- 出版社/メーカー: アージュ
- 発売日: 2013/10/25
- メディア: DVD-ROM
クロニクルズの04の『マブラヴ アンリミテッド ザ・デイアフター episode:03』を終了。なかなか時間がとれず、結局、発売日から1年がたってしまった。去年の今頃には『WAR ENSEMBLE』をやっていた覚えがあるので、なかなかゲームをやる時間がとれなかったのだなぁ、としみじみ。発売日には手に入れているのに、やれないなんて、なかなか人生はままならないものだ。というか、さすがにゲームは、やるの凄いしんどいのだよね。かなりの時間数を取られるし、一気にやらないと、忘れてしまうし・・・・というか止められなくて、寝不足になって体調壊してしまうので、仕事が差し迫っているときは、できないんですよね。とはいえ、ここ1週間ぐらいで、終わらせることができました。
なんというか、これっ!という風にまとまっているわけではないんですが、この作品は思い入れがあって、しかもすべての作品の背景に精通しているので、思ったことはメモ書きのようにいろいろ残しておくととても後でやる時にいいので、せっかくなので、メモに残しているものをだらだらとですが書いておこうと思います。
えっとね、まだ『ラストダイバー』やれていないんですが、本編の『ザ・デイアフター episode:03』ですが、とてもよかったです。最初の時に、シェアードワールドとしてはこのシリーズは、常に★5つなんだけれども、単体だと★3つ半くらいかなぁ?という評価でしたが、基本的に変わらないんですが・・・・・なんというか『ザ・デイアフター episode:03』と『WAR ENSEMBLE』をやり終えた時点で、かなりの満足感が僕に訪れました。この後批評的にいろいろ解説するつもりで、かなり批判ではないけれども、これがダメとかいうような言い方をするつもりなんですが(苦笑)、、、あのね、終了後の満足度は、かなりというかもの凄く高かったです。たぶん次回か、次々回ぐらいが最終回なのではないかな?と思うのですが、おっどろくほど面白かったです。
うーんとですね、うまく言えないんですが、、、、えっと、そもそも、僕は、クロニクルズシリーズに期待することは何か?って言ったら、マブラヴシリーズのシェアードワールドや横軸の広がりを、様々な形で見たいっていうことでした。さすがに、本編の続き(オルタ2みたいなものね)はあるのかないのかわからないですが(ファンとしてはあってほしいです)が、これだけ入れ込んで、設定を頭に叩き込んで深い体験をした物語群を、もっともっと見たい!!!と思うのは、自然な感情ですよね。なので、クロニクルズというコンセプトは、、、僕はこれがどれだけ売上的にあるのかとか、そういうマーケティングというか経営的なことはよくわからないんですが、凄いうれしいのですよ。なので、これで04まで出て、2010年から続いているわけで、エピソードも、憧憬や再誕、、、、まだアーカイブ化されていないですが、継承、贖罪とか、、、、それにチキンダイバーズ、ラストダイバーズ、WAR ENSEMBLEなど、、、、なんというか、やっとここにきて、クロニクルズ(=年代記)という深みと広がりがもたれるようになってきた感じがするのです。軌道降下兵のエピソードも積み重なっているので、だからこそエレンの反応が、いろいろ思うところがあるわけだし、、、僕的には、WAR ENSEMBLEの新潟のあたりの話は、そもそも僕がずっと見たった時期の話で、これで時系列的に、凄い広がりが出てきていると思うんですよね。もちろん、素晴らしい同人誌とかも多いのですが、どれほど素晴らしくても、同人誌は所詮同人誌であって、公式ではないですし、やはり媒体で商業レベルの演出で描かれるのとは重みが違います。いやーなんか、、、この『ザ・デイアフター episode:03』と『WAR ENSEMBLE』で、なんとなく量的な敷居を超えたって感じがしてきたんですよね。毎年、こつこつ出ているわけじゃないですか?。TEのアニメ化やゲーム化もあったわけで。僕は忙しいビジネスマンなので、1年に一つも出ていたら、追いつけない程なもんなんで、、、いやはや、、、なんかこのシェアードワールド感は、たまらんです。こういってはなんなんですが、本編のオルタレベルの衝撃は、10年に一度出会うレベルのものなので、僕はそんなのはいつもは期待しません。ああいうのは出会いみたいなもので、、、、でも、タイプムーンのFateのように、そのアーカイブを十全に展開してくれて、その分、技術や様々なものを蓄積して、10年単位で次のものが出てくれれば、一ファンとしては、凄い楽しみなもんなんですよ。重要なのは、毎年で続けてくれることで、そうすると、やはり期待してしまいますよね。組織が持続していれば、いつ何が出てくるかはわからないもの。
んで、、、、ようはね、この量的な敷居を超えたって感じが大きいのかなぁ、と僕は思うのですが、驚くほど面白かったです。たぶん、トータルイクリプスやシュヴェルツェスマーケンを挟んだからだと思うのですが・・・・えっとね、僕、かなりクロニクルズ01のデイアフター00の時に腐している記事書いているんですけれども(苦笑)、それって、この物語がマブラヴ無印の続きの物語で、世界が滅びた後の風景の物語ってことが多い気いんだと思うんですよ。いま思うと。いいかえれば、これって短編というかショートストーリー的な落ちに回収されてしまう以外に、そもそも選択肢がないものなので、続けさせるの凄い難しいのですよ。ましてや、まだオルタをやった熱が強く残っていたころでは、もっとすごいのを!的な気持ちが捨てきれなかったのかなぁ、、、、と。けどね、やっぱりこの系・ルートを一度がっつり、袋小路だけど描いていくと、面白いんですよね。終わりが見えてきた今だからこそ、ああそうか、、、マブラヴのシェアードワールドの一つなんだという距離感が持てるようになったのかもしれません。うーん、、、伝わるかな?。まぁ、この記事は特に僕の独白の日記みたいなものなんで、まぁ伝わらなくてもいいんですが・・・・そんで、クロニクルズのワンオブゼムだと相対化してみると、おおっ!すっげー面白いじゃんって思うようになったんですよね。特に、エピソード03まで長く語ってきたのがよかったんじゃないかなーと思うんですよ、、、00の時だけだと、いいキレはあるんですが、あれって短編なんで、物語るつもりあるのかな?って印象が強くて、、、、いやーこうして、エピソードが収束に向かうと、むしろもう一度全部やり直してみたくなる感じがしてきました。やっぱり、「終わらせる」ってのは、凄い力があるものなんだなーとしみじみ感じている今日この頃です。広げるのは簡単ですが、こうして終わらせるのを、意思と我慢をもってするのは、難しいのです。そして、そもそもマブラヴシリーズは、世界観がしっかりしているので、やりぬけば、かなり面白い作品になるんです。単体だけで評価されるものじゃないんだもの。
えっとでは、作品の話に入りましょうかー。
上でも書いているんですが、「滅びた後の世界の有限感」ってのが、ずっしりと迫ってきてよかったなーと思ったんですよ。00だけど、シャープなキレはあるんですが、短編なので実感が伴わなかったんですが、響や悠陽、ウォーケンやまりもちゃんらの政治交渉をずっとみていると、この世界がほんとうにもう「あとがない」ところでやっているんだなってのがじわじわ感じられて、実感が出てきたんですよね。ただし、全体的に「ほんとうに切実な」演出ってのは、弱い気がする。というのは、アメリカのシアトルにいて、食糧事情も安定していて、都市機構が維持されているという前提だから、あんなふうに居酒屋に行ったりとか文明的な生活を維持できるんだろうけれども、、、ちょっと、もうちょっとなんかないのかな?とは思った。響がアメリカを横断して飢餓を経験していることや、そうした人がたくさんいるであろうにしては、随所の演出が甘いなぁと思った。でも、03んで住民が暴動を起こしそうになるエピソードをや、まりもちゃんたちと「こちら側(=秩序を守る側)=バリケードの内部」にいる軍人の演出は、あれはとても上手だったなー。
全体的に、この物語が何の物語か?っていうと、世界が滅びた後・・・・アメリカ、日本帝国、カナダ、フランスの4か国だけが生き残って、にもかかわらず主導権争いと食糧争いでこの4か国が殺しあっているという内ゲバの行き詰まりを描いた物語だと思うんですよ。もっというと、ナショナリズムを描いた物語になっているんだと思う。BETAと闘う時は、オルタの世界観でもそうなんですが、ナショナリズムをベースとした人類同士の主導権争いと、同時に、人類が一致して戦わなければん圧倒的物量であるBETAを倒せないとマクロの状況の相克がドラマを成り立たせていました。
このザデイアフターでも同じです。けれども、上記でも感想で感じたのですが、オルタやTEと比較すると、、、この『ザ・デイアフター episode:03』の直後にTEのPC版をはじめたんですが、物凄い落差を感じたんですよね。落差って、希望の有無。オルタの世界やTEの世界って、まだ人類がほぼ健在じゃないですか。世界の先進各国の国家レベルの機能がグローバルに維持されている。だから、新兵器の開発や国連の巨大計画であるオルタネイティヴ計画なんかが発動している。目に見えている唯や夕呼博士ですら見えていないようなものが、様々な多様性を持って動いているわけです。それって、可能性じゃないですか。人類の選択肢が、見えないほど多様性を持ってある。。。。
そのなかで、ナショナリズムの争いがひどく殺しあっても、人類の統合への揺り戻しやBETAとの戦いは、まだ成り立つんですよ。・・・・・けれども、『ザ・デイアフター』は、違います。この世界は、既にもう響たちの話が世界のすべてになっていて、それ以外の選択肢って皆無になっているんですよね。そうなると、ナショナリズムの争いって、もうどうしようもない最低のこういうになるんですよね。いま、人類が滅びるかどうかの「ほんとのほんと」の瀬戸際なのにまだこんなことをやっている・・・・と。
この切実感・・・・は、やっぱこの設定を作らないと出ないんだなーと思いました。もちろんそれは、選択肢の狭さであり、息苦しさではあって、大長編というより中編的な希望感を感じてしまうんですが、ここまでちゃんと演出すると、ぐっと来ていいなーと思うんですよ。・・・・・以前ね『PACT』という漫画の物語としての演出力のなさをこれでもかと批判したんですが、ああいうのと比べると、Ageはさすがにわかっているなーって演出が多いです。
書いている人が、戦争の矛盾を分かっているのが前提なんだと思う。というのは、『PACT』の時は人類が滅びるかどうかの瀬戸際に向かう前線の特殊部隊の軍人が、ガタガタ甘いこと言って、情緒的なこと喚き散らすような、ありえない馬鹿な描写をするんですよね。そんな訓練されて軍人が、今滅びるかどうかの最前線で(クロニクルズでいえば反応炉の前とかで)そんないきなり殺し合いはじめたりしないでしょう?。もちろん、オルタ系の物語は、80-90年代の自意識の告発系の物語の系譜なので、いまだに古い形式で延々とヘタレの告発をするという描写に拘ります。
けれども、僕は、これは凄くよくわかるんですよ。なぜならば、もう片方に、死が日常の過酷な自己犠牲の世界が広がっていて、、、、主人公以下すべての人間が、このことを痛切に自覚している。あとで新世界系の話との比較を語りますが、この作品はやはり構造的には80-90年代の自意識ヘタレ告発系の系譜であって新世界系ものではないんですが、ほとんど同じ構造を有していて、かつ、作り手が演出に自覚的というところが、やはりここまで生き残っている作品なんだろうと思うんですよ。
『ザ・デイアフター』の演出を見ていると、特に響のキャラクターが、若すぎるというか、受け身の系なんで、、、いつまでたっても説教されているので(苦笑)いい加減自分で動けよ的には感じるんですが、、、、えっと響のキャラくいたー問題は後に譲るとして、神宮司まりも少佐の政治的認識、様々な利害を乗り越えてでもリーダーらしく懐を示そうとするアメリカ軍人のウォーケンの振る舞いは、フランスのゲクラン少佐のスピーチと本音など、、、どれもが、ほんとうにみんな「現実」というのをよく認識している。『PACT』の情緒主義とは、レベルが違うというか、そもそも次元が違うなって思いました。クロニクルシリーズというのは、なんというか、やはりスピンオフの本編のサイドストーリー的な位置づけなので、演出の技術とか、超ド級なわけではないんですが・・・・それでも、そもそもオルタで作られている基盤が、そもそもしっかりしているので、キャラクターが、変な情緒に流されたり、それありえなくねぇ?というようなブレが全くないのが、やっぱレベルが違うものなんだなーと感心したんですよねー。いや『PACT』のひどさと比べると、もうしわけないんですが。
えっと、で、この話って4か国の、滅びにひんしてでも殺しあうナショナリズムを描いているわけですよ。
そして、ハイブ攻略で、、、、人類が統合する目的は何か?って話につながると思います。
全体的な構造は、なかなかいいSFの物語であり、オルタの分岐点の一つとして映像で見せてくれたのは最高の作品です。そもそも、オルタの物語の基本構造は、このナショナリズム(=人類同士の殺し合い、主導権争い)と人類の一致団結(=BETAとの最終戦争・人類を守る戦い)の2つの柱があって、それを揺れ動きながらも、人類一致団結へシフトしていく流れを書く作品です。けれども、逆に、ザデイアフターのような、もう人類の防衛ができなくなった世界で、それでもナショナリズムをやって自滅していく人類の性を見せられると、オルタの世界(=現実の地球)でもこの危険性が常にものすごいレベルであるってことが痛切に、より深く感じられるようになって、僕は凄いいいなーと思うんです。これが、シェアードワールドの面白さと効果ですよね。
問題点として、響、言い換えれば主人公をどういうキャラクターで設計するか?というのは重要なポイントだと思いました。とても新世代のというか、若者の設計で、これはこれでまちがではないしわかる。けれども、80-90年代の自意識告発系の系譜とのマッチングが悪かった。これは、Ageの構造的問題点で、考えなければいけないところ。けど、これは普遍的な最もやばい問題点ではないんですよね。意匠をどう接続するかの問題に過ぎないから。
オルタの持っている自意識告発系と、新世界系と同じ構造を有する現実の厳しさに身も蓋もなく直面する、この2つの構造は、とても普遍性のあるもので、僕は、オルタからけっこうの時間がたった今、新世界系の『進撃の巨人』などの構造の「その先」を見ていると、もう一度自意識の問題が来るだろうと感じているんですが、、、、それって、あれ、オルタと同じ話だって思ってしまったんですよ(これは、オルタの続き作るしかないっすね!!(笑))。ようは、この自意識と現実という2つの構造対立は普遍的なものだからなんだろうと思います。いいかえれば、世界と自己。新世界系の代表のような『進撃の巨人』が、オルタからインスパイアされてつくられたというのは、非常に示唆的です。だって、オルタって自意識告発系の、自意識の代表的な作品のように見えるじゃないですか。でも、構造的には、両方のものを同じレベルで有している作品なんですよね。
・・・・『進撃の巨人』の15巻ぐらいの最新刊の周辺は、巨人の話から、人類同士が団結できない理由や人類同士の中での殺し合いの話が、政治の話が描かれtる様になってきています。これって、何か?って言えば、ナショナリズムなんです。人類は、簡単には統合しない。個人の自由があり、故郷があるのならば、組織があるのならば、どうしてもそれは生まれるからです。これって、デイアフターで注目したテーマや、そもそもオルタやTEがもつ背景的構造です。もともと、進撃の作者は、これを書くのは当然のように考えていたのだろうと思います。だって、オルタからインスパイアされたらなら、「これ」こそを描かないとおかしいのですから。結局は、普遍性のある物語は、両方を内包し、描かないとだめなんだろうと思います。もちろん、意匠的に、どういう風に押し出すか、イメージをつくるか、順番を構成するか、というかそういう分はあると思います。そして、それはもちろん、マーケティング的にとか、時代に受け入れられる文脈的にはすごく重要。まぁ、マーケティングなんていう文字が出ている時点で、あまり本質的ではないんですけどね(苦笑)。
自意識告発系と新世界系は、実は、同時に成り立つことは、オルタを見ていて思うのです。これが普遍性なんだ、と。それぞれの時代に受け入れられる文脈や意匠はあるのですが、偉大な物語は、こうした普遍性を有するものなのだな、と今更ながらに思います。
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