2022年ペトロニウス的物語ランキング
ペトロニウスの2023年ランキング解説は、2時間35分あたりから始まります。
1位.UQ HOLDER! の連載終了
2位.トップガンマーベリック/ファーストスラムダンク(反面教師としてのアバダー2)
3位.すずめの戸締り
4位.同志少女よ敵を撃て/戦争は女の顔をしていない
5位.天幕のジャードゥーガル
6位.ニセモノの錬金術師
ニセモノの錬金術師 https://t.co/4tbk74Sr71 #コミックウォーカー
— 杉浦 次郎 (@sugiura_jirou) June 3, 2023
うめ丸先生作画でニセモノの錬金術師の商業版の第一話が掲載されました。とても素晴らしいものにして頂いているのでよろしくお願いします。
以下テーマごとの分類なので順位に差はありません。
新世界の過酷な現実世界に直面する
7.マブラヴオルタネイティブのアニメ化
タコピーの原罪/アデライトの花/ニセモノの錬金術師/ハコズメ/アンボックス/TS衛生さんの成り上がり/科学的に存在しうるクリーチャー娘の観察日誌/魔法少女プリティ☆ベル/ふかふかダンジョン攻略記〜俺の異世界転生冒険譚〜/天空の扉/織津江大志の異世界クリ娘サバイバル日誌
やり直しループものの類型=逃げないで立ち向かえ!
8.やり直し姫は夫と恋をしたい/東京卍リベンジャーズ/世界で一番速い春
やり直しループの類型には、2つある。一つは、現実逃避としての俺つぇぇ系。もう一つは、逃げないでその問題を解決するために何度も苦しんでやり直す系。これの原型は、マブラヴオルタとリゼロだと思うのですが、同じ人生やり直し系でありながら、求めている結果が全く違う。90ー00年代のエヴァンゲリオンのシンジくんが「逃げちゃダメだ」と言いながら、やばいブラックなところからは「逃げるべきだ!」という暗黙の感覚があったと思う。しかしながら、10年代くらいから、逃げるという行為が、最悪の結果に結びつくことが繰り返されるようになった。これは外部環境が、80-90年代くらいまでは、「逃げ出せる余裕がある」世界だったんだと思う。けれども、2000年代以降は、既に逃げた先でなんとかなる余裕は無くなっている。だから、その場で死ぬしか無いような過酷な現実に生きるようになって、針の穴を通すようなルートで問題を解決しなければ、生き残れない感覚から、ループを利用するようになる。『東京卍リベンジャーズ』でみても、何度も何度も繰り返す理由は、自分が「逃げた過去」に立ち向かうこと。
過酷な世界に行きながら、さらっとマクロを無視して、面識圏・親密圏を選ぶ
9.リコリス・リコイル(Lycoris Recoil)
かぐや様は告らせたいの連載終了/推しの子/異世界迷宮でハーレムを/花の井くんの恋の病
リコリス・リコイルが典型的なのだけれども、あっさり世界のマクロの問題を無視して、自分の大事な人を選ぶ。世界、社会の問題を解決するのではなく、大事な人を選ぶ。これは、新海誠監督が、天気の子で、高らかに宣言したものですよね。このあっさりと、マクロの問題を無視してしまえるのは、そんなことを解決できるほど余裕のある人生を生きていないからだと思う。2000年代に入ってからの世界の、無邪気に高度成長や経済発展を信じられない感覚は、先進国の経済成長の鈍化と、グローバリズムによる格差の拡大とリンクしていると思う。そういった中では、「選択肢というのが常に極小」なので、事実上選ぶということができない。しかしながら、選べない=その土地に、環境に縛り付けられる、、、血と土(ナショナリズム)なんだろうと思うけど、という感覚は、「その場に偶然居合わせた」という絆の重視に向かうことになる。これは明らかに、右派、右翼の台頭を感じさせる。
あ、あと、かぐや様は告らせたいが、素晴らしすぎて、これは別に物語三昧チャンネルの方で、解説するつもり。いやは赤坂アカさん、凄すぎる。
この時代のでもビルドゥングスロマンは消えない。
10.メダリスト
絢爛たるグランドセーヌ/アルテ/13歳の誕生日、皇后になりました/茉莉花官吏伝/せんせのお人形/金貨1枚で変わる冒険者生活。/かげきしょうじょ!/アオアシ/宇宙軍、冒険者になる
個人的には、アルテ、が素晴らしくて、素晴らしくて、、、、、もう感極まって待って読んでいる。メダリストが、途方もない傑作であることは、もう漫画読みなら、わかっていることでしょう。これらを全部合わせると、、、、あれ、上で言ったように、世界の困難から「逃げて?」サクッと、大事な人達との親密圏にこもるという傾向と、逃げないで、何度でも立ち向かい、成長目指して戦い続ける覚悟を持って事故を成長させていくという人間のあり方は、全く消えていないのがわかる。これが普遍的な人間の目指すべきもので、外部環境とのリンク・・・・・高度成長期のように、「結果が保証されている」ように見えるほど、確実に報酬が感じられる時代が終わっても、そんな、小賢しい「結果が保証されないと一歩踏み出せない」というような人々は、所詮、成長できない人々であって、話を聞く意味があまりなものだということが、世の中に行き渡ってきていると思う。なぜならば、人間が、成長したい、変わりたい、何者かになりたい!という衝動、情熱、覚悟は、そんなリターンがあるか頑張れるなどというくだらないことには左右されないからだ。成長を目指す人々は、結果が、リターンが期待されるから「それ」をするわけではない。彼ら彼女は、何もなくても、報われなくとも、それでも成長を目指すのだ。それが本物というやつであり、それに憧れる僕らは、いつの時代も現実をメインストリームで生きる人々なのだ。
食を通した日常の物語
12.北政所様のお化粧係〜戦国の世だって美容オタクは趣味に行きたいので
薬屋のひとりごと/焼いてる二人/琥珀の夢で酔いましょう/はるかリセット/北欧貴族と猛禽妻の雪国狩ぐらい/鍋に弾丸を受けながら/ダンビア先生のおいしい冒険/釣りご飯/幼女戦記食堂/空挺ドラゴンズ
上記の、面識圏、親密圏にサクッと人は回帰するというのは、要は仲間や共同体に回帰する話なんだと思う。しかし、その時に、その狭いミクロの面識圏で「生活をする」というのはどういうことか?と考えたときに、明らかに、食・・・・美味しいものを通して仲間と幸せな時間を得るという解決方法が、バラエティ豊かに追求されている。これは多分僕らの現実世界のでの「幸せ」という概念と深く結びついていて、同じことなんだろうと思う。目的も、意味もなくとも、美味しいものを、中の良い人と食べる時の口福というのは、人生の醍醐味の一つであるだろう。とりわけ、自然豊かで、食に恵まれている日本での、この圧倒的なオプションと広がりは、凄まじい。またこの「食」を通してというのの同じくで、薬や化粧、服飾などを通してのバリエーションも存在する。薬屋のひとりごとが、典型的なのだが、この化粧、食、薬、毒という生活を彩るものをベースに物語にするときに、後宮の探偵というミステリー形式にできることがわかっている。この類はフォーマットとして、既にたくさん展開している。
ポリコレのくさみを超えた日常生活世界とは?
13.女装してオフ会に参加してみた
瑠璃宝石/神作家紫式部のあり得ない日々/熊撃ちの女/カワイスギクライシス
女装してオフ会に参加してみた、が素晴らしいのだが、これはオフ会に集まったスイーツ好きの美女5人が、全員女装した男性だったという設定そのままに、実に幸せそうなスイーツ食べ歩きの女子会?ものなのであるが、ここには、同性愛や、性の乖離の問題等の悩みは、人生にある「人とは違う何か」の一つに過ぎなくて、既に生きるか死ぬかのような深刻なトラウマ問題には一切発展しない。普通に、主人公の女装男子と、もう一人の女装男子は恋愛を丁寧に育んでいる。もうそこには、あまり性別問題は、ちょっとした差異でしか存在しない当たり前さがある。これ!こういうのが見たかったんだよ!。って、時代は、ここまできたか!という驚きがある。瑠璃宝石は、多分めちゃめちゃマイナーなんじゃないかと思うのですが、僕の中では第二のゆるキャン△ぐらいの好き度合いです(笑)。
分裂を超えるには、まずはラブコメ見直してみようぜ!-デュアルカップル
14.姫騎士は蛮族の嫁
焼いてる二人/僕の奥さんはかわいい/ふたりソロキャンプ/とにかくカワイイ/ 部長と社畜の恋/可愛い上司を困らせたい/この会社に好きな人がいましす/結婚するって本当ですか?/100日後に結婚するふたり/和服な上司が愛おしい/あせとせっけん/昨夜はお楽しみでしたね/ラララ/バトルグラウンドワーカーズ
■昨年2021年の総合順位(参考)
1.『Turning Point: 9/11 and the War on Terror』
2.『その着せ替え人形は恋をする』
3.『【推しの子】』
4.『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』
5.『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』
6.『俺にはこの暗がりが心地よかった』
7.『ダンピアのおいしい冒険』
8.『天幕のジャードゥーガル』
9.『チ。―地球の運動について―』
10.『ルックバック』
2022年の恒例のAAA1年間まとめ配信を行います。ちなみに、サムネイルの背景画像の場所(とある物語の場所です)当てられる人がいたら、すごいと思います!。https://t.co/9h86zRahZZ pic.twitter.com/BtYzwmqJO8
— ペトロニウス (@Gaius_Petronius) December 28, 2022