重視する論者の暴力性が、ときおり指摘される。アイデンティティ・ポリティクスの提唱者やリベラル派は、集団の尊厳や人権など、それ自体としては誰も否定しない価値を掲げ、異論を認めず敵対者を非難・攻撃する人と見なされることがある。

その非難・攻撃というスタイルはじつは暴力的だが、その暴力性に無自覚な人も多い。仮にその暴力性を認識していたとしても、自らは弱者の味方で、正しい規範に依拠していると考えているため、その暴力性を正当化する人もいる。そして、自らに対する批判をリベラルな規範の否定と捉え、糾弾者をさらに批判する。その際には、批判者の発言内容だけではなく、人格や動機も含めた批判がなされることもある。

このような状態は、自らの奉じる価値や規範は絶対視するものの、他者に対する敬意を欠くものと見なされ、非難されている人にはダブルスタンダートに映る。それがリベラルに対する敵意を生み出す要因になっている。

このような背景の下、今日のウォーク・アウェイ運動は発生している。

この部分を見ていて、日本のTwitterでよく起きるトラブルをとても思い出しました。一つは、人権などの本来、リベラリズム的な理想を語る側の方が、信じられない罵りや決めつけをまき散らすので、さすがにそれはどうかなと誰かが反論すると、その人を悪魔化して、正しさの敵だというような攻撃をする。攻撃している人は、自らの正義を信じているかもしれないけれども、こうした態度が、実際には、それを目撃している人の嫌悪呼び起こしていて、意図とは反対のことを引き起こす。戦略的にもとても結果に結びつかないし、同時に保守や右翼側にとても有利な状況を導いてしまう。「良き意図」が必ずしも「良き振る舞い」「マクロ的な良い結果」に結び付かないという好例だと思う。個人的には、「良き意図」というのは、マクロ的にはたいてい、最悪の事態を招くケースが多い気がする。悲しいことだけれども。目の前のことしか見えていないものに、社会は良く変えられない。塩野七生さんの下記の言葉は至言だと思う。


「善意のみで突っ走った人よりも、悪賢く立ちまわった人物のほうが、結局は人間世界にとって良い結果をもたらしたという例は枚挙にいとまがありません」


petronius.hatenablog.com




二年前にトランプが共和党の候補に決まりつつあったころから、民主党支持でありながらヒラリーやバーニーに投票せずにトランプを支持するようになったリベラル達が増えた。以前にも拙ブログにおいて民主党は本当の意味でのリベラル思想からかけ離れてしまったと言って保守派に転向したデイブ・ルービンの話しや、チャドウィック・ムーアの話しで紹介したことがある。

私が今の左翼や民主党支持者を左翼リベラルとか革新派リベラルと言わずに「後退派左翼」と呼ぶようになったのは、今の左翼はおよそリバティー(自由)にも革新にも全く興味がない独裁主義だからである。

現在の左翼たちは徒党を組んで覆面して保守派の講演会を暴力で阻止する。自分と違う意見は徹底的に弾圧する。左翼思想に従わないものは道端で出くわしても、レストランでも、小売店の店先でも大声で罵ったり暴力をふるったりする。これが差別反対とか少数派の人権擁護とか言ってた奴らのすることか?




リベラルが民主党を見放す時、ウォークアウェイ運動に同調するリベラル達 – Scarecrow in the Strawberry Field


この人の「後退派左翼」という表現は、言いえて妙だと思う。大学の授業で、平等には二つあるってのをならったのを思い出す。「結果の平等」と「機会の平等」どっちも大事だけど、あえてどっちらが大事かといえば、もちろん個々の状況で違うのだろうけれども、やはり「機会の平等」なんだろうと思う。公正さ、フェアネスが最後のよりどころにならざるを得ないし、このバランスが失われてどちらかによっては、だめなんだろうと思う。このバランスの力点は、再配分するリソースは限られていて、パイ自体を大きくしないと再分配は機能しなくなることや、結果の平等を求めるとき、何を基準に再分配するかは、都度常に恣意的にならざるを得ないという限界点を認識しながらするかってことなんだろうと思う。この辺の、簡単な答えはなくて、状況によって正しさなんかいくらでも変わりうる恣意さを念頭にしながら、バランスを求める意識がないと、結局最悪の結果しか招かないし、何のかんのいっても、必ず歴史単位でブバックラッシュを招いてしまう。のだなぁ。。。と思う今日この頃。

FULL TRANSCRIPT OF BRANDON STRAKA’S VIDEO

Once upon a time, I was a liberal.

Well, to be honest, less than a year ago, I was still a liberal.

I became a liberal because I felt I’d found a tribe whose values aligned with my own.

I staunchly reject racism of any kind, I reject the marginalization of any human being based off of their gender or sexual orientation. I reject tyrannical group think, I reject a system which allows an ambitious, misinformed, and dogmatic mob to suppress free speech, create false narratives, and apathetically steamroll over the truth.

I reject the acceptance of junk science and superstition to advance ideological agendas.

I reject hate.

These are the reasons why I became a liberal and these are the same reasons why I am now walking away.

For years now, I have watched as the left has devolved into intolerant, inflexible, illogical, hateful, misguided, ill-informed, un-American, hypocritical, menacing, callous, ignorant, narrow-minded, and at times, blatantly fascistic behavior and rhetoric.

Liberalism has been co-opted and absorbed by the very characteristics it claims to fight against. For years now, I’ve watched as people on the left have become anesthetized to their own prejudices and bigotry and the prejudices and bigotry of those around them who echo their values. I have watched these formerly-sensible people, who claim to reject racism, have come to embrace the principles of universally hating and blaming all of society’s problems on all people who have white skin. I have witnessed the irony of advocacy for gender equality morph into blatant hatred and intolerance of men and masculinity. I have seen the once-earnest fight for equality for the LGBT community mutate into an illogical demonization of heteronormativity and the push to vilify and attack our conventional concepts of gender.

These same self-proclaimed victims of intolerance [are] now turning on the gay community that they once attached themselves to advance their agenda, [are] now calling gay people ‘privileged’ and themselves ‘victims’ of injustice. I have watched as the left has allowed themselves to become hypnotized by false narratives and conclusions, perpetuated by social justice warriors who misrepresent and misconstrue facts and evidence and events to confirm their own biases that everyone who does not comply with their prejudicial conclusions and follow their orders is a racist, a bigot, a Nazi, a white supremacist, homophobic, Islamophobic, xenophobic, misogynist, and alt-right extremist. And I’ve watched as they’ve used these heartless and carelessly-assigned labels to intimidate, threaten, bully, silence, attack, un-employ, blacklist, and destroy anybody who dares to fight back.

They’ll come for me and then they’ll come for you.

And worst of all, the Democratic Party and the liberal media has embraced, affirmed, aided, and abetted this cult ideology. In an effort to gain voters and maintain power, the Democratic Party that I once loved has joined forces with the extremist left. The Democratic Party and the liberal media now believe their own ill-gotten conclusions and have ominously decided that they –and only they – know the remedy for society’s ills.

The Left has decided that the solution to problems with race relations in America is more racism. The Left believes that attacking, insulting, and dehumanizing one group of people elevates another. The Left now believes that there are no boundaries when telling lies, omitting the truth, or misrepresenting the facts when telling the news because their end justifies their means. The Left has now decided that its point of view is the only acceptable one and that suppressing, censoring, and banning open debate is virtuous and progressive. The Democratic Party has adopted a deleterious belief system, happily and without skepticism, separating people into groups based off of identity and then organizing them into camps of ‘victims’ and ‘oppressors.’

If you are a person of color, an LGBT person, a woman, or an American immigrant, the Democratic Party wants you to know that you are a victim and destined to stay that way. They will insist that you are a victim doomed to exist within a system that is rigged against you, that you are a victim of systemic oppression, that you are a victim of your circumstances, and that no amount of hard work or motivational action will ever allow you to overcome your victimhood or the privilege of those around you.

This is perhaps the Democratic Party’s greatest and most insidious lie.

But if you are a minority in America today, the left-wing politicians and the liberal media don’t ever want you to ever discover this lie. So they bombard us with stories designed to reinforce this narrative that you are in danger, that you cannot succeed. They manipulate your fears and concerns by telling you that you are disadvantaged, disempowered, and disposable to everyone – except to them. They will tell you that you need them. They will tell you that you are only safe under their supervision. They will promise to liberate you from all that chains you.

And then, they will do absolutely nothing for you.

Once upon a time I was a liberal. But liberalism has changed. And I will no longer be a part of an ideology or political party that represents everything that contradicts my values of unity, equal opportunity, personal empowerment, compassion, and love.

So I am walking away.

And I encourage all of you to do the same.

Walk away.