『SHOGUN 将軍』を見ました!

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評価:まだ終わっていないので未評価
(僕的主観:★★★★☆4つ半)

ジェームズ・クラヴェルの1975年の小説『将軍』(Shōgun)を原作に1980年にNBCで製作された大ヒットドラマのリメイク作品。2024/2/24に公開された2話を見ました。ずっと見たいと思っていたのですが、このレベルでのリメイク。うれしい。Twitterで絶賛の評価だったので、おもわず優先順位を繰り上げてみてしまった。なるべく全て完結してから一気に見たかったけど、我慢できませんでした。

🔳ヨーロッパ人から見た異世界としての日本を見るセンスオブワンダー

見どころは、やはり、徳川家康に仕えた実在のイングランド人、三浦按針にインスパイアされたJohn Blackthorne(ジョン・ブラックソーン)から見た、「日本という異世界」ですね。真田広之がプロデューサーを務めて繊細に日本を描いているが、それでもやはり、これはアメリカのドラマ。そして、原作、主人公の視点ともに大航海時代南欧グローバリゼーションのヨーロッパ人の主観視点から構成された「物語」であって、そこにセンスオブワンダーがある。


エドワード・ズウィック監督の『ラストサムライ』(2003)のような感じですね。あれは、撮影がニュージーランドだったはず。将軍の撮影場所は、公式には公表されていませんが、カナダの南西岸ブリティシュコロンビア州ポートムーディみたいですね。でも、たぶん、日本で撮影しても、画面の処理や画面の構図は、ヨーロッパ人から見た異世界という演出になっただろうし、その辺の異国情緒はたっぷり感じられる。無礼を働いた村人が、いきなり侍に首を刀で吹っ飛ばされるシーンとか、いやそりゃないだろ(笑)、と思う面も、イングランド人という視点からの、全くいの異世界に放り込まれている感覚を増幅してくれるから、とてもありだと思う。そこが、、それがこそがいいのだ。

🔳まるでゲームオブスローンの権力争いを見ているような壮大さ

もう一つは、2話で、大阪城の遠景からのロングショット、5大老の権力争いが、どうみても『ゲームオブスローン』(笑)、という感じで、いやはやこれは美味いドラマだって唸りましたよ。このブログを読まれる方で、『ゲームオブスローン』のドラマを知らないという人は、少ないかと思いますが、ジョージ・R・R・マーティンの小説『氷と炎の歌』を原作としたHBOのテレビドラマシリーズで、全米で最も人気があった伝説のドラマです。特に当時(2011−19)米国で、若い世代からの人気が圧倒的で、これを見ていない人はいないだろうって言われるくらいの盛り上がりでした。

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この権力と血、バイオレンスとSEXに国盗り物語!みたいな雰囲気は、めちゃなんというか「入りやすい」。日本の文化や伝統がよくわからなくても、「どこか遠い異世界の権力闘争にも空き込まれた航海士」という視点は、めちゃくちゃ燃えると思います。Netflixシリーズ『忍びの家』(House of Ninjas)で、Netflix週間グローバルTOP10(非英語シリーズ)で初めて1位を獲得したりしているし、なんとなく日本のコンテンツきているなって気がします。

🔳南欧グローバリゼーション時代のカソリックVSプロテスタントの海外覇権争いを軸に据えることで欧米人にわかりやすくしている

見ているときに感じたのは、なるほど、カソリックVSプロテスタントの海外派遣争いを軸に、国内の権力関係への影響を描く物語にしているのだなと感心。これ、アメリカやヨーロッパの歴史を知っている人なら、なるほどと唸る構図なので、いやはやいいところつている脚本。原作も、その視点からフィクションを構築しているのだろうなと思いました。見ているときに、『クアトロ・ラガッティ』を連想していました。

クアトロ・ラガッツィ 天正少年使節と世界帝国 (上)(下)巻セット (集英社文庫)


🔳日本人が米国のこのレベルの大作で主演とプロデューサーというのは凄い



真田広之さんのインタビュー。このレベルの扱い、英語力、いやはや素晴らしい。



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『騎士王の食卓』の2巻が発売ですね。

ゆづか正成さんの『騎士王の食卓』の2巻が発売ですね。紅花(カルタモ)修道院出身のレノくんの物語。実際は、たぶん美味しくないのだろうけど(笑)、中世の食事の解像度が上がってとても美味しそうに見えて楽しい。

この方のマンガは、『騎士譚は城壁の中に花ひらく』からとても好き。この人、中世の騎士や城などとても細かい描写が解像度が高くて、見ていて凄い楽しい。キャラクターも素敵だし、ブレイクしてほしいなぁ。絵の書き込みが素晴らしいので、大判で眺めながら読みたい作品。ある意味、こういう書き込み系の人は情報量型のマニアックになりすぎて、エンターテイメントになりきらないのですが、この人は、凄くバランスが良い。ぜひとも、3巻を超えて話が続いてほしい。

解像度が高い分だけ、「日常系」になるので、4コマ漫画と同じ「日常の小さい出来事の解像度を上げていく」話になると、物語って繰返しになるので、長く続きにくいんですよね。その中で、食事ににフォーカスするのは、日常系の常套手段なので、この辺りが深掘りされたら楽しいかも。レノくん、むしろ、男の子の設定にしている方が、『騎士譚は城壁の中に花ひらく』の女の子主人公よりも、色気があるというか可愛いのが面白い(笑)。

でも、やっぱりこの作者、ぜったいに「物語」をつむぎたい人だと思うんだよね。ロサ=スカーラエの物語にしても、やはり騎士を目指していく、騎士になる成長物語を描こうとしている。世界観や設定上の共通点も多いので、きっとシェアードワールドなのだろうから、レノくんの物語が人気が出て長く続けば、ロサの物語も重なってきそうな気がするので、期待しちゃうなぁ。


キャラクターも、世界観も、舞台の解像度もどれも素晴らしいし、「騎士になる物語が描きたい」という情熱も感じるし、あともう一歩、何かが欲しいんだよなぁ。いや、僕は、もうこれ十分なほど好きなんだけど。もっと、長く広く物語を描くには、もう一歩大衆ウケというか、人気がいる気がする。でもなー、書き込みも多くて情報量多いけど、わかりにくいわけでもないし、キャラクターもよいし、、、、うーん、あと何を入れればいいのかなぁ。ロサ=スカーラエの物語にしても、女の子が騎士を目指すという設定は、めちゃ狙っているというか、良い設定だったと思うんだよね。


僕の好み的なものを言えば、政治とか、このクエルクス(樫の城)が、全体の王国?のどこに位置して、何をしているのかの戦記モノ的なマクロの情報が、欲しいなぁという気がするけど。その辺の政治的位置づけがわからないと、レノくんが、最終的にどこを目指しているのかがわかりにくい気がする。ロサの物語も、同じような感じがしたもの。物語を長く続けるには、「なんの目的で動いているのかがクリアーだといい」んだけど、、、でも、この作者そういう設定は絶対作っていると思うんだよね。そこで手を抜く人とは思えないので。だから、テンポが遅いっのかなぁ。うーん、、、ちなみに、ペトロニウス的な評価では、既に星5なので、なんか改善点とか思いつかないんだよなぁ。この人の描く世界は、あたたかくて、美しいんだもの。

騎士王の食卓(1) (シリウスKC)

それにしても、クラウストラのスクワイア ロサ=スカーラエの物語は、続きが見たかった。。。

騎士譚は城壁の中に花ひらく 1 (ガルドコミックス)

バイデン大統領の一般教書演説(STATE OF UNION):Full Speech Version スーパーチューズデーのトランプ圧勝に対して、バラバラの民主党をまとめることはバイデンにしかできないこと示せるか?


🔳バイデン大統領一般教書演説2024年3月7日


この演説で見るべきポイントは?


3月5日のスーパーチューズデーは、想定した通りトランプ元大統領の圧勝しましたので、これを見越して、この日程でぶつけてきたんだと思います。


何をここですることが戦略上大事か?と言えば、それは、81歳(本日時点)で、健康上の不安があるかどうか?だと思うんです。


3月5日のスーパーチューズデーではっきりしたのは、トランプさんが共和党指名では圧勝する既定路線が、かっちり確定したこと。


そして、構造的にわかっていたことだが、民主党がバラバラになっていく内部分裂を繋ぎ止める存在は、結局のところバイデンさんしかいないということがはっきりしたこと。バイデンさんの次に出るべきは、本来ならハリス副大統領になるけど、なかなかそれが難しい。能力も、人気も、そこまでではない上に、彼女が出てくると、CA州知事のギャビン・ニューサムが出てくる可能性があり、彼とは犬猿の仲だ。そして、そういう対立をしていると、新世代の民主党左派のバーニーサンダースとその新世代のアレクサンドリア・オカシオ=コルテスが出てきて、民主党は分裂傾向が進んでしまう。この構造は、前回の選挙から全然変わっていない。


しかし、何よりも、怖いのは、もう81歳ってこと。


77歳のトランプさんだって、十分高齢なんだけど、たしかにバイデンさんの動きは、凄まじく老人老人してて、大丈夫か?凄い思う。この「感覚」をどこまで払拭できるか?。


今回のSTATE OF UNIONは、大成功だったと僕は思う。メディアの反応も同じ。67分の長丁場を、気合い入れて、エネルギー溢れて、力強いスピーチを繰り広げた。


少なくともこの時点では、はっきりと、民主党の中道路線を維持して、左派も右派もバランスを取れるのは、バイデン氏かいないってはっきり印象づけたと思う。



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ちなみに、これもちゃんとフルスピーチ全部聴きました。フルスピーチ聴いていると、おおっと唸る。


論点的には、ウクライナの支援を訴えることや「国民支持あれば 中絶の権利の保障 法制化を約束」などなど、文章にして読むと、いままであることの羅列だし、何も変わらない老害の政治家の既定路線送り返すに聞こえて、ちょっとうんざりすしてしまうと思うんですよね。同じことしても、何も変わらなかったというのが、有権者の実感だと思うのです(実際は、少しづつ漸進していると僕は思うけど)。文章で並べると、言い換えれば、要約して報道したのを聞いただけでは、ぜんぜんわからないと思う。


でも、これらの利害が絡む、さまざまな問題を包括してバランスよく対応できるのは、バイデンしかいない!(ハリスにも、ニューサムにも、サンダースにも、オカシオコルテスにもできない!)というのは、力強く伝わってきます。こればかりは、全ての論点の複雑さと利害調整の気の遠くなるような難しさをよくよく知っていることと、そして、それをズラーっと並べたときに、そのバランスを取れる民主党の指導者はバイデンしかいない!というのが力強く伝わります。これは、フルスピーチを聞かないと分からない感覚かもしれません。


そして、


「恨みや報復の物語を見ている人、私とは違う」「前大統領は言語道断で容認できない」「私たちは前例のない瞬間に直面している」


これらの問題意識が、対トランプに対しての、お前には負けない!というリベラルサイド、民主党支持者への結集を呼びかける言葉になっているのも、大事なことです。そして、それが感情に届いていると僕は思う。


今回のスーパーチューズデーで、バイデンVSトランプの一騎打ちになるのは確定路線です。今はトランプさんの選挙ターンなので、彼に報道が集中しますが、大勢は明らかな五分五分だと僕は思います。なぜならば、トランプ支持が高ければ高いほど、反トランプへのエネルギーも高まるからです。そして、そのエネルギーが、結集するに相応しいというのが、今回の一般教書演説で明確になったからです。


なかなかの力強いState of Unionでした。


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トランプさんの反応。



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