『たった独りの引き揚げ隊 10歳の少年、満州1000キロを征く』 石村博子著 人間を支えるものってなんだろう?

たった独りの引き揚げ隊  10歳の少年、満州1000キロを征く (角川文庫)

評価:★★★★☆星4つ半
(僕的主観:★★★★☆4つ半)

話すと長くなってしまうので、満州に興味がある、そしてコサックを知りたければ、素晴らしい本だと思います。。。って、すげーおざなりな説明だなぁ(苦笑)。僕的に、物凄い素晴らしい本だったんだけどなー。というのは、満州という地域のイメージを増幅させるのに、物凄い役に立った。いままで日本側と中国側からしか見たことがなかったこの地域が、白系ロシア人とコサックという視点を入れることによって、物凄い厚みとリアル感が増すことになった。これは近年まれにみる大収穫だった!!。この本に出会えて、本当に良かった。友人が送ってくれたのですが、その友人は、本当に視点がいい!。ああ、ショーロフの『静かなドン』も読んでみたいなぁ、、、、。ロシア文学は、描写が長すぎて今の近代文学に慣れた僕等には読みにくいし、「あの風景」を見たことがないときっと、わからないんだろうなーとおもいつつ、、、でもいいテーマが見つかった。コサックと白系ロシア人の視点が、初めて、ああ、そういうことなんだ、と等身大で見れた気がします。


もういろいろ言いたいことがある、素晴らしい作品だったんだけど、、、、まずは、サンボ世界一のビクトル古賀さんの伝記を書くにあたって、格闘家としての彼ではなく、コサックとしての彼に焦点を当てた筆者は素晴らしい!と思いました。これは、本当に鋭い。そして、日本が戦争に負け満州がなくなり、、、という中で、10歳の少年が、満州の荒野1000キロを投げ出されて、そこを踏破したという事実に、コサックという存在がどういうものか!が凝縮されていて、ここにフォーカスした筆者の視点は、本当に見事だと思います。



・・・・うう、、、まったくこの本の説明になってないなー(苦笑)。まぁなんか、ゼロから説明するのしんどいもん、そういうのは、まぁ今回はいいやー。


とにかくね、メモ的に書くと、、、、人間を支えるものってなんだろう?って言う疑問が僕にはあります。


満州大日本帝国が滅びた後のボロボロの日本人たちとかがそうなんだけど、これってアノミーなんだよね。ようは基準となるものが崩壊した時の無気力と自己崩壊。このアパシー的なものって、僕が、「世界が滅びた後のサバイバル」で描かれるものと凄く似ている気がするんだよね。『自殺島』で僕が書いた記事の話です。

自殺島』 森恒二著 生きることをモチヴェーションに
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20110407/p2

サバイバルもの、、、、『7SEEDS』とか『自殺島』もそうなんだけど、この類型には、特徴があって、普段生きている時、僕がらくるまれているブランケット、、、現代生活の利便性やセイフティーネットを奪ったら人はどうなのか?って問いなんだよね。一番いいのは、自分がいきなり、世界が滅びた荒野とかにほおりだされて、それでも生きていけますか?と問えばいい。


この問いを日常的にやって、それでも笑えて前向きになれる人は、実はすごい生命力がある人。言葉ではともかく、もし自分が今の肩書や近代文明の社会性に守られているものをすべて剥奪されたときに、、、という想像力がある人は、『等身大の自分』というものをよく見つめている人だからだ。まず、近代人は、現代文明に生きている人の9割、、、いや100%に近い人が、その場合は生きていけない。僕も、そのことを考える時、凄い不安を感じるよ。。。。では、そういう極限状況で、生きる支えになるもっていったいなんだ?と問うと、、、、言い換えれば、人間が生きるのに最も必要なものは何か?と考えると、それは、、、、



ここに書いてあることなんだよね(笑)。



この話はもっとしたいので、とりあえずここまで。ぜひ面白いし、文庫なので、読んでみるといいです。この問いを考えながら、『自殺島』と『7SEEDS』を読むと、非常に面白いですよ。

7SEEDS 22 (フラワーコミックス)