『ドージンワークス』5巻 ヒロユキ著 ちゃんとオチをつけたろころに感心

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ヒロユキ

芳文社 2008-03-27
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評価:★★★☆3つ半
(僕的主観:★★★☆3つ半)

□成長の物語として全体のドラマツゥルギーを事前に設計したのだろうか?

最終巻。こういっては悪いが、ぜんぜん期待していなかった。4コマ漫画という形式*1は、終わらない日常を描くのにとても適した構造なので、この作品もノリと雰囲気だけの一発屋で、ただ「たんたん」と、同人の世界で戯れる主人公たちの日常を、ギャグ漫画としてダラダラと飽きられるまで続いていく、という風に終わるものだと思っていた。

けど、ちゃんとオチをつけた、ということに読了後感心した。そして、このエンドから逆算すると、たぶん作者のヒロユキ氏は、この5巻分くらいを設計して、最初の最初から構想していたんじゃないかな?と感じる。だとすると、なかなかの野心家だ。偶然ではなく、設計して作った、となると作家の力量のレベルがぜんぜん違うレベルだからだ。

これらはゆうきまさみさんの『究極超人あ〜る』や木尾士目さんの『げんしけん』などのような、系統の作品世界になると思っていた。もちろん、これらの傑作は、傑作ゆえにその構造上の矛盾をいくらか微妙にチューニングしているが、それでもこのドラマトゥルギーが、『楽しい日常と仲間たち』という青春をノスタルジー味付けにすることが作品のコアになる。そこで、同人作家、という世界を舞台にすると、全く同じ構造を考えてしまうじゃないですか。同人作家というのは、いってみれば究極のアマチュア作家であって、そこに成長の必要性はない。なぜならば、「楽しいから」やっているという一点の動機に支えられた世界だから。必ずしも上手くなることやプロになることなんかは、目的とされていない世界だと思う。それは、「好き」とか「楽しい」をベースの活動だからだ。

そこで金鉱を掘り当てた・・・というか、ヒットしたわけだから、掘り下げていくとどちらかというと成長というような字句はあまり考えないと思うのに、5巻でこういうオチをつけるということは、この「いまその時しかない楽しさ」を表現するのに対置としてちゃんと成長をいれていたんだな、と感心する。

こういう自覚的な作家は、伸びるよ。今後にも期待です。



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