批評:小説(Japan)

『彼女が生きてる世界線!』 2022 中田永一 典型的なゲームの世界の中に転生する類型なのだけれども、小説が上手いなぁ。

もしかして、乙一さん(中田永一)さんの本を初めて読んだかも!?。友人の海燕さんが、おすすめしてくれたのを読みました。電子書籍で買ったで、ライトノベルだから1時間もあれば読めるだろうと、安易な気持ちで読んだら、合本(3冊分)で凄いボリューム…

『オルクセン王国史~野蛮なオークの国は、如何にして平和なエルフの国を焼き払うに至ったか~』 平和なエルフの国を焼き払う!という問題意識に真摯に応えたこの見事な設計力に脱帽

www.youtube.com評価:★★★★★星5.0のマスターピース (僕的主観:★★★★★星5.0) https://ncode.syosetu.com/n3719hb/ 「オークのくにの栄光」まで読了。マンガを読んだら素晴らしくて、小説を買って読んだら我慢できなくなって、なろうまで読んでいる。これは…

『ツナグ』 辻村深月著 安定の辻村節なるも、小粒な話でした。

客観評価:★★★☆3つ半 (僕的主観:★★★3つ) 辻村深月さんの大ファンなんで、小説が積読になっていて、今回の出張の新幹線の中で消費。が、映画にもなった作品だと思って期待していたのですが、、、、、いまいちでした。「死者に会える」というお涙頂戴もの…

『異自然世界の非常食』 青井 硝子著 めっちゃグロテスクで目が離せません(笑)。これ、凄いSFですね。

http://ncode.syosetu.com/n0340bw/第一部第一印象、グロすぎます。読んでいて、読むのがしんどく感じるグロテスクさは久しぶりです。って、凄い感心しました、この昨今のウェルメイドで気持ちよくなるのが至上目的の物語類型の中で、こんだけ気持ち悪いとい…

『海賊とよばれた男』 百田尚樹著 (2)石油を確保するという近代日本のエリートが考え続けていたことへの一つの答え

評価:★★★★★星5つのマスターピース (僕的主観:★★★★★5つ) 2)石油を確保するという近代日本のエリートが考え続けていたことへの一つの答え〜本当に自由主義者として振舞えば、世界は微笑み返す 国岡鐡造(出光佐三)が、凄いな、と思うのは、石油という…

『海賊とよばれた男』 百田尚樹著 (1)銀行家の使命とは?〜本分を全うするチャンスを人は探して生きている

評価:★★★★★星5つのマスターピース (僕的主観:★★★★★5つ) 本当に素晴らしい本です。さすが。メインの感想は、(2)ですが、まずはさわりで。とにかく、仕事の本分とはどういうものか?ということを凄く考えさせられたことと、なるほど、現代の産業の構…

『まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」』 このコミカライズ素晴らしいです!

石田あきらさんのコミカライズ、素晴らしいです。これ、ずっと手元に持っておいておきたい。・・・というか、この作品って歴史を網羅しているから、子どもに読ませたいな、って思います。ずっととっておいて、読ませたいコンテンツですねぇ。ちなみに、↓下の…

『山本五十六』 阿川弘之著 著者は文学者であって、組織論や技術史などの視点に欠けるなー

評価:★★★☆3つ半 (僕的主観:★★★☆3つ半)山本五十六の小説を初めて読んだ。こういう人だったのか、と初めて知った。情報ほとんど自分の中になかったので。そして海軍側(ちょっとひいきが過ぎる気がする…)からの視点を読んでいて、やっぱり思ったのは、…

『黄金の王 白銀の王』 沢村 凛著 政治という物は、突きつければこういうものだと思う。けど、こんな厳しい仕事は、シンジくんじゃなくても、世界を救えても、ふつうはだれもやりたがらないんじゃないのか?

評価:★★★★★5つのマスターピース (僕的主観:★★★★★5つ) 二人は仇同士であった。二人は義兄弟であった。そして、二人は囚われの王と統べる王であった――。翠の国は百数十年、鳳穐(ほうしゅう)と旺廈 (おうか)という二つの氏族が覇権を争い、現在は鳳穐の頭…

『とある飛空士の夜想曲』 犬村小六著  アメリカとの戦争で、もし、日本が戦術的に奇跡があって勝つことができたら?というお話

評価:★★★★4つ (僕的主観:★★★★4つ) 非常に面白かった。基本的にほどの理由がない限りは、その本の面白いところを肯定的に書こうというスタンスで書いているので、最近感想どまりで、単に、うん、おもしろかったです。だけしかいわないペトロニウスです…

『瞳の中の大河』 沢村凛著 主人公アマヨクの悲しいまでに純粋な硬質さが、変わることができなくなった国を変えてゆく

評価:★★★★☆4つ半 (僕的主観:★★★★4つ) 艶と萌がない、というのは、昨今の売れるファンタジーの基準から外れますよね。それと物語的なご都合主義、特に、全能感(=主観的欲望の発露と充足)がベースでないものは、ライトノベルを支える若者読者層から外…

『少女不十分』 西尾維新著 西尾維新の描く小説家が小説を書く理由・・・という物語(というあたりがメタ的だよなー(苦笑))

評価:★★★★★5つ (僕的主観:★★★★★5つ)ものごっつ!素晴らしかった。ただし、西尾維新さんの過去の作品を読んでいない人には、この感動が激減してしまうと思うので、なんでもいいので一シリーズか二シリーズ読んでから手をつけましょう。僕はいーちゃんの…

読了。

うむー面白かった。

むちゃくちゃおもしろい

面白いと聞いていたが、読み始めると止まらない。奥さんと同時に読んでいるが、お互い凄い勢いで読むので、奪い合いに(笑)。こりゃーおもしろよ。医療系の物語は面白いものが多いよなー。

『スロウハイツの神様』 辻村深月著 この絶望に満ちた世界を肯定できると力強く断言すること

評価:★★★★★5つ (僕的主観:★★★★★5つ)■久々に僕的な文句なしのMasterpiece!!!と叫びたくなる作品〜上巻はいつもの安定した辻村節だが下巻特に10章からは止められませんヨーロッパ出張の飛行機の中で読んだのですが、上巻は、特にマクロが描かれている…

【魔法少女まどか☆マギカ】あなた自身が映画になるのよ【予告編★B】

哲学さんのおすすめ。なるほどこういう熱気か。リアルタイムで終えてなかったのは残念だったけど、まぁほぼリアルタイムで自分の中の「消化」は追えることができたので、それはそれでよかった。個人的には、最終的な結末のところもだけど、10話のほむほむ…

『ストックホルムの密使』  佐々木譲著  「国体護持」とは?「皇統の継続」とは?〜祖国が信じられないキャラクターを軸にあぶり出す

評価:★★★★☆4つ半 (僕的主観:★★★★★5つ)■第二次大戦秘話三部作の最後〜戦争初期、真珠湾攻撃、敗戦の3ポイントを描く著者の第二次大戦秘話三部作という初期の作品を、これでやっと読了。素晴らしかった。さすが佐々木さん。この時代を深く堪能させていた…

『新世界より』 貴志佑介著 典型的な管理社会ものを骨太の物語として描く(3)

評価:★★★★★5つ (僕的主観:★★★★★5つ) それにしても、スクイーラと奇狼丸のカッコよさはなかった。 呪力・・・・超能力を持った人間が持っていない人間との差別と戦争を起こし、そして世界は滅び、異なる文明のフェイズにはいっていくというプロセスは、…

『新世界より』 貴志佑介著 典型的な管理社会ものを骨太の物語として描く(2)

評価:★★★★★5つ (僕的主観:★★★★★5つ) 読了。重厚な物語だった。典型的とか、古典的とか、骨太とかそういう言葉が読んでいて何度も浮かびました。というのは、古き良き時代のSFを感じさせられたからで、逆をいうとそれなりにSF作品のパターンを知っ…

『新世界より』 貴志佑介著 典型的な管理社会ものを骨太の物語として描く(1)

典型的な管理社会もの。エスパーの話があるので、竹宮恵子さんの『地球へ』を思い出す。管理社会ものとしては、栗本薫さんの『レダ』や、ハクスリーの『すばらしい新世界』、オーウェル『1984』などを思い出す。いま中巻まで読み終わったが、たぶんSF的に…

『お家さん』 玉木かおる著 明治7年から昭和2年の約半世紀の間に世界に君臨した鈴木商店

評価:★★★★4つ (僕的主観:★★★★★5つ) ■金子直吉の歯を食いしばってオーナーのいじめにしか見えない暴虐にじっと耐える姿に日本の徒弟制度の世界を見る 伝説の総合商社、鈴木商店のオーナーのことを書いた小説『お家さん』を読む。素晴らしかった。これ、…

近代国家を作ることの面白さ〜フロンティアを前にした時の商人の高揚感

昨年からこのへんお本を読んでいて、すげーおもしろい!と鳥肌が立っていたんだけど、どこが面白いか、自分の中で、キーワードが生まれてきた。それは、「近代国家建設の面白さ(新領土獲得・国境確定)」ってやつなんだ。近代国家に国が脱皮する時には、その国…

『海の底』 有川浩著

評価:★★★★4つ (僕的主観:★★★★☆4つ半) 戦争系のということで、お薦めがあった有川浩さんの自衛隊三部作の2作目読了。 おもしろかったー。 この国の軍隊の警察の関係は、なかなか考えさせられるものがあった。いまちょうど、マブラヴオルタのSSの『帝…

『図書館戦争』 有川浩著 抽象的な「表現の自由」をウルトラ具体的なものでシミュレーションさせて具現化させている荒業に1本!

評価:★★★★4つ (僕的主観:★★★★☆4つ半) ■読んだ理由知り合いから、戦争もの系統でいえば、ここは自衛隊モノで限ると、有川浩さんの自衛隊三部作シリーズがいいですよ、というお薦めを頂いた。あれ、この人って、たしか、、、、『図書館戦争』の人じゃな…

村上春樹のロングインタヴュー

考える人 2010年 08月号 [雑誌]友人が見つけて教えてくれた。ありがとう。村上春樹ファンとしては、凄くうれしい。こうやっていろいろ教えてくれる人がいると、本当にうれしい。情報ありがとう。特に、一人称をめぐる主観に閉じた物語の解体というテーマで村…

『天地明察』 冲方 丁著 武断政治から平和な時代への転換の難しさ〜江戸300年の平和を作った男・保科正之というマクロの背景に

評価:★★★★★5つ (僕的主観:★★★★☆4つ半傑作) ■素晴らしい小説でエンターテイメントでした。この著者の『オイレンシュピーゲル』などのシリーズをぜひ読めぜひ読め、といろいろな人に言われていたんですが、まずはこっちが先に読了。とても読む意欲が湧き…

『ともだち同盟』 森田季節著 ここから「どこ」へ向かうのかが楽しみ

評価:★★★3つ (僕的主観:★★★☆3つ半) 「ビターダークな青春ミステリー」と帯にあるが、ライトノベルっぽい味付けに、必ずしも予定調和のカタルシスではないオチという組み合わせは、とてもマーケティング的には狭い範囲の志向だと思う。たしかに「ビター…

魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」 ママレードサンド(橙乃ままれ)著  その先の物語〜次世代の物語類型のテンプレート (1)

■エンターテイメントの基本となる物語の展開テンプレート ママレードサンドさんによるネット小説。これほどの作品に出会えたことは、本当にうれしいです。布教活動としては以下のサイトで、かなり広範にしていただけているので、僕は「読んでいる」という前…

でもそんな時にも物語があれば・・・・

ログ・ホライズン http://ncode.syosetu.com/n8725k/黒髪娘「そんなにじろじろ見るものではないぞ」 http://blog.livedoor.jp/minnanohimatubushi/archives/1305433.html魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」 http://maouyusya2828.web.fc2.com…

『15×24 link six この世でたった三つの、ほんとうのこと』 新城カズマ著 

評価:★★★☆星3つ半 (僕的主観:★★★★★5つ) 面白かった。物凄く。これもはし君お薦め、ありがとう。手法はまんま『24』。ある少年の自殺を止めるというために集まったやつらの24時間を追った物語。この物語は構造とアイディアが凄く素晴らしかった。こ…