TURN 22 『皇帝 ルルーシュ』〜速度と視聴の形態の問題

見ました。えっと、リアルタイムで書く記事は、完璧に感想であって分析ではないんで、僕の思い込み妄想なんですが、、、、にしても、さっぱり先が読めないです(笑)。いやーここまで読めないアニメは久しぶりなんで、それって凄いことだと思います。・・・幸せです。リアルタイムで、徹底的に追って行ったというのは、もしかすると『新世紀エヴァンゲリオン』のテレビ放映時以来かもしれません。・・・って、10年ぶりくらい??。他の人がどれくらい見ていてのめり込んでいるのかは全然わからないので、社会へのインパクトはわかりませんが、少なくとも僕の心の中では、比肩しうる体験です。



基本構造は、予測した通りですよね。1)ナショナリズム、2)インターナショナリズム、3)神殺しの3つの次元が構造としてあるだろうということ。そんで、先週TURN 21の感想で、オチへの予測としては、ルルーシュが世界の敵となって、世界の「今の在り方」への引導を渡すというシナリオ。今週は、基本的にこの構造をひっくり返すことはないので、いろいろええっ!てことがあっても、それほど書くことはありません。「世界の敵になったルルーシュ」というシナリオを超える展開がありうるのかどうか?というのが、マクロ的には気になるポイントです。


だから今週の感想ポイントは、ああ、、、ルルの皇帝の衣装が、ステキ・・・とか、そういうこと(笑)。白にあうよねーとか(笑)。制服系統の衣装って、、、うーむ、シビレル(←だいすき)。皇帝即位時のルルとスザクが、アシュフォード学園の詰襟ってのも、たまらなかったす。自分の息子には、絶対、詰襟を着せるとか誓ってしまいましたよ(笑)。


でもなんだろう?この毎回に「ついていけない感」って。いろんなところで言われるし、僕もそう思うんだけど、それはこの作品の「速度」がかなり速くて、1話見ないだけで、全く状況についていけなくなるんですよね。まぁにもかかわらず、ここまで作品世界を負わせる力量ってのも、凄いものだと思いますが・・・。それで、今日はちょっと頑張って、過去の数話を見直してみたんですよ、少し早送りでしたが。そうすると、、、あれ?ってぜんぜん違う感覚を受けるんですよね。余裕なくて、過去を見直していなかったんですが。見直すとかなり登場人物たちの気持ちが、よくわかる。


たぶんこの作品って、物語の展開を早めるために、かなり登場人物の動機の説明と、それの変遷が追えるような感情移入の演出を排除しているんと思うんですよ。いや排除という意識的かはわかりませんが、少なくとも、展開が早すぎて登場人物たちの内面が視聴者に未消化のままに話が展開する。「それも演出だ」と考えるのか、「展開の速度」をとったからそうならざるを得なかったのかはわかりません。だけど、既に動機やその後の展開がある程度読めている状態で、再度見直すと、ちゃんとその辺は考えられてつくっているんですね。・・・・これって、DVDが売れるだろうなーと思いました。つまりね、何回も見直す作品なんですよ。僕も確実に、この放送が終わったら、第一話から見直すと思うんですよ、終わり方さえよければ。


ふと思ったのは、僕は10年前に『新世紀エヴァンゲリオン』のテレビ版とかの最終的な感想として、視聴者が深く感情移入するよう演出は神がかっていたけれども、視聴者の内面にシンクロし過ぎたこと、またその内面の解体の演出のレベルを上げ過ぎたが故に、視聴者の内面が追いつけるスピードにするしかなくなってしまい、最終的には「物語の次元で物語を物語ることを放棄せざるを得なかった*1と。実は、この全く逆の演出をしているんですよね。『反逆のルルーシュ』は。「物語の次元で物語を語ることに固執したが故に、視聴者が安定して感情移入することを拒んでしまった」と。そういう意味では、やはりちゃんと僕の中では、まっ正面から、過去のエポックメイキングな作品を乗り越えようとする谷口監督の姿勢は、すげぇなって思います。いまどきオリジナル脚本のアニメで、この企画を通すことがどれほど難しかったかを考えると、、、、

でも、どちらにせよ、ただそれだけでは、ダメな作品になる可能性は高かったはずです。いってみれば、バランスが悪い演出をしているといっているわけですから。ただ、、、世界ってのは、なかなか凄いところで、明らかにバランスが悪いものでも、間違えたかもしれないようなやり方でも、そのレベルを水準を突き詰めて貫いて超えてしまうと、なんか凄味がでてしまうんですよね。



つまり言いたいことは、来週が楽しみですっこと。リアルタイムの喜びですねぇ。この無駄かもしれない妄想がたまらないんですよ。うー楽しい。

*1:*1:エヴァの最終評価は、あまりに人それぞれなので、これが正しいとは言いませんが、テレビシリーズの時にやはり究極感じたのは、「あの続きが見たかった!」なんですよ。素晴らしい演出ではあったと思いますし、時代にものすごくシンクロしていたと思うし、売上でも勝ったわけですし、でもやっぱり、物語を終わらせてほしかった。その結果、それが駄作に終わるかもしれないという危険性はありますがね。僕は文学よりも、エンターテイメント小説が好きなんです。ハードSFよりも、ライトノベルが癒されるんです。