客観評価:★★★☆3つ半
(僕的主観:★★★☆3つ半)
とてもとても面白かった。原作者が脚本だけにさすが。小説のファンにはたまらない作品。それ以外の人が見ても、わかる感じに単純な話だが、やっぱりファンムービーであってそれ以上ではない。まぁ基本設定を知らない人が見ると、関係性はわからないだろう。リーナの存在は、さすがに原作を知らないと、なんでアメリカと日本の最高レベルの軍人が知り合いであんなに仲が良さそうなのかは、わからないよなー。とはいえ、そもそも、魔法科高校の劣等生の「小説家になろう」のころからのファンの僕としては申し分ないのだけれども。やはり魔法という超能力の実在感というか、目に見えて凄い描写を見せてくれることが、この物語の面白さの一つなわけで、そういう意味では、星を落とす級の魔法をがんがん見せてくれるのは、気持ちがいい。個人的には、明らかにか弱くて、何にもできないだろ的な、女の子的な絵面で、七草真由美会長が、(あれ、元会長かな?)飛行機の中から魔法を発動させる姿は、そうか、、、こんな格好で、いかにも何もできないといえども、軍を軽く撃退できるほどの攻撃力を持つのが魔法師なんだ、と驚いた。あれ、脅していた日本軍の方が、脅し返されるので、いやーカタルシスでおおきかったです。ファンムービーで、それぞれのキャラクターのは少しづつしか出番がないけど、真由美会長のご勇姿が見れたのは、うれしい。いい出来の映画です。
ただ、2017年では『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』(川原礫三が原作脚本)の原作にも絡み、物語のコア文脈に接続しながらも、初見でも楽しめる映画に比べると、少し力不足な感じはする。原作者が脚本である強みは、オリジナルに踏み込める面なのだが。そういう部分は、なかった気がします。まぁ凄い細かい設定があるので、もしかしたら、全然わかっていないだけかもしれませんが。とはいえ、ファンサービスと割り切れば、最高の映画だった。平均点は突き抜けている。お風呂シーンまであって、なんというかサービスの基本のようなアニメだった。こういう風に、客におもねると、普通は面白くなくなるものだが、そういう失速感は一つもないところは、さすが。
この映画の印象に残った点は、この映像を見ると魔法師という存在がどれほど凄いものなのか、ましてや戦略級となると、どれほど凄いのかの位置づけが、小説でいくら説明されても実感できなところが、映像で見せられる部分。見ると、震撼する。この作品の大きなポイントは、兵器として扱われていたはずの、ある種の人類の異種というか進化版としての魔法師という種族が、世界にどう受け入れられいくかというハードSF的な観点も小説では背景に大きく流れているところ。ただそれは、魔法師という存在が、いかに一般の人類とかけ離れているかという「格差」が恐怖を伴ってありありと描かれなければ、難しい。小説では、既に第三次世界大戦を経て、魔法師の存在が、兵器用の実験動物からちゃんとした人権をもって各国の社会に根づいている。その根づきまでに、凄まじい戦争と混乱があったことは、現代とほぼ同じ生活様式でありながらすでに100年近く経過している西暦2095年が設定であることからもわかる。魔法師の中での達也の強さは語られるし、人権問題で魔法師と一般の人類の格差を叫ぶテロリスト集団がいることなど、様々なポイントが小説では描かれているが、それもなんといっても、どれほど一般人と違うかが実感されてこそ。そういう意味では、この映画は、僕の中ではよかった。
ただ、初見でもわかるようなシンプルさを求めた結果、司波兄妹の、やりすぎだよのイチャイチャ感とか、そもそも劣等生のはずのバカにされている達也が俺TUEEEEと強者をなぎ倒していくカタルシスなど、この作品の前半の面白さのコアがあまり強調されていないところは、残念だった。まぁ、あまり求めすぎても仕方がないのだけども、これだけ面白ければ。スコアは、低いが、満足感は素晴らしかった。
客観評価:★★★★4つ
(僕的主観:★★★★4つ)
ちなみに、見たら我慢がならなくなって、未見だった小野学監督のTVアニメーションも、風邪でぶっ倒れて休んでいた日に一気見(至福だった…)。僕が知る限り、かなり評判悪い感じだったが、僕的には、なにが悪かったのかよくわからなかった。というか、十分以上によかった。2クールで、九校戦編、横浜騒乱編までちゃんとツボ抑えて描かれているし、脚本も安定して、水準を超えている。そもそもライとノベルでも化け物級のSAOやこの作品は、普通に映像化すれば、十分以上に楽しいし、なにが問題なのかさっぱりわからなかった。やっぱりTwitterとか人の意見は信用ならないなぁ、としみじみ。とはいえ、なんでも全部自分で見るのも大変ですから、簡単じゃないですけどね。