『サトラレ~嘘つきたちの憂鬱~』(2018)伊鳴優子/佐藤マコト 絵柄が好きすぎて、めちゃ好きです。

サトラレ~嘘つきたちの憂鬱~(1) (イブニングKC)

客観評価:★★★☆3つ半
(僕的主観:★★★★★5つ大好きすぎる)

■とにかく感想

サトラレ、何度も見直すぐらい好きなので、スピンオフを見つけて、偶然読んでみた。でもスピンオフが面白いことってそんなにないので、期待していなかったんだけど、とんでもなく面白かった。まず最初に、客観評価★3なのは、誰にでもすすめられるわけじゃなくて、そもそも佐藤マコトさんのオリジナルを読んでいないと、サトラレ(=自分の意思が外部の人に筒抜けになる+しかし本人は気づいていない)という世界観を知らないと、すぐには入れないかも、という危惧なのと、自分が好みすぎるので、感情的に好き!!!という好き嫌いしか思いつかないので、客観的な評価が出てこない。個人の評価としては、めちゃくちゃ★5体験。サトラレが好きだった人は、裏切らない物語だと思う。ちなみに、佐藤マコトさんのオリジナルの方は、僕は、どちらかというと人情味のある見事な描写に積み重ねられているが、全体的にテレパシーができる人間・・・・人間というよりは新人類が社会に生まれ始めたら、マクロ的なSFニュアンスがとても強い作品だったと思う。サトラレの才能が、エネルギー問題など人類の化学などの発展にどう寄与するかという部分が常には背後に流れていたから。そういうテイストで僕も読んでいた。このスピインオフ作品、原作は佐藤マコトさんになっているのだけれども、どの程度、関与しているのだろう…。というのは、伊鳴優子さん、絵柄がめちゃ気に入ったので、すぐにほかの作品も全部読んだのですが、やっぱり断トツに『サトラレ~嘘つきたちの憂鬱~』が面白い。他の伊鳴優子さんの作品は、まだごちゃごちゃしててシナリオが、円熟味を感じない。

10th 1巻 (デジタル版ガンガンコミックスONLINE)

いや、好きなんだけど(ちゃんと、全部買いました!)。。。それに比べると、『サトラレ~嘘つきたちの憂鬱~』の各エピソードのシナリオの秀逸さときたら、、、、読んでいて何度ももだえる。何が言いたいかというと、やはりこのサトラレのテーマを、各エピソードに展開する力は、佐藤マコトさんのテイストを凄く感じるんですよね。たとえば、2巻の先輩のベースの話とか、読んでいて鳥肌が立った。こんな物語なかなか見れないだろう!というような、ぞくぞくするものでした。でも、このスピンオフ作品、最初読んだとき、全く原作は、佐藤さんだと思わなかったんですよ。だって、SF色がゼロなんだもの。まさに、青春もの、少女漫画!というフンにしか感じられないで、そういう風に読んでいて、原作が彼だって最後に気づいて、えっ!と驚いたんですよ。そんで、絵柄が変わるとこんなにもテイストが変わるのか、、、テイストというか世界観そのものが変わるのか、と驚嘆したんです。なんというか、小畑友紀さんの『僕等がいた』とか、河原和音さんの『青空エール』とか、マーガレットコミックスの的な、そういう感じでずっと読んでいたので、これ佐藤さんの原作なのか!と納得しつつも、めちゃ驚いたんですよねー。このお二人の組み合わせは、素晴らしかったんだろうと思います。

サトラレ(1) (イブニングコミックス)


■最近青春ものに、はまっている自分がいる。

最近、なんでか篠原俊哉監督の『凪のあすから(2013)』『色づく世界の明日から(2018)』が、めちゃ自分のなかで熱くて、あれ青春ものが、自分の中で来ているのか!?と、マイブーム。新世界系とかを超えてくると、世界が群像劇になりやすいので、そういった流れなのかとも少し思うのですが、まぁ、そんなことはどうでもよくて、とにかく青春ものが、いい。ああ、増井壮一監督の『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない(2018)』とかも、岡本学監督の『ゲーマーズ!』もそうなんですが、、、、何だろう、やっぱりなんでこんなふうに偏っているのか、ちょっと気になる。ちなみに、ここで上げたのどれも素晴らしいので、全部めちゃおすすめです!。『凪のあすから(2013)』は、ちょっとSF色あるけれども、明らかに描きたいのは、「そこ」じゃないので長井龍雪監督の『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(2011)的な気持ちで見る作品だと思う。

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petronius.hatenablog.com

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ちなみに、俺ガイル、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(2011-2019)の最終巻を読んで、非リア充vsリア充の問題意識とそれに接続されている日本的学園カースト、日本的空気の問題、2010年代のテーマが、一段落して、次のステージに言っているような気がして。『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(2013-)もそうだけど、この辺のことが、どこに向かっていて、どこに抜けたのかを、考えたいからかもしれない。特に、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』(2015-2017)の長井龍雪監督と脚本家?だけでなく毛監督もだよね、、、の岡田麿里さんの目指していたところが、何かあるんじゃないかと、悶々と考えている。。。

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■自意識の問題

ちなみに、ナルシシズムの地獄のテーマで、自意識の空転の話を考えるときに、サトラレって興味深いと思っているんですよね。これ、もこっちの自意識の空転みたいなものが、外にすべて駄々洩れして共有されたら、どうなるかって話だから。


まぁ、とかとか。本日の日記でした。もうすぐ2019年も終わりかー。時がたつの早いなー。


最後に一言、2巻のベースの先輩の話は、本当に本当に良かった。素晴らしいエピソードだった。


サトラレ~嘘つきたちの憂鬱~ - 伊鳴優子/佐藤マコト / 第1話 海崎千景の場合 | コミックDAYS


サトラレ~嘘つきたちの憂鬱~(4) (イブニングKC)