『その着せ替え人形は恋をする』13巻 天使ハ二エル編が素晴らしすぎて、声もでねぇ。

その着せ替え人形は恋をする 13巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)

新刊が出た。配信されて、その日に読む。素晴らしすぎて、声も出ねぇ。何回も何回も読み返す。『その着せ替え人形は恋をする』、本当に神ががってている面白さ。これだけ面白いし、アニメも人気だったと思うのですが、ペトロニウス的な批評の視点でも、最前線の中の最前線で、今まさに時代に必要とされていることの答えてるぅぅぅぅぅぅ!!!とか思っているんですが、そんなことでどうでもよくて、面白い。そんな作品。もう、★5つのマスターピースなのは、確定ですね。終わりまで待つまでもない。


このめんどくさそうなおっさん、、、、かわいいいぜ(笑)。

ラストに挿入されている、ときおと溝上のイチャイチャシーンが、もうたまらんぜ。この作者さんは、もちろん女性がすごい好きで可愛く描きたいってのが伝わってくるんだけど、それがあまりに凄いので、なかなかメインにこないけれども男の子とか、おじさん!の描きがめちゃくちゃ良いんですよねー。この性格悪い、ひねくれたクリエイターのおじさんの愛おしいこと、愛おしこと、、、たまらない。なんで愛おしいのかといえば、ときおと溝上の友愛の深さを感じるから「だけ」じゃないと思うんですよ。


ときおの作品がアニメ化されて、一般の視聴者にとってはかなり良い出来のものだと認知されている(そういうふうにアキラさんはコメントしてますよね)のに、このクソ親父が、性格ひねているから、うざいからダメだって世の中は思っている。でも、違いますよね。「彼が描こうとしているもの」に対して、全然理解が及んでいないことが問題で・・・それを親友の溝上は、よくよくわかっているんですよね。このシーンが尊くて、ぐっときた。何を言っているかといえば、この作品の本質に関わる、


モノを作り出す、クリエイター側が心の中で思っていること、世に問いたいことの思い、その伝わることの難しさ


このテーマに関わることだからんです。まりんちゃんも、五条くんも、明らかに「好き」という趣味を通って、クリエイター側へと踏み込みつつありますよね。これは、クリエイターの業を描く作品の系列・類型に数えられるべきで、だからこそ、「その想いが届く」ことの難しさが、何度も語られているんです。


ただ「好き」が度を超えてくると、こういうふうに表現者の方へ、足を踏み出していく。ああ、まさにまさに、時代の最先端の作品だ!!!!素晴らしすぎるぜ!。しかも、面白くて、ドキドキして、かっこいいんだもん。最高。だからこそ、「好き」だけではどうにもならない壁があり、しかし、その両者の視点を、バランスを持って愛を持って描かれているのが、たまらなく同時代的。これこそ、多様性ってやつだぜって思う。ときおって、消費者やビジネスサイドからすれば、本当にめんどくさい意味不明のこだわりの迷惑な捻くれ者。でも、クリエイターサイドからは、「その想いがなかなか理解してもれない孤高の苦しみ」を持って、それでも表現している人で、同じクリエイターの溝上は、それがすごくよくわかっている。クソみたいな売れれば中身なんかどうでもいいビジネス関係者や、理解も全くできていないパンピーファンが、イライライしてたまらんのでしょう。・・・そして、この「こだわりの半端ない高さ」に挑んでくる、五条くんとまりんちゃんがいるわけですよ。だからこそ、彼の挑戦して、それを超えてきた若きクリエイターに対して「見事だ」になるんですよ。くーーーーー熱い。熱すぎる。


ましてや表現も、素晴らしい。今の時代で、SNSTwitterとかで)話題になる、世に出るということの描きがまた素晴らしい。


Twitterでまりんちゃんの写真が拡散していくシーンですが、このシーンは、SNSを通して爆発して拡散していく様が、めちゃくちゃリアルに情感豊かに伝わってくる。これを、マンガで描けるなんて!!凄すぎるよ。これを描いた作品って、なかなか見たことなくて、媒体がSNSなので、そうでない媒体で描くのが難しいからんんだと思います。

俺にはこの暗がりが心地よかった ─絶望から始まる異世界生活、神の気まぐれで強制配信中─ (GAノベル)

これを描けた最高の作品のひとつは、僕は、星崎崑さんの『俺にはこの暗がりが心地よかった』だと思っていて、これが本当に素晴らしいです。おすすめです。


話がそれましたが、いやはや、本当に素晴らしい名作です。2020年代を代表する作品になるのは間違いないですね。



しかも、これ恋人編まで行きますね、、、、ここまで描くと。

桃色メロイック』読んでて、ああ、これ、なんというか「設定がもったいないなー」と凄い思ってたんですよね。これ、お兄ちゃんが、実の妹まじで好きっていうヤンキーマンガじゃないですか。そのまじぶりが、シリアスすぎてギャグになるという構造なんですけど、これって、ヤンキーだから、本気度合いが凄いんだよね(笑)。


でも、妹ちゃんの魅力って、「そういうこと」が全然わかっていない天然のところにあるから、関係性が前に進みようがない。案の定、何も進展しないで、10巻?くらい長く続いているのに終わってしまった。めちゃくちゃ絵柄も関係性も好きだったので、これ「前に進みようがない」というのが、ずっと残念で、、、。次の作品は、ちゃんと「恋愛が前に進む」やつにしてほしいなーと凄い思っていたんですよ。

petronius.hatenablog.com


僕は、『桃色メロイック』の頃から好きなんですが、これって兄妹もの設定したので、恋愛やセクシャルなものに踏み込めなくなってしまって、構造が悪いんだだけれども、、、にも関わらず10巻も続いていくんですよね。どんだけリドビー(欲望)凄いねんって、みながら笑っていました。なので、「次」は、真っ当な、前に進む関係で行きたいよねと思っていたので、、、作者、踏み込みますね。素晴らしすぎる。はうー。楽しすぎる。リアルタイムで、ドキドキ終える凄い作品です。次が楽しみすぎる。『桃色メロイック』もめちゃいいですよ。これを読むと、この次のこの作品が、いかにものすごい進化を遂げているかが、わかります。本質は、全く同じだけど(笑)。福田さん、凄いクリエイターです。

桃色メロイック (5) (ヤングキングコミックス)