1日の『ABEMA Prime』に出演した町山氏は「年齢や人種が完全に入り混じっているが、大きく分けて3種類の人たちがいる」と話す。
「一つ目は“プロテスター”(protesters)と呼ばれる、黒人への暴力に抗議する人たちで、僕の映像に出てくる、警察に訴えかけている女性がそうだ。多くはプラカードを持ち、警察署に行って意思を伝えようとしている。二つ目が“ルーター”(looters)と呼ばれる、略奪すること自体が目的の人たちだ。はっきりした政治的主張があるわけではないし、警察署ではなく商店などに行く。例えばオークランドではスーパーや家電量販店が襲われたが、むしろ略奪を止めようとしたのは黒人たちだったようだ。そして三つ目が“ヴァンダリズム”(vandalism)といわれる、破壊しに来る人たちだ。商店から物を奪う、銀行でお金を奪うというよりも、連邦政府の建物やスターバックスなどのグローバル企業、その店舗を襲撃する。そもそもアメリカではワールドシリーズやスーパーボウルなどの大きいスポーツの試合、あるいは政治的なデモが行われる時に現れて、略奪や破壊をし、街をめちゃくちゃにしたり、警官に石を投げたりして、状況をカオスにしようとする」。
この整理めちゃくちゃわかりやすくなった。特に、自分の中で、Lootersとvandalismの区別があいまいだった気がする。これももう少し深堀して、実態を考えてみたいが、こういう手がかりがあると早い。こういう抗議活動があると、Anti-Federalism(反連邦)のイメージががあって、それとどういう風に区別して考えるかというのが、いつもいまいちだったので、こうやって整理されると、おおーと思う。
この後に、アンティファ(Antifa)と“ブラック・ブロック”(BLACK BLOC)の話も出てくるが、この辺りも、興味深い。2017年8月のアメリカ南部・バージニア州のシャーロッツビル(Charlottesville)事件が起きた時に、アンティファののことが気になって、いろいろ調べていたが、そのあとあまり聞かなくなった気がしていたが、表にいよいよ出てきた感じだなぁと思う。町山智浩さんが言うように、これは組織化されていない集団なので、実態を持っているというにはかなり難しいものだと思う。だから、トランプ大統領の言うようなテロ指定ができるかというと、実際は難しいと思う。とはいえ、オルトライトやWhite Supremacismだってそういうもので、こういうコンセプトだけで緩やかなネットワークになっているものを、どう管理というか、コントロールというか、制御するのかは、今後の為政者の課題だろうなぁとは思う。難しいのは、実体がないから、権力側で、勝手に定義して、都合がいいように権力行使が可能になってしまうので、制御の必要性はあるが、どうやって権力の暴走を抑えるかも、微妙な感じ。
中央集権的な組織ではなく、ゆるやかなネットワークで様々な勢力がつながっている運動である「アンティファ」。その分、もし検挙した場合、大規模な対応もありえるのかと思います。ただ、国内勢力を国際組織と同様のテロ指定するのは法的に難しいところ。 #NewsPicks https://t.co/8LDJhIxFkQ
— 前嶋和弘 (@kmaeshima) June 2, 2020
鎮圧をちらつかせることで支持者には強いアピール。実際に軍を動員するには内乱法では州知事の要請(同意)が必要で実際には不可能な州も多いのが当然の現状。さらなる分断。 / トランプ米大統領、暴力鎮圧に必要なら各都市に米軍を動員すると表明 #NewsPicks https://t.co/h7hI5XLJVe
— 前嶋和弘 (@kmaeshima) June 2, 2020
この辺りが、単純に白人至上主義とかリバタリアンとか言っても、複雑なローカル文脈があるというのがわかってよい本だと思います。
いつも思うのだが、町山智浩さんのアメリカの理解、紹介の幅の広さって、本当に凄い。Twitterで追っていると、かなり癖のある人で、単純に素晴らしい!とは言えないようなことの連発の人なんですが、「それをはるかに超えて」、なんというか実力がものすごいっていうので、いつもへへぇ、、、、と打ちのめされる。やっぱり凄い人だなぁ、と。大体、価値観が凝り固まっている人というのは、業績がろくでもなくなったり、老害とかしやすいんだけど、こういうのみせられちゃうとなぁ、、、、。やっぱり、僕が大事なことは、こういう継続して結果が出せることが一番大切なんじゃないか、と思うので、やっぱり好きだなーと思う。というか尊敬しているんだろうと思う。