『風光る』 渡辺多恵子著 幕末を、誰かが悪いと思いこまずに、追求していくと・・・・

風光る (1) (別コミフラワーコミックス)

LDさんから『風雲児たち』の続巻を読むのならば、これも、と勧められる。曰く、「プロの仕事って進めていくと、凄みに到達するんですよ・・・・」的なことで、「ただ単に、こいつが悪い、、、と決めつけないで、みんなそれぞれが本気に生きていたとしたら・・・・という物語を追求していくこと」で、『風雲児たち』と同じ次元に話が、到達していると思うんですよ・・・・とのこと。確かに、この作者なら単純に、「こいつが悪かった」というような勧善懲悪は書けないだろうなーとは思う。これって、『幕末純情伝』のような話と同じで、新撰組に、親の敵に復讐しようと男だと偽って入っていたった女の子の話なんですよね。しかも、すげー普通の子。


「その子の視点」で、しかも、沖田総司に惚れちゃうという話なんで、幕末でどちらかというて志士の側からいえば敵側である新撰組の視点で、しかも、その内部分裂の激しかった部隊の中で、「誰も本気に生きただけで、悪はいなかった」という視点になると、凄く難しいものにならざるを得ないですよね。ふむ、、、そういう視点で読むと、凄く興味深い。読もう読もうと思っていたんだが、機会を得た。


ちなみに、『風雲児たち』の幕末篇の12巻で、ついに、薩摩の篤姫が登場するんだよね・・・・。うーん、世界はつながっている。ちなみに、僕自身のやっぱり幕末や江戸時代に対するリテラシーが物凄く上がっているんだなーと感じる今日この頃。新撰組の話はだいたい知っているんだが、同時期の江戸や日本や世界の流れが頭にワンセットとして入っている状況で読むと、「まるで違う物語にように読み込める」。風雲児たち』読了以後と以前では、世界がまるで違ってみえる。日本がまるで違って見える。そして、この作者が、そういった時代考証を練りに練って考え抜いているのも、よくわかる。うーむ、やはり、結局は「見る側の視点」のレベルが高くなければ、、、教養がなければ、とても狭い世界で物事を見て解釈して、知ったかぶりになってしまうんだなーと思う。教養なんかなくても、楽しく観れるのがエンターテイメントだとは思うが、あればあったほうが、何百倍も楽しいんだよね。とりわけ、歴史小説や歴史を題材にしている場合は、そういった時代のを横軸で眺める視点や情報を持っているかどうかで、もう全然違うもの。

風雲児たち 幕末編 12 (12) (SPコミックス)

そういえば、渡辺さんといえば、AAOの『はじめちゃんが一番!』だなー。大好きで、何度も何度も繰り返して読んだ。まったく少女マンガにあるまじき、へんな主人公の女の子で、、、、でも、なんか、凄く一本芯が通っていて、いい子だったよなぁ・・・。ああいう子と結婚すると幸せになるだろうなーと思ったのをよく覚えている。この話はいいですよー。胸が、温かくなること、間違いない。傑作です。

はじめちゃんが一番! (1) (別コミフラワーコミックス)