ミクロの世界の会話だけで読み手に充溢した快楽を感じさせる良作!

傷物語 (講談社BOX)傷物語 (講談社BOX)
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評価:★★★★4つ
(僕的主観:★★★★★5つ) 傑作!!


読了。うわーすばらしい、、、、。まず断っておくが、僕の客観評には、「マクロの視点が描けていること」などの項目があるために、4つになっているが、僕が主観としてこの小説のスキスキ度合は、天を突くほどだ。すばらしい。それにしても、読了してみて・・・・これで暦と翼が恋人にならないなんて、本当に信じられない気がする。上市された順番が、傷物語が後であったということがなければ、LDさんではないが、伏線の魔力とでもいおうか、つまさと結ばれなかったというのはあり得ないだろうってくらいの、運命っぷり。なんか、かわいそーすぎて、涙も枯れる。僕は化物語を先に読んでいるので、ひたぎを選ぶのは感情的にわからないでもないが、、、それも順番によっては簡単にひっくり返ったろう。これを読んでみると、下巻の翼が、精神的に参っちゃうのは、よくよくわかるよ。ここまで関係性が完璧に成立していて、、、、、それで運命の恋人でないなんてありえなーだろう!って僕も思うよ。

ちなみに、前に化物語の書評で、この次は、暦が「ああなった」動機を、描かれないといけない、、、という教科書的な発言をしたのですが、すみません、それ完璧に間違っていました。この巻でも、暦の動機は描かれません。「自分を平気で捨て去って他者を優先してしまう」という壊れた動機の根源を見たかった…というのはマクロ的にいえば整合性がいるので、当たり前の視点何のですが、、、はっきりいって、そんなもん全然なかったんですが、全く関係ないね!ってぐらい、おもしろかった。これって、たぶん、この人がマクロで小説を描きていないからなんだろう。徹底的に主観の視点で、会話をベースに物語世界を描いているので、主観レベルのでの臨場感を読み手が感じるので、マクロ的に一歩引いて世界の整合性を説明するところにおもしろささがないのだと思う。つまり主観世界だけの充溢さで、僕のようなマクロ狂いの人間に、はまらせてしまうのだから、これは物凄い傑作だと僕は思うよ。マクロが皆無故に、大きく評価されない本当に趣味の小説だとは思うけれども。でも、これこそが物語の快楽、と僕は思う。