人の命を助ける職業とはどういうものか?

トッキュー!! (1) (講談社コミックス―SHONEN MAGAZINE COMICS (3375巻))トッキュー!! (1) (講談社コミックス―SHONEN MAGAZINE COMICS (3375巻))
小森 陽一 久保 ミツロウ

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第185話 胸の裡の闇

今週の『トッキュー』は背筋が寒くなる素晴らしいストーリー展開だった。ダムの話を見ていて、ああ、この作者は、20巻近くまでかかっているけれども、「人が人の命を救う極限の職業」というものにヒーロー性を求める時の危険性についてちゃんと行き着いたな、と思った。この系統の話の最大の山場は、実は「ここ」で、それがにとこの手の話はウソになってしまうと僕は思うのだ。

「これ」が見事に収縮して物語になった傑作は、天才曽田正人さんの『め組の大吾』だろう。あと、物凄くわかりやすく「これ」を分解して見せたのは、小川一水さんの小説『ファイナルシーカー』です。


ようはね、僕のテーマである動機論。


つまり「人が命をかけてまで人の命を救う」という動物の本能を超える行動をする「動機」はなんですか?という部分です。



これに明確な答えをださない物語は、下作だと思う。が、主人公が、「トッキューを辞めるべきだ!」と勧告されたのは、非常に正しいと思ういます。



このテーマ系統というか枝葉では、人が人を救うヒーローという側面と、それが職業であり組織である!という職業倫理と組織論理の葛藤を描けているか、というのもこういう物語類型にとってとても重要な部分だと、僕は思う。ここは面白いので、また継続して書きたいと思います。

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