『プリンセスラバー』(2009 JAPAN) 原作 Ricotta 監督 金澤洪充 典型的な初期ハーレムメイカーの作品

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客観評価:★★★3つ
(僕的主観:★★2つ)

うーん、酷かった(笑)。有名な作品なんで、それなりのものを期待していたんですが…。とりあえずハーレムもので見ていないものを見てみようとかんばってみましたが、しんどかった。アダルトゲーム版(そちらがメイン)をしていないので、全体の評価は難しいですが、このテレビアニメ版だけを見る限りは、しんどかった。ただ、2009年とかなり昔の作品であること、そうはいってもシナリオが総崩れをしているわけではなく安定していたことを考えると、当時ではそれほどを悪くはない平均値の作品であったのかもしれません。


あらすじは、主人公の両親が事故にあい、実は主人公が大財閥の血を引くことがわかり、社交界にデヴューしセレブが集まる私立学園に入学するという設定です。そこで、シャルロット=ヘイゼルリンク、シルヴィア=ファン・ホッセン、鳳条院 聖華などなどの王女様、貴族、大金持ちの女の子たちに、最初から、凄い好かれていて、ちやほやされる。ようは、そういった女の子たちとイチャイチャするというのが物語の面白さのコアの部分。


気力がなくて他のゲームなどがどういう内容になっているのかは、全く知らないのだけれども、アニメ版を見て、非常に疑問に思った点があった。それは、主軸のドラマトゥルギーが、凄いおざなりであること。彼の父親と母親は、事故に見せかけて殺されており、それへの復讐が彼を動かしている構造になっている。ちゃんと構造はあるんだが、いちいち、この主軸の部分と、主人公の行動や心理がちゃんと一致していなくて、かといって完全にずれているというわけでもなくて、見ていて、不可思議な気がした。もしかしたら、ゲーム版とシナリオや設定を変えていて、そのちぐはぐが出ているのかもしれないと感じました。でも逆にいうと、ちぐはぐなんですが、ちぐはぐな中で、最低限の物語世界のリアリティを守ろうと四苦八苦しているのが感じて、仕事しようと頑張っているなーという気がしました。崩壊しないんだもの。


それにしてもハーレム系の典型的な構造なんですが、シャルロット=ヘイゼルリンクがヒロインだと思うのですが、もちろん最初に主人公が命?を助けたという設定があるのですが、いくらなんでも最初からデレすぎというか、好意を持ちすぎていて、僕は全然面白くなかった。障壁が何もない。だいたい、普通の道路を馬車で走っているとかどいうこと?、これはギャグなのか?とずっと真剣に悩みましたよ。王族王族いうわりに、馬車で一般道、しかも山奥を走っていて、護衛がないというのも意味不明だよ(笑)。主人公を好きになる動機を与えるため「だけ」の設定が丸見えになってしまう。


ほかのヒロインたちに関してもそう。この物語の本質が、素晴らしい女の子たちに「ちやほやされたい!」だけなのが、如実にわかるんですよ。それ以外の「そこに至るプロセス」とか、女の子たちの実存や、もちろん主人公自体の生きる目的とかそういったものが、あきらかに枝葉末節なんですよね。あーこれハーレムメーカーの初期の作品だ、と凄い思います。


ルイさんが「僕らはそんなに弱くないよ!」と叫んでいた当時の問題点で、主人公視点(=読者の感情移入ポイント)に、苦しい壁や乗り越えるべき困難などが全然なく、ひたすら漂白されている。途中からわかったのですが、これらのハーレムメイカーの初期の出発点は、すべての女の子が自分を好きでチヤホヤしてくれて、苦しいことが「一つもない!(←これ重要)」状態が、ずっと続くことです。これらの苦しいことが一つもないという、受け手の要求が、この後の「女の子しかいない日常系(=男性視点の排除)」へと展開することになる出発点ですね。これらの話はずっと書いているので省略しますが、基本的にすべてのヒロインが主人公に好意を向けているので、ミクロの人間関係での物語が発動しない。だから、なんだか風景を、外から見ているような気分になってしまう。すくなくとも、僕は主人公に感情移入できなかった。その代り感情移入しない代わりに、非常に安定して、女の子たちや周りからチヤホヤされる気分を愛でることができるので、まぁ、これはこれの楽しみ方なんだよなーと思いました。



これは、本来はゲーム版をやってその展開を評価したいところですが・・・・アニメが限界だなぁ。ゲームをする時間は、さすがにないや、、、。


プリンセスラバー!  初回版