鎌倉の街を歩きたくなる

海街diary 2 (2) (フラワーコミックス)
海街diary 2 (2) (フラワーコミックス)

もう、ほんと吉田秋生さんは、大好きです。

胸に染みいる。しかも、上手いなぁマンガが。名作『ラヴァーズ・キス』時系列的につながる作品なので、あれが好きな人にはたまらないでしょう。しかも登場人物か、微妙にかぶっているところが、たまらない。独立した単体の作品としても、というか、まさに独立している作品なんですが、どちらを先に読むにせよ、「あれがこうつながっているのか・・・」と物凄く感慨深い気持ちになると思いますよ。はっきりいって、何があるってわけもない、現実を描くものなのに、なんでこんなにひかれるのかなぁ。決して、この人の作品には、幻想が、ノスタルジイが、あるわけでもない。なのに、なぜなんだろう。吉田秋生の魅力の本質って、たぶん「そこ」にあると思うのだが、まだ言葉になりません。内面描写が深く、人の生きる哀歓の闇の部分を抉るスタイルなんだけれども、いわゆる自意識の甘さの告発にも見えないし、なんか不思議な許しを感じるんだよなぁ。まるで、古き良き日本の文学作品を読んでいるような不思議な感じ。

ラヴァーズ・キス (1) (別コミフラワーコミックス)ラヴァーズ・キス (1) (別コミフラワーコミックス)
吉田 秋生

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海街diary 1 蝉時雨のやむ頃海街diary 1 蝉時雨のやむ頃
吉田 秋生

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僕は一時期神奈川に住んでいましたが、鎌倉とかあの辺を歩いたりドライブするのが好きでした。妻は、覚えていないかもしれないけど(苦笑)、一緒にデートして散策したの、あの時の美しさがいまだに忘れられない。こういうキラキラした記憶があると、さらに入れますね。本当にきれいな街です。

物事を見る時には、「記憶のフィルター」ってものがあって、同じものを見ていても、様々なアーカイブ(何らかのそれに関連付けられる情報の解釈力)とか、五感を刺激する体感された記憶とか、そういったものを、人間は同時に現実を見る時に見ています。だから、善き(時に悪き)思い出や体験、それに様々な香りや匂いとともに、そういったものを喚起させてくれるものに出会うと、胸がぐっときますよね。体験が、思い出が多いほど、同じものが引き出せる感動や情動は、広く、深く、豊穣なものになっていきます。みなさん、人生を、豊かに生きましょうね。豊かに生きた分だけ、読書も、豊かになると僕は思うんですよ。もちろん、同時に人生自体もね。

すずちゃんの鎌倉さんぽ―海街diary (フラワーコミックススペシャル)
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