『屍姫』 赤人義一著 全体の物語の収束をどのあたりにおいているんだろうか?

屍姫 1 (ガンガンコミックス)

評価:★★★3つ
(僕的主観:★★★3つ)

ふむーレンタルで10巻イッキに借りてきて、一日一冊電車の中で読む感じで、10巻まで読了。いまのところ評価は、普通というところ。まだ完結していないので、完結したというアニメのオリジナルストーリーの結末を聞いてみたいところだ。全体的には、読んでよかった!と思うくらいには、楽しかった。けれども、構造上、ちょっと良くないなーと感じる部分もある。まだ終わっていないので、何とも言い難いが、、、、。

ネタバレすると、屍姫ってのは、契約僧とワンセットで、この世の中で発生する未練があって出てくる屍(ゾンビ)を打ち倒すという対屍用の道具なんだけれども、主人公のオーリにはお兄さんの景世という人がいて、この人が、この物語のヒロンイ?(主人公)である星村眞姫那の契約僧なんだよね。その関係性の深さからいって、事実上、恋人ともっいっていい。それ以上に運命の人に見える。もちろん構造的に、この人が死んで、その使命を弟である真の主人公である花神旺里(オーリ)が引き継ぐという話になっている。けれども、この景世ってのが、とっても大きな人で、凄い主人公「格」を持っていて、それを最初見せつけられてしまったものだから、その後のオーリ君のヘタレぶり、、、というか、凄くがんばっていて、ヘタレというほどでもないんだが、「格」落ち感を否定できないんだよね。もちろん、そういう風に偉大な先達に追いつくために必死になるというのは少年漫画の成長物語の典型なので、悪いストーリーではないんだけれども、10巻まで読んで、まだオーリが主人公「格」を持ちきれていないのは、あまりにマクロの物語の進行度合いからいって、むむむむ・・・。と思ってしまう。先ほど、SomethingOrangeの海燕さんのところで、手塚治虫さんの『双子の騎士』の記事を読んでいた時に思ったのだが・・・・現代の連載漫画ってのは、冗長過ぎる、と思うんですよ。『屍姫』のこの物語骨格ならば、美しく終わるには、ほんとうは10巻ちょっとで詰め込めると思うんだよね。どこまで巻を描くかというのによるんだが・・・景世の主人公格を超えるにはあと10巻ぐらいはオーリが成長していく物語の「山場」を作っていかなければいけないと思うんだが・・・それでは、個人的な感想だけれども長すぎる・・・と思うんだ。マクロの目的・・・はっきりいえば、敵の「死の国」を現出させるという目的も、それほど仕掛けが深いわけでもないので、あんまり冗長にすると、、、ああ子供向けだなぁ、とちょっと読む気が失せてしまう。もちろんこの作者の魅力は、そういうところではなく、バトルシーンのテンポとか、死霊の絵柄とか、なんといっても女の子たち(屍姫)のかわいさ爆発(笑)とか、そういうことであって、そういう背景の設計はシンプルでいいんだよ!という反論もあると思うし、この物語は、スッキリそう仕上がっているので、わざわざそんな善悪二元論を超える何かを追い求めたりする必要があるとは思えないので、僕の意見はいいがかかりなのかもしれないけどなぁ・・・・。


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