競馬素人の中の素人による2021年ブリーダーズカップ(Breeders' Cup World Championships)観戦記


Breeders’ Cup | November 1 & 2 2024

2021年11月6日(日)に、「ブリーダーズカップ・ワールド・チャンピオンシップ(Breeders' Cup World Championships)」を見に、デルマー競馬場(Del Mar Racetrack)に行ってきました。"Where The Turf Meets The Surf."(太平洋のそばにあるから)で有名な、競馬場。ウマ娘で興味を持ったら、ちょうど家の近くでやっているのを友人に教えてもらい、いっちょ行ってみるかと言ってきました。馬券を人生で買ったことがないくらいの素人なので、ほんの思いつきでした。

サンディエゴの近くのこの辺ですね。ペトロニウスは、オレンジカウンティ在住なので、車で1時間から1時間半ぐらい。I5のこの辺は、良く渋滞するので、まぁ1時間半ですね。ちなみに、当日はやはり渋滞で、結構行くの遅れました。

ちなみに当日のパンフレット。もちまわりでカリフォルニアのデルマーでいつもやるわけじゃないからだと思うけど、駐車場が遠くて、そこからシャトルバスが出ていくので、ちょっと遠かった。なんだかおじいちゃんのお金持ちな感じの人が多かったのは、年齢層高めの場所なんだなぁと思いました。まぁ乗っている時間は10分もかからないけど。渋滞でラブズオンリユーのフィリーメアターフがギリギリみれるかどうかだったので、間に合ってよかった。ギリギリでチケットかったので、WillCall(既に代金の一部または全額を支払っている予約済みチケットを受け取ることのできる窓口のこと)で窓口受け取りだったんで、入る場所わかんねーと焦りました。

サンディエゴに近いデルマーというのは、めちゃくちゃ金持ちに住むなんで、まぁそんな気はしてなんですが、入った途端、ドレスアップした女性がめちゃくちゃいて、なんというか金持ち------!!!って感じの人ばかりしかいなくて、いやー場違い感が凄かった。社交場!!的な感じあふれてて、やばかった。あと、よくよく見れば、スペイン語やフランス語があふれてたので、必ずしもそうじゃないんだろうけれども、白人しかいない!って感じで、アジア人の風貌の自分はマイノリティ感あふれてる上に、ドレスコードあるんじゃないか?くらいの恰好の人が多かったので、なんとなく怖い感じがして仕方がありませんでした(笑)。あとで、レスター伯爵にいったら、デルマーでのブリーダーズカップならば、そういう感じもあるかもですねぇ、。と言っていました。サンタアニタ競馬場はもっと、広くてフレンドリーで家族とかで行ってもいい感じだったのですが、こっちは家族で来れる感じがしないなぁって感じでした。あ、ちなみに、マスクをしている人は皆無でした(苦笑)。

アナウンスで、シェイクモハメドという人のインタヴューをしてて!、あれこれは!とレスター伯爵にLINEさしたら(リアルタイムで日本でも見てたんで、解説してもらいながら(笑))、ゴドルフィングループの殿下!だった。アラブ首長国連邦の王族みたいですね。ゴドルフィンGodolphin Racing Inc.)ってのは、世界三大グループ、クールモアスタッド (Coolmore Stud)(アイルランド)、社台(日本)のうちの一つだそうです。習ったすぐそばから、実物を直接に見れるなんて、ラッキー!と思いましたよ。ちなみに社台グループは、ゆうきまさみ先生の名作『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』の醍醐グループのモデルだそうです。

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着いてすぐ3歳以上の牝馬が芝2200mを競うBCフィリー&メアターフをラヴズオンリーユーで勝ちました。もともとウマ娘を見たにわかが行こうと思ったのは、レスター伯が、フィリー&メアターフでラヴズオンリーユー(日本馬)が勝つ可能性あるので、行ってみたらいいですよ!ということでした。まったく知識ないもんだから、「何かに注目する軸」がないと、どうにもならないので。始まりは14時だったので、ギリギリに到着でしたが、サクッと楽勝で勝ったので、おおーーとうなりました。ちなみに、ちょっと曇りがちだったのが、だんだんい晴れていく感じの一日でした。サザンカリフォルニアは、というかサンディエゴは、位置的には沖縄くらいかなぁという感じなんですが、冬は結構肌寒い。ちょっと厚着していったので、それは正解でした。ずっと外で見ているので、、、。ClubHouseのチケットだったので、中でゆったりもできるんですが、せっかくだから真ん前で見たいじゃないですか。

そうこうしてるうちに、ダラーっと見ていたら、いきなり日本の馬が勝ったみたいで???えっ?って感じで、場内騒然で、まわりのそこかしこから、Japaneseというつぶやきが聞こえてきて、後でわかったのですが、最低人気のマルシェロレーヌがまさか勝つと思わなかったので、マジかよっ!みたいな感じだったんだと思います。よくわかんなくて信じられないから、Twitterで検索して見直して、レスター伯爵が叫んでいるので、ああ、これ日本の馬が予想外に勝ったんだなって思いました。

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2頭の日本調教馬がアメリカ・競馬の祭典で優勝
 6日(日本時間11月7日)、アメリカ・デルマー競馬場で行われたブリーダーズカップ(以下、BC)において、2頭の日本調教馬が優勝した。BCはアメリカ競馬の振興のため、1984年に創設された"競馬の祭典"である。1996年に藤沢和雄厩舎のタイキブリザードBCクラシックに挑戦して以降、昨年までで13頭が挑戦してきたが、その壁は敗れなかった。今年はライバルとなる欧州馬よりも日本馬のほうが輸送距離が短く有利な状況ということもあり、7頭が挑戦。そのうち、まず3歳以上の牝馬が芝2200mを競うBCフィリー&メアターフをラヴズオンリーユーが優勝し、続いて3歳以上の牝馬がダート1800mを競うBCディスタフでマルシュロレーヌが優勝した。

ラヴズオンリーユー、厳しい展開を克服して抜け出す
 ラヴズオンリーユーはこれまで日本、ドバイ、香港でもGIに参戦しており、日本のオークス、香港のクイーン・エリザベス2世カップを制している。3着に負けたドバイ・シーマクラシックで1着馬にクビ+クビ差と僅差で迫っており、まさに世界を股にかけて活躍してきたといえる。

 今回のBCでも人気を集めており、当然ながら楽な競馬もさせてもらえなかったが、ゴール手前で力強く追う川田騎手に応えるようにしっかりと伸び、前を捉えた。

 川田騎手は今週はもちろん、帰国後も隔離期間があるため、来週のエリザベス女王杯のレイパパレなど日本のGIレースでの騎乗機会よりブリーダーズカップへのチャレンジを選んだことになる。それだけ深い想いで臨んだ戦いであり、幼いころからの夢を叶えた瞬間でもあった。
歴史的快挙!日本調教馬2頭のブリーダーズカップ優勝 日本で紡いだ血統が世界で知られるGIを制した日(花岡貴子) - エキスパート - Yahoo!ニュース


このあと、レスター伯から、こんこんと

日本の馬がアメリカのダートで勝つことの意味とは、凄さとは!!!


を、ムチャクチャ説明してもらいました(笑)。軽く僕の理解を書いておくと、ヨーロッパの馬というのは、長距離、高低差のあるフィールドに最適化しているので、とにかく根性とスタミナが凄い。アメリカの馬は、とにかく短い距離で一気に加速してスピードとパワーに特化している。そのアメリカの馬が特化、最適化したのが、ダートであり、その単距離で、そもそも外国馬が勝つのはとても難しい。

というか、競馬というのは、その土地固有の特性あるフィールドが作られ、そこに最適化するように掛け合わせて選抜されていくものだから、超一流まで生態系が形成されて育成されたレベルでは、海外からサクッと遊びに来て勝つというのは、物凄く難しい。過去のジャパンカップなどは、楽勝でヨーロッパからきて遊び気分で賞金を荒稼ぎすることができたが、今はそもそも来ない。勝てないのを知っているからだ。言い換えれば、日本の競馬産業は、そのレベルに達しており、ある種のガラパゴス化を迎えているといえる。しかしながら、それは、本場のアメリカやヨーロッパでも同じで、超一流まで最適化したものは、それすなわちガラパゴスなのだ。しかしながら、当然そうして「最適化」した場合には、そこから多様化や分岐もまた始まる。


この文脈で考えるならば、血統のエリート中のエリートであるラヴズオンリーユーが、BCフィリー&メアターフを勝つことは、それほどおかしなことではない。これは、日本の競馬育成が、ヨーロッパやアメリカと肩を並べているということの証左であり、追いついているということの証明のようなものだ。ただし、、、それは、やはりアメリカとヨーロッパの一流馬をかけ合わせているわけだから、ぶちゃけ、同じレベルに達したコピーとも言えなくもない。もちろん、それは物凄く難しいことであって、軽々しく言えることではないにしても。


一方、マルシュロレーヌが、BCディスタフ(3歳以上の牝馬がダート1800m)で勝つということは、非常に、想定外だったはずだ。レース自体は、アメリカ最強場の布陣らしく、物凄い序盤のハイスピードの戦いになった。いや、なりすぎた。それによって、スタミナに難があるアメリカ馬の性格上、スタミナ切れしてしまったところに、スピードに何とか食らいついた(それだけでも物凄いこと)マルシェロレーヌが、スタミナで勝利したというレース展開。もともとアメリカの牙城であるスピードとパワーが試されるBCディスタフにおいて、そのアメリカ最強布陣がそろっていたこと。日本の馬では、とてもではないがそのスピード+パワーは、質的にあまり得意ではないはず。そのうえ、ぶちゃけ、マルシェロレーヌは、それほど血筋的にはよくない、いやはっきりいって極東日本のオリジナルとは言わないものの、かなりドさ回りして下から這い上がった馬だ。「それ」が勝つ!ということの意味は!。ようは、現在の日本の競馬産業の質が、エリートの馬を育てるのも、地方ドさ回り(笑)から血統だけで勝負しないでも、世界に通用するレベルにあるってことなんだろうと思う。そういう意味で、この2つの種類が違うタイプの馬が勝ったことは、本当に喜ばしい。そして、凄いことなんだ。

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それ以来、四半世紀が過ぎても、ここ十数年で凱旋門賞は手の届きそうなところまで来ている感触はあっても、ブリーダーズカップは依然として遠いままであった。たとえ日本馬が凱旋門賞を勝つことがあっても、ブリーダーズカップだけは高い壁として立ちはだかるのだろうと思っていた。
特にダートで行われる、ブリーダーズカップクラシックとディスタフ、スプリントあたりは、アメリカの馬たちに敵うわけがないと感じていた。それはパンパンの高速馬場で行われる日本の競馬場で海外の馬が勝てなくなっているのと同じで、極めて特殊な能力が問われるレースであるからだ。
しかもブリーダーズカップには全米から強豪が集まり、レベルの高いレースになるだけに、適性と能力が突出していなければ勝てないのだ。

そういう意味で、ラヴズオンリーユーによるBCフィリー&メアーターフの勝利も素晴らしいものだが、僕たちが、いや全世界の競馬ファンが驚かされたのは、マルシュロレーヌがBCディスタフを勝ったことである。1984年から設立された同レースの勝ち馬を振り返ってみると、1991年のダンススマートリーがカナダ馬として勝利した以外は、36頭の勝ち馬はすべてアメリカ馬。
この事実だけを見ても、今年、日本馬のマルシュロレーヌの勝利がどれだけUpset(大番狂わせ)であったか伝わるだろう。

それにしても、恐ろしいほどのハイペースで進み、序盤で前に行った馬たちは総崩れとなるという、いかにもアメリカ競馬らしいレースであった。このペースを押っ付けることなく追走し、早めに先頭に立って押し切ったのだから、文句なしの完勝である。マルシュロレーヌはアメリカ競馬で問われる、スピードとスタミナ、そして根性を世界トップクラスのレベルで兼備していることを証明したのだ。

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最後に、それぞれのレースに出走した各馬の種牡馬の名前を眺めるだけで、このブリーダーズカップの多様性が分かる。ラヴズオンリーユーが勝ったBCフィリー&メア―ターフには同じ父を持つ馬は1頭もいないし(ディープインパクトでさえ種牡馬の1頭なのである)、マルシュロレーヌが勝利したBCディスタフは、カーリン産駒が2頭いるのみでそれ以外は別々の種牡馬を父にしている。その他のレースも同じような状況である。日本の重賞レースで走る馬たちの父の顔ぶれと比べてみて、日本の競馬ファンそれぞれが多様性とは何かを考えてみてもらいたい。僕の目にはブリーダーズカップの姿は健全に見える。

ブリーダーズカップとは、まさに生産者たちのために創設されたレース。彼らが思い思いの配合で強い馬をつくり、それらを持ち寄って競わせる──まさに、競馬の原点を象徴している一戦と言えよう。そして多様性を体現するブリーダーズカップだからこそ、マルシュロレーヌが勝つことを受け入れられたとも考えられるのではないだろうか。

僕たちは、この歴史的勝利におごることなく、もっと幅広い視野で、多様なサラブレッドを生産していかければ、次は二度とないかもしれない。