『グエムル-漢江の怪物-』 ポン・ジュノ監督 ソン・ガンボ主演 怪獣映画はいつも反米を基礎構造に持つ?

グエムル-漢江の怪物-(スマイルBEST) [DVD]

評価:★★★★☆4つ半
(僕的主観:★★★★4つ)

傑作『殺人の追憶』のポン・ジュノ監督が撮ったものだというのはつい最近気づいた。が、『グエムル〜漢江の怪物(2006年韓国)』は、ずっと見たいと思っていたので、やっと見れた。ノラネコさんにイ・チャンドン監督を薦められて以来韓国映画を連続で見ている。これも噂にたがわず、超面白いエンターテイメントであった。


それにしても監督は凄い才能だと思う。実在の連続殺人犯をモチーフに、激動の韓国現代の「空気の重い質感」を描き切った作品の次に、エンターテイメント意識あふれる怪獣映画のつくるっているんだから。そして、それは見事に成功している。

監督第二作にして、「殺人の追憶」という殿堂級の傑作を物にしたポン・ジュノが、何と「怪獣映画」をやると聞いて以来、観たくてたまらなかった作品だが、今日観て確信した。


ポン・ジュノは、韓国は勿論、現在世界の映画界において、最高の才能の一人である。


この人の映画に「娯楽だから」「社会派だから」というエクスキューズは無い。


時代性のある骨太のプロット、様々な比喩表現を駆使した高い芸術性を持ちながら、完璧に面白い。


ノラネコの呑んで観るシネマ
http://noraneko22.blog29.fc2.com/blog-entry-85.html


ノラネコさんのこの指摘はまさにと思う。こういう作家というのは素晴らしいと思う。高い芸術性とエンターテイメント性の同居。そして、「エンタメだから」とか「芸術志向だから」とかいう言い訳もない。ただひたすら、映画として、物語として、素晴らしい。小さいところでは、いろいろ突っ込みたい整合性はあるが、面白さとスピード感が、その問題点を覆い隠していて、僕は良くできていると思います。怪獣映画は、特異な存在を社会に投げ込むことによって、その社会のゆがみを強調したりカリカチャアライズしたりするものなので、ちょっと大げさである方がいいと僕は思います。


まぁこの映画については、中身云々の読解よりも、やはり見ることによるカタルシスが重要だと思うので、あまりウンチクをしゃべっても仕方がないと思うので、ぜひ見てほしいです。そして、この映画は『WXIII 機動警察パトレイバー』をパクったという話が出た映画なので、ぜひぜひこれをも合わせて見比べてみると面白いと思います。そして、怪獣映画といえば、もちろん日本のゴジラですが、この最初期の作品も同時に見比べると、凄く面白いと思います。どれも、核兵器や化学物質によって突然変異で生まれた怪物という設定で、日本(東京)や韓国(ソウル)を舞台に物語が進むと、必然的に北東アジアの事実上の支配者である米軍が出てくることになり、、、、という反米映画の構造を持ってしまう、というのも凄く興味深いです。ぜひ見比べをトライしてみると面白いですよ。さらにいうと、パトレイバーは、僕はゆうきまさみさんの漫画版の同じ脚本の方が好きなんで、そっちも見るとさらに面白いかもです。



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