歴史を掘り下げてみよう~メカニズムを理解しようとすればロシアの行動の理由がよくわかる(4)


コテンラジオが素晴らしかった。こういう時こそ「俯瞰して見れる特権」を行使すべきというのは、とても共感。

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やはりキエフ公国の歴史からさかのぼらないと、この話ははじまらない。くわしくは、ラジオを聴くか歴史の本を読んでほしいのだけれども、ようは、ウクライナが独立した国であるか、それともロシアの一部であるかは、その「起源がどこにあるか?」で歴史解釈が対立しているという問題です。


ペトロニウスの雑感では、これはアメリカに住むようになって、視野が広がったせいか、いつも思うのですが、日本でこんなにおかしなことが!とか日本独自の問題だと思っていたことが、ほぼすべての国に似たようなことは、たくさんあるんだということ。日本でも、歴史認識が隣国と異なることで、もめにもめていますが、世界中の国が、多かれ少なかれこういう問題をたくさん持っているんだと、驚きました。考えてみれば当たり前ですよね。


あと、さまざまなニュースソースを追ったりすればするほど、「歴史にさかのぼって」「膨大な量を自分の中でため込まないと」意見なんか容易に言えっこないってこと。前にも書いたけど、とても良い機会なので、さまざまな情報に触れて、自分なりの東欧観やNATOソ連ロシア帝国の歴史を自分の中に作り出したいなと思っています。


少なくとも、6時間以上のコテンラジオで「一通り」流れと状況を押さえて、初めて「スタート地点に立つ」感じですね。僕は、個々から今はソ連の歴史やロシアの南オセチアチェチェン、ナゴルノカラバフ、アゼルバイジャンアルメニアなどを、調べています。最低限、プーチン大統領の戦略や経緯を、それなりに追わないと、理解すらできないので。本を読む前に、このあたりの歴史を、俺の世界史chでとりあえず、全部見て専門用語や流れを押さえて、いま本に入っています。


あと、ロシアの南下政策を見ないとなって思って、下記の本を読みなおし。


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■ネイションステイツを作る過程

ちなみに、僕が注目している点は、


ウクライナナショナリズムによるネイションステイツ(国民国家)の形成が行われているのでは?


という点を注目して見ている仮の仮説。コテンラジオの指摘で、なるほどと思ったのは、ソ連ロシア帝国は、帝国を一つにまとめるのが原理をなかなか見いだせていないという負の遺産を抱え続けているということ。それに対して、ウクライナ自体も、極端な汚職国家で、かつ「親ロシアはVS親EU派」に分裂している緩衝国家なので、国内が「まとまるのが難しく」て、大国に付け込まれて滅びる、もしくは支配されるという構造と歴史を持っている。ようは、支配されやすい国なんだよね。これに対して、侵略すれば、激しい痛みと犠牲を要求されるという「ナショナリズムの狂気(=一つにまとまって、怒り狂う)」が成立している国には、非常に口が出しにくくなる。ウクライナは、今回の契機に、これが進んでいるんじゃないかな?と感じるんですよね。

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これは、日本に置き換えると、明治建国のころにを考えればいい。

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■逃げることと、国民国家を作ること

たとえばね、ナショナリズム民族自決において、重要なことは、


命を懸けて国を守ること


に尽きるんですよね。つまり、国の大義においては、個々人の命をよりも、大義(国家を守る)に価値がある形になる。ここで「ともに命を懸けた戦った人は、同胞」となるって、その命を懸けた同胞のことを、国民と呼ぶんですよね。19世紀から、このネイションステイツ(国民国家)の幻想を共有した兵士が、ムチャクチャ強いのは、既に常識中の常識。


また、こうした国家の有事------国民が命を捨てて戦わなければならないときには、重要なのは、一切の特権は関係ないってこと。だから、金持ちと貧乏人の、垣根が一気になくなる。もちろん、通常はあり得ない形で、金持ちのお金や特権が、命を懸けた叩く同胞に分配される------しないやつは、非国民として、叩かれる。だから、こういうのは許さないよね。

こういう背景のメカニズム------ウクライナナショナリズムの勃興と、ネイションステイツとして一体感が喚起されているときに、「逃げろ」なんていうのは、相当余計なお世話だと思う。

これを自分の国の歴史を顧みると、硫黄島などを連想するのは、まさにそうだよねって思います。戦略的に正しかったかどうかを超えて、ナショナリズムの幻想を貫かないと、侵略者や大国にいいように奴隷、属国扱いされるのは、歴史を見れば一目瞭然。なので、このあたりは、本当に、他人とか「当事者じゃない人々」が何か言うのは大きなお世話。


■3/25のゼレンスキー大統領の国会演説がどうなるか?~つまり日本の反応はどんなものか?

仮に今僕が立てている「ナショナリズムによるネイションステイツの成立」が進んでいる過程だとすれば-----というか、民族自決のこの概念を、世界中に反ロシアで呼びかける形になるはず。


これはこれで、とっても焚きつけるのがうまい、扇動者のゼレンスキーさんに対して、日本がどうふるまうか?。僕は、いろいろな人の反応を見ていて、ナイーブだなぁってすごく思います。ウクライナが侵略者と戦うから「正義の戦いなんだ!」みたいに吹き上がっている人は、それもまた脊髄反射なんだろうと思う。ただし、「それ」がこの場合、日本の国益、ナショナルインタレストと合致しているから、問題ないとは思うけど。ただ、なんというか最高の「現実を知るための問題」というか授業みたいなもん。歴史や現在の世界のパワーポリティクスの構造を分析しなければ、何言っているかわからなくて、、、、しかしながら、北方領土で領土紛争を抱える隣国といっても、今回は遠い東欧の出来後なので、「俯瞰的に物事を見れる特権」がある。にもかかわらず、西側、アメリカサイドの一員として、「日本として具体的にどう受け取るか?関わるか?」を考えなければならない。とても価値のある課題だと思う。

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■3/22時点での現状のペトロニウスの整理

・ロシアの歴史的な西側への恐怖、またNATOがロシアを包囲して刺激して追い詰めたのも事実

・ロシアの内在的論理から、今回の背景、メカニズムは非常に論理的で、何もおかしくない。プーチンが狂っているとか言いたいのは、まぅたくのミスリード

・西側の主権国家のコモンセンス(ウェストファリア体制) VS 帝国の論理は、常にぶつかりあるどちらかが正しいかは、一概には言えない。ロシアがプロパガンダで流す、コソボの「保護する責任」やイラクの件は、まったくロシアがやってきたことと同じという主張は、少なくともリーズナブル。ちなみに、RTはロシア放送。ロシア側の論理を知るには、これを聞いているととてもよくわかる。 

・西側(NATO)、米国が長期的マクロの「対話を全くせず」にロシアを追い詰めたことは事実

・しかしながら、メカニズム的にロシアが追い詰められた事実と、極端な侵略である「今回のやり方」がある敷居を超えているのも事実

・武力による国境線の変更は、力ある帝国は、さまざまな形で行うが、今回のウクライナ侵攻は、ロシアのこれまでのやり方としてはあまりに極端

・これだけクリアーな侵略であると、「国際世論」は、これを容認しきれない。たぶん、クリミアのケースが、ギリギリのラインだった。

・ただし、今回も、即決で事態を収拾できたら、各国は黙った可能性が高い。核を持った国の行動は止められない。

・しかしながら、ウクライナに時間を稼がれ、かつ情報戦で大義を失わせた状態では、ロシアとしては事実上落としどころを失って追い詰められた。


であれば、プーチン大統領の戦略としては、強い一貫性があって、メカニズム的にも凄い合理的。なので、今回のことはかなり必然、に思える。


しかしながら、これだけの「結果として国際世論の敵としてのロシア」というほぼ敗北に等しい追い詰められ方をしていることを考えると、何をプーチンは間違えたのか?。


いまのところのペトロニウスの仮説をかんげるのには、2つほど視点。これを見たいなと思っている。

ロシアの視点
1)なぜこれほどまでにロシア軍が弱かったのか?
(48時間以内の短期決戦でキーフを落とせればクリミア併合と同じ状況だったはず)。

ウクライナ側の視点
2)2014年のクリミア併合ではいいようにロシアに手玉に取られたウクライナが、なぜこのような国民国家意識の強い挙国一致体制をとれているのか?
世界最強レベルの呼び声高いロシア正規軍に対して、なぜ優勢を維持できているのか?
SNSなどの情報戦で、ロシアを圧倒しているのはなぜか?(2014年の時はボロ負けしたのに)

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2015/12/post-4307_1.php


こんなことを考えながら、ニュースを見ています。