悪役令嬢に転生したと思ったら、シンデレラの義姉でした ~シンデレラオタクの異世界転生~
評価:未確定(完結前なので)
(僕的主観:★★★3つ)
ほんとうは、ピッコマでなく、ジャンプのほうに主軸を移そうと思っているんですが、ストレスが多いと、ついつい同じパターンで人生が推移してしまふ。まだ数話しか読んでいないのですが、なかなか好きなんですが、まぁ評価としては星3の感じ。『悪役令嬢に転生したと思ったら、シンデレラの義姉でした ~シンデレラオタクの異世界転生~』これ、好きだなーってコツコツ読んでます。
作品そのものは好みなんですが、それ以上に、「シンデレラを扱う扱い方」が、これ典型的なピッコマ的なマーケティング、物語類型の商品開発の仕方なので、これ説明用に残しておこうと思いました。この漫画ピッコマにあるからといって、ピッコマが編集してやったのかわわからないんですけど、まぁ発想は同じなので。下でアズキアライアカデミアの2021年2月の配信を引用していますが、世界的に広がっている縦スクロールやピッコマ社と、日本的ガラパゴスであったジャンプ+の「物語の作り出し方の違い」を語った回(だったはず汗)で、この時、基本的には、ジャンプ+が勝利(物語の面白さに勝負という言葉は不似合いなのですが・・・)したよなと判断した時のものです。一体何がどう違うのか?というのは毎回配信で語っているのですが、文章でも少し残しておこうと思いました。
下記が、ピッコマの公式に上がっていたあらすじです。
童話転生で悪役令嬢となってしまった私のリアル(?)シンデレラストーリー! 世界中で愛される童話『シンデレラ』 そんなシンデレラをいじめる義姉として、悪役令嬢のような形でこの世界に転生してしまっていた主人公・ステラは、童話の結末である破滅エンドを回避するべく、シンデレラと仲良くしようとするが…!? 元祖「悪役令嬢」であるシンデレラの義姉に転生した主人公をコミカルに描く、異色の童話転生物語!
シンデレラという物語の元型を、現代的な視点で料理する。シンデレラを思いっきり甘やかしてみたいという発想は、よくわかります(笑)。下記の、やつが有名ですね。
タグのカテゴリーを見れば、「悪役令嬢」と「転生もの」に分類されています(笑)。この分類が、まさにマーケティング的な商品開発で、この一つの元型(アーキタイプ)を流行りの流行的視点で掘り下げて「似たようなもののズレ」を量産していくのは、00-10年代の日本をエンターテイメントを支配している「小説家になろう」のウェブサイトで「異世界転生もの」が集知を結集して物語生み出されていったパターンと全く同じです。
評価:未確定(完結前なので)
(僕的主観:★★★3つ)
検索すれば、シンデレラものって、ザクザクカテゴリーで出てきます。アルゴリズムにあるのでしょうが、ペトロニウスは、悪役令嬢ものが好きなので、がんがん似たような作品が紹介されます。ちなみに、「悪役令嬢もの」は、カテゴリーは、たぶん、日本の00年代ごろの「弱者がざまぁでひっくり返したい」というカテゴリー群や、韓国の「ソープドラマ的な逆転劇(実は、自分は財閥の生まれだった!とか、財閥のイケメンが自分を好きになる!とか)」の好みと絡まっている作品が多い。また、ポリティカルコレクトネスの浸透によって、「悪役令嬢という悪の役割を強制されていたのではないか?」(破滅回避系)というメタ的な視点で、メインの物語を解体していくという形式も多いですね。ちなみに、このカテゴリーで最高峰の傑作は、『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』ではないかなと思います。これ星5つ。シンデレラって、あれ、本人じゃなくてその姉妹や母親の視点で見たらどう見えるのだろう?という多視点、多様性、メタ的な視点解体は、とても現代的ですよね。
さてさて、2020-21年ごろには、縦スクロールのマンガ形式が、世界を席巻するというエンタメの記事が、日本語で溢れました。これは、グローバル化やアメリカでの展開がうまい韓国資本のピッコマなどが大成功したからですね。株式会社カカオピッコマと言うのですが、カカオトークは韓国のLINEみたいなSNSですね。アメリカに住んでいる時には、韓国系の友人とは、いつもこれでやりとりしていました。国ごとに、それぞれ使うSNSは色が出ますね。日本人は、圧倒的にラインが多かった(2010年代)。ちなみにアメリカ人は、ほとんど電話番号のメッセージでやりとりしてましたね。そうでなければ、WhatsAppでしたね。ラインやカカオトークはアジア圏なので、ほとんどアメリカの現地の人は知らなかった。ちなみに10代は、ディスコードとインスタグラムでした。話がずれましたが、『俺だけレベルアップな件』(原作・原案Chugong、作画DUBUによる韓国の小説、漫画、ウェブトゥーン)がめちゃくちゃ売れた頃でした。ちなみにいうと、子供たちに質問したら、アメリカの現地の子でもみんな知っていたので、アメリカでもかなり話題作だったようですね。この辺りの、売れぐらいを見て、さまざまなライターさんたちが、韓国に負ける!とか、縦スクローつの進化についていけない日本おガラパゴス!というような「日本が負ける」という文脈で、わかりやすくビジネス系の雑誌に話を売りまくっていたんですね。たしかに、ウェブトゥーンの縦スクロールが新しい漫画の形式だったのは事実で、そこに『俺だけレベルアップな件』のようなキラーコンテンツが出て、かつ海外、この場合は韓国系が得意なアメリカでの若い世代へのアピールと浸透がうまく行っていたことから、それは最もらしく聞こえたんですが、僕は、なんか胡散臭くて、仕方がなかった。というのは、中身が分析されていなかったからです。さらにいえば、日本の漫画のガラパゴスといわれるジャンプ、サンデー、マガジンなどの、物語を生み出す面白さがちゃんと分析されているようにも見えなかったんですよね。当時は、事実向こうウェブトゥーンの縦スクロールが圧倒的だったので、なんとなくモヤモヤしているだけでした。
でも今はわかるんですよね。ジャンプ+に代表されるように、日本のオリジナルな漫画を生み出してくる、育成システムや、編集システムなど、雑誌の持つ文化資本というか「プロセスそのもの」のデジタル化が遅れているだけだったんですよね。ジャンプ+に出てくる面白い漫画の、「中身の面白さ」を見れば、圧倒的にマーケティングによる「今ある流行をずらしていく」ような形式ではなくて、全く今までにないような「オリジナルな何かを探してくる」もっといえば「それを育成し、発表の場所を増やして競争させる」という週刊ジャンプの、もっといえば集英社の持っていたシステムが、ちゃんとデジタライズされて、今流行りの言葉でいえば、DXですね。雑誌の持っていた競争からオリジナル文化を生み出す人的なネットワークや育成システムなどの有機総合体をデジタル化するのが韓国に比べて遅れていただけなんですね。だから、僕は、いつも思うのは、ガラパゴスこそ真のオリジナルを生み出す、日本の強み!と思っていたので、やはりとこの後のジャンプ+や各社からの素晴らしい作品の続出を見て、全然負けてないじゃんって思ったんですよ。マーケティング的な、「何が売れるか?」の集合知を利用したなろう的なやり方では、どう考えても、『ルックバック』とかでてこないでしょ。
なので、横スクロールの日本型と、縦スクロールのPCやスマートフォンに適応した形式のどちらが優勢か?
この質問には、実はまだ答えが出ていません。
けれども、韓国のピッコマや日本の「小説家になろう」のような集合知を利用して、物語の元型(アーキタイプ)を、ずらしてどんどんカテゴリーのずれを作り出して売っていく創造の仕方
と
日本のジャンプ+のように「育成システム」を作って、「たくさんの作品の発表の場を与えて」その競争の中から、オリジナルなものを、目利きの編集者が見つけ出していく
というものでは、創造の仕方が違うということは明確になりました。
最初にジャンプ+が強いでしょ、と言ったんですが、実はこれに勝ち負けはないです。どちらも、「クリエイターをどう育てて、物語を生み出すか」のやり方の違いに過ぎないので。僕は、ジャンプ+的なものに、軍配を上げたいのは、こういうシステムから出ないと、ハンターハンターとかルックバックのようなものは出てこないのは明確でしょ?と思うからです。カテゴリーの群で売っていくやり方だと、オリジナルが極まった作品は出てきにくい。ちなみに、カテゴリーを群で売る方が、マーケティングがしやすいし、何よりもマネタイズしやすいという有利さもあります。これは、ネットフリックスとかでの、デスゲームものの、描き方が韓国と日本で、だいぶ違う点を見ればよくわかります。『イカゲーム』と『今際の国のアリス』ですね。アメリカではイカゲームの成功が圧倒的でしたが、そうはいっても、アリスもかなりの成功なんですよ。別に負けたわけじゃない。僕は、なろう形式のパターンも、ジャンプ+形式のパターンも、両方ともある日本というマーケットが、たまらなくゾクゾクするというだけです。
そういうことなんですよ、と思ったので、メモメモ。