新しい形での左翼の勃興が見られるが、本質的な問題点である理想を見て現実を見ない部分は変わらない。現実的な左翼の旗手は現れるのだろうか?

これは世界的な傾向だが、アメリカの若い世代でとくに顕著だ。1980年以降に生まれたアメリカ人で、民主主義国家に暮らすことが大切と答えた人の割合は30%に満たない。1970年以降に生まれたアメリカ人では、民主主義を「悪い」あるいは「非常に悪い」とした人が5人に1人を超える。1950年から1970年の間に生まれた人と比較してほぼ2倍の割合だ。

 筆者は数十年にわたり、民主主義と民主主義政治を研究してきた。その間ほぼずっと、民主主義に対する失望が広がっていくのを見守ってきた。筆者のような人間は、バラク・オバマを大統領に選出した2008年に若者が大挙して投票所に足を運んだのを目にしてホッと胸をなでおろしたものだ。若い世代が政治制度に参加しているのを見るのは嬉しいことだった。

サンダースを熱狂的に支持する若者たちは、民主主義を信じていない
Young Voters Embrace Sanders, but not Democracy
アメリカの若者は、政治からも民主主義からも締め出されたと感じている
2016年2月9日(火)18時32分
クリストファー・ビーム(ペンシルバニア州立大学マコートニー民主主義研究所専務理事)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/02/post-4498.php

バーニーズさんとトランプさんへの支持の姿が見えてきた気がします。これって、かなり純粋な形での左翼のエネルギーの盛り上がりなんだろうなと思うのです。特に、バーニースさん支持は、それが顕著。そして、たぶん現実路線で考えれば、どうしても左翼と右翼の極の中間である中道路線ならざるを得ず、そして両方のコアな支持者たちからの失望を生み出す。これって、たぶん全世界的な傾向にある最先端の現象なので、今後どう展開していくのかが、興味深いです。


ヒラリー応援団には、LGBTレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)活動家、人権理事会(HRC)、家族計画連盟(Planned Parenthood Federation)といった支援団体のメンバーが目立ち、まとまった感じだった。

 一方のサンダース応援団は若者が多いが、60〜70歳くらいの年配の人が結構混じっている。彼らも、かつてはジャック・ケルアックの本をベルボトムジーンズのお尻のポケットにつっこみ、ウッドストック反戦運動に出かけた若者たちなのだろう。

 大学の学費を無料にするためには、巨額な資金が必要だ。医療費もそうだ。「ではその資金はどこから持ってくるのか?」という人々の疑問に対して、サンダース陣営からは「ウォール街から」という答えが戻ってくる。

 シンプルな回答にサンダース支持者は満足しているようだが、少しでも現実的になれば、それが不可能なことは明らかだ。彼らが望むとおりウォール街を解体して搾取しても、経済の混乱を引き起こすだけで国民全員に無料で大学教育と医療を与えることはできない。サンダースが成功例として挙げる北欧諸国は租税や消費税が高いが、彼らはアメリカの税金が上がるのは断固として反対のようだ。トップ1%の金持ちが下方99%のコストを払えばいいと信じている。

 サンダース信奉者たちは、「タダ」を実現するコストについては考えない。


サンダース旋風の裏にある異様なヒラリー・バッシング
実現困難なサンダースの公約に共感してヒラリーを敵視する「バーニー・ブラザーズ」とは
2016年2月17日(水)15時30分
渡辺由佳里(エッセイスト)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/02/post-4539_1.php

なるほど。非常に純粋な左翼の発想ですよね。支持者の雰囲気も、まさにですね。世界的に左翼の復活が見られる国際的な流れに凄く沿っている気がしますね。日本では、これがなぜ政治勢力として現れないのかが、すごく不思議ですが。。。。アメリカ国民が、こうした純粋な左翼的な理想に対してどういう答えを出すかは非常に興味深いです。