『IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』  錦織敦史監督  みんな仲良しと目的に向かうことの矛盾をどう昇華するかは日本的な物語類型の分岐点

THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ! (完全生産限定版) [DVD]

客観評価:★★★☆3つ半
(僕的主観:★★★☆3つ半)


基本的にアイマス好きなんで、タスタイさんに薦められてから3年ぐらいたってしまったけど、やっと見れました。いやーブルーレイの再生装置壊れてて、見る機会を逸していたんだよね。やっとみれてよかった。


んで、アイマス面白かった、やっぱり千早かわいいなーとか、そういうどうしよーもないことは除いて、アニメで描いたものと全く同じ構造だったな、と思いました。というか、群像劇になっているけれども、やはり、天海春香の物語。彼女が問いかける問題意識は、僕がいつも話す日本的部活モノの問題意識と全く同じ。「仲間との日常(=変わらないこと)」をとるのか「孤独だけど自分が勝ち抜いていくこと(=変わっていくこと)」というもののバランスをどうとるか?ということ。政治哲学でいうと、極端に言うと、リバタリアニズムの徹底的な個を重視する視点と、全体を大事にするコミュニタリニズムの仲間の絆の視点ですねー。まぁそこまで言いすぎか(笑)


これほんとは成り立たないものだと思うんですよね。だって、アイドルは、個人であって、集団じゃないから。。。。といいたいところが、日本には、モー娘。にはじまって、AKB48など、この伝統もめちゃくちゃ根づいている。ここで確実に問われるのは、仲間の絆や看板(全員が掲げるブランドの維持)と、個人の勝ち残りと確立・自立をどう止揚するか、ということが、強い葛藤となって表れる。


このテーマを一身にアイマスで集めているのが、天海春香。彼女は見ていても、なんの尖ったこともない普通の人として描かれていて、何が彼女をアイドルというか、人よりも視線を集めるスタートととして成り立たせているかは、僕にはさっぱりわからないんですが・・・・・でもね、この矛盾する葛藤を一身に、これだけのギリギリの最前線のなかで持ち続けるというのは、ある意味、物凄いことで、そういう意味では彼女が二大巨頭であるというのは、なるほどなーといつも思います。映画でもアニメでもそうだけど、こんな無駄な手間をかける必要がないし、プロとして、そんな甘ったれたことが通じることはあり得ないんですが、、、、それを、このようなドラマトゥルギーまで強烈に持ってくるところに彼女の存在の意義があるんでしょうねぇ。


というか、このテーマはいつも思うんですが、物凄い日本的ですよね。個を選ぶのか全体(集団)を選ぶのかという同調圧力が極端に極まる。キーワードは、


「みんな仲良く」


ですね。これ、悪い方向に触れると、みんなでダメになる(=あずにゃん問題(笑)ですね)や、同調圧力といじめの地獄になるんですが、、、、うまく回ると日本的な絆の物語になって、とってもあったかくて、かつ実力が全体的に上昇するという最良の物語にもなる。どっちにふれるかは運なんで、凄い怖い賭けですが、日本人は、こういうのが好きだし、特に、日本人の女性、特に少女には、強烈につてまわる思考ですね。だから、アイドルという日本的な産業の中で、普遍的テーマとして、ありつづける。日本の学校もすべてこのスタイルですよね。全体のレベルを同一に保って絆を大医にしようとする物凄く強い原理が働く。ああ、本当に日本的だなーと思いました。そして、たぶん、日本的が極まっているが故に、一つの普遍の気がする。


アイドルマスター 1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]