『緑の国エコトピア―エコトピア国の出現』 アーネスト・カレンバック著

緑の国エコトピア―エコトピア国の出現〈上巻〉
緑の国エコトピア―エコトピア国の出現〈上巻〉

ふと、日本で大阪が独立する話とかおもしろいよねーと、えっと、たしかy2k000さんからゲーム教えてもらったんだっけ。それで、以下をちょっと思いだした。

この本の秀逸なところは、ただ単に『一人一人の心の問題』といった個人レベルに還元をしないで、生態系に危険を及ぼさないライフスタイルを全て実現するには、独立しなければならないという次元まで踏み込んでいる点です。僕はSFとして読みましたが、実際には極めて現実的なシュミレーションで、読んだ当時、背筋が寒くなりました。

 ここで維持されている政治体制は、リベラリズムを許さない祭政一致であるわけだし、エコを貫いた文化を維持・浸透させるというのは宗教共同体をいかに結束させるかという近代国家にとっては危険な領域まで踏み込んでいる点です。オウム真理教が、自分たちの協議・ライフスタイルを貫くために、最終的には国家転覆と自分らの教義による神政を望んだことと、全く同じことです。

この話は、アメリカの北西部における自治州(といっても事実上の独立国)を形成するまでにいたった、その後、を一般のアメリカ人ジャーナリストが取材をするという形式になっています。村上龍の『希望の国のエグソダス』や半村良の『2030年東北自治区』などと読み比べると面白いかもしれません。

もし、こういったある地域が独立するというような(特に日本が一番知りたいなー)本があったら、ぜひ紹介してください!。


群青の空を越えて 通常版
群青の空を越えて 通常版

希望の国のエクソダス (文春文庫)