サリアの娘―グイン・サーガ(20)
栗本 薫
早川書房 1985-02
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先日、海燕オフで、生海燕さんに遭遇。ブログをはじめた数年前から、ほぼ毎日見ているSomethingOrangeの海燕さんと会えるなんって!と、緊張して参加させていただきました。短い(いや長いか?(笑))中にも、いろいろの話題が飛び交いましたが、ものすごく熱く語った記憶に残る話題は、なんといっても一つ。
と何度も繰り返す海燕さんのつぶやきに、シンクロしたようにうなづきましたねぇ。周りは全くつてこれずひいていた印象がありますが(笑)、かんでさんと、海燕さんと、僕は至福の時間を過ごしました。マラソンのランナーズハイの話を、かんでさんがし始めた瞬間、「それって、リンダのあの世界と一体化するシーンでしょう!」とつっこんで、それが「そう、それ!」とダイレクトネスに共感が得られる、あの異様な盛り上がり。少なくとも、グインサーガ、100巻分ぐらいは、相当読み込んでいないと(笑)、ああいう反応は出てこない。しかも、あのグインサーガの物語世界が、物語としてだけでなく、「そこに在る」という実感をもっている人と話すのは、なんだか胸にツンとくる経験です。僕も同じく、20年以上グインサーガを愛し続けてしていますが、こんなにハイレベルで世界を共有してしゃべれたのは、生まれて初めてかもしれない。この世界にあるドラマツゥルギーの全てをぶちこんだようなモノの全体像をちゃんと理解しつつ話せるって、新鮮な体験でした。
神の手―グイン・サーガ(35)
栗本 薫
早川書房 1991-04
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■いつまでも終わらない物語〜そこに「在る」世界への信仰告白
栗本薫さんが、ガンにかかって、もしかしたら、、、、この物語は途中で終わってしまうかもしれないと知った時の衝撃を話していたときに、海燕さんのセリフ。ああ、、、まさに言い当ててくれた、、、と。そのフレーズの絶妙さに感心しました。いまだ発売で10万部近く出版されるのだから、こういう思いを抱いている人は、とてもたくさんいるはずなのに、、、僕はこれまでで会ったことが人生でなかった・・・。
「そうですよ、、、僕たちは子供の頃、神様とそういう契約をしたはずなんです!」(ペトロニウス)
わけのわからない同意を激しく(笑)。でもまさにそんな感じなんですよね、、、栗本薫さんがグインサーガを始めたころのエッセイで、「終わらない物語が読みたかった・・・だから、自分が書く、と構想100巻で始めたんです」、と書いていましたが、そんなぶちあげても、数巻で終わるのが関の山だったのですが業界的に、、、それが、僕は、小学生の時に仙台の親戚の家に行く時に読んだ3巻目の最初のページを開いた時に、
あっ、これは、このひと100巻を本気で目指している・・・・
と、衝撃を受けて感動したのを覚えている。そして、読み込んでいくこと幾星霜。小学生のころから読み込んで、、、既に登場人物は3000人を超えるが、そのほとんどを簡単に区別がつくことができるし、主人公が出てこない期間が何年も続いても(笑)、何があろうとも、「そこにその世界がある」という実感だけは消えなかった。実に、約2か月に一冊のペースで出版され続けて、30年近くです(苦笑)。それを多感な、小学〜中学生から、その最盛期の40巻ぐらいまでの時間を読み込んで、、、僕も一体何回読みなおし方かわからないほど読み返しているのですが・・・それで、まるで「硬い地平の大地」のように、それが永遠に続くものと思い込んで何がおかしいだろう。海燕さんも、かんでさんも、僕も、ほぼ小学生〜中学1年ぐらいに読み始めているのだが、年代的にも似通っているので、それでほぼ同じ読書体験の感覚が出来上がったのでしょうね。
ノスフェラスの戦い―グイン・サーガ(3)
栗本 薫
早川書房 1980-03
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ちなみに、ここで整理された、グインサーガへの稚拙な批判は、それが「そこに在る」ということと、「エンターテイメントとしての面白さ」が混同されているという議論は、非常に面白くて、自分でいっていながら、なるほど、と思ってしまった。これは別途細かく書きます。たぶん、「そこに在る」、いいかえれば、世界の写し絵として再現してしまうこと、巫女的に電波が受信するように「異なる次元の世界」を写し取ってしまうという小説世界の構築方法をとる人だからこそ、海燕さんの指摘するような、ほとんど意味不明の文体なのに、まるでそこにそれがあるかのように美しい文章になるような、文章の美しさ、日本語の美しさにつながっていくのでしょうね。
十六歳の肖像―グイン・サーガ外伝(7)
栗本 薫
早川書房 1986-12
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それと、、、、やっぱり海燕さんはわかっているなーと感心したのは、『一六歳の肖像』や『マグノリアの海賊たち』たちで、青春の絶頂を極めている若き日の主人公たち、、、たとえば、イシュトバーンのあの迸る様な「王になる!」という輝きが、王になるためにどんどん地を手に染めて精神が狂っていく様を見てゆき、処女姫・巫女姫リンダとして高貴だった姿がただの女になりさがってゆき、ただ一人の愛した少女を地獄に貶めるようなことをしても手も出せないグインの人間としての未完成さ、、、そういった、世界は「永遠に続いてゆき」、、、そしてその中で「人もまた確実に変わっていく」それが描かれているからこそ、この物語は素晴らしいのだ、と海燕さんがおっしゃっていたこと。それが、本当に理解が共有されているなーと思って感動しました。そして、それは、もちろん良くもなれば、悪くもなり、万物は流転していく。決して、物語のドラマツゥルギー的に、救いが容易には描かれたい。だって、今回救われたとしても10年後には分からないし、逆に今回救われなくても20年後には分からない・・・・そう、人間の人生はすべてが万事塞翁が馬なのだ・・・。その世界の「在り方そのもの」を悠久の時間を、リフラクティヴに反射的に描くことができたからこそ、この物語は、グインサーガは、「自分が知っているもう一つの世界」として厳然として「そこに在る」までに占めるようになったんだろうと思う。
マグノリアの海賊―グイン・サーガ外伝(9)
栗本 薫
早川書房 1990-12
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とりあえず、海燕さん、お疲れさまでした。来月くらいまでには、ネトラジやりましょーねー。